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今日の感謝盤一覧2005.7上

 

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7/1(金)
プリマドンナはお好き?
cover
Love's a Prima Donna
Steve Harley & Cockney Rebel
1976

シリーズ「GLAM!」

遅れて来たグラム・バンド、スティーブ・ハーレー&コックニー・レベルの76年5作目です。デビュー以来、でっかいメンバーチェンジはあったもののヒットも連発順調に活動して来ましたハーレーさん。夜毎夜毎のパーテーに引っ張りだこです。「まあ、貴方があの歌を唄ってる方?メイク・ミー・スマイルって素敵な曲ねえ。」と妙齢なる淑女に褒められてやに下がります。「てへへ」「グラームの方なんですよね。でもびっくりしましたわ地味で。」「へ?」とゆう会話が8回ほど繰り返されましたところハーレーさん自問自答。「俺って地味?」ガーン。雷に殴打。新作出したばっかだとゆうのに急遽EMIスタジオ入りメンバー召集です。「ほわー。どした。スティーブ。みんなで新作を聞く会かい?あー痒いー」「ニューアルバム作るぞー。」「へ?」。スティーブさんユンケル飲みながら「次の作るぞ。今回の曲はこれ。アレンジはこれー。」「何を馬鹿な。どれどれ。がーん。」とゆう経緯で(多分すがわら)作られたのね。
題して「プリマドンナはお好き?」どんな?
 何たって急ですから今回もプロデュースは自分自身です。76年の6月から9月まで4ヶ月間。空けたユンケル、246本。朝から晩までみっちり作り込んだぞ。完成された作品は11月に登場、全英アルバムチャート28位まで上がりました。シングル「ヒア・カムズ・ザ・サン」も最高位10位まで上がる大ヒット。「ぎゃはは、どうだみんな。もう地味だなんて言わせないぞ。ふー、やりきったぜ。次はツアーだ。」は良いけれどバンドの皆さん疲労困憊。これでコックニーレベルは打ち止めとなってしもうた。
 ほどなくして隅っこに穴を明けられたLPの一枚が海を渡って遥か極東の国ジャポネに到着します。「おー、コックニーだ。え?もうカット盤?980円。買った!」と狂喜した若き山が家に持ち帰って針を下ろしたとたん。「ひえー!」。たてづづけに飛んでくる音また音。戸惑いながら聴き込んで、30年経過。今またプリマドンナがやって来た。今では何としっくり馴染んでしまう。オペラ風コーラス、ボコーダー、変拍子、ジョージ・ハリソン・ファンなら激怒して暴れそうな「ヒア・カウズ・ザ・サン」のカバー、鼻づまり度史上最高の歌声、小人の踊り、女子のつぶやき、親父のアナウンス、突然現れる大オーケストラのマジ・クラシック、そしてハレルヤ、とどめは何ともキュートな「プリマドンナはお好き?」。引きの美学から押しまくりの狂宴になったこのアルバム。あらゆるブリティッシュ・ポップの音があります。派手だからすぐに飽きちゃうか。かも。しかし復活します。ケロケロした音の数々がすべからく愛しきものに。金のくちばしもしくは銀のくちばし5枚集めたら送って来たおもちゃの缶詰、出しても出してもまだまだ楽しいものが出て来る。オーバー・プロデュースの最高傑作アルバムとしてマガジンの2ndと共にロック界に君臨してます。入りそうだからどんどん入れましたつう昨今のインフレ音楽とは違うぞ。一音一音が覚悟の産物。これの落とし前もきっちり付けて現在に至る。「プリマドンナはお好き?」「はい、最高に好きです。」

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7/2(土)
嵐の恋
cover
No Matter What
Badfinger
1971

シリーズ「完璧なシングル」

さー今週の完璧なシングルはバッドフィンガーの「嵐の恋」です。この曲はもう・・・無敵。終わり。さあ聴こう。ああ。って、でもいいけれど(^0^)。讃えなければ。
完璧なシングルの最大条件はカバー不能ってことかと。誰が出来ますかいこの曲のカバー。そりゃやりゃわしだってバンドで出来ますが。トリビュートしたくて若手売れっ子さんがやろうとも必ずしや自爆します。アレンジもこの他に何が考えられようか。この野太いギター、どす重いリズム、甘美なメロを唄うハム氏の声。支える蒼い臭いのコーラス、すべからく掛け替えの無いものであります。そりゃビートルズの香りはするわ。そこかしこに。では最後の砦、ビートルズがこの曲のカバーをやったとしたら。駄目です撃沈です。バッドフィンガーなのだ嵐の恋は。だってそうなんだもん。子供になってしまった。邦題もきまり。嵐の恋。名訳です。これが「わたしゃストーカー」だったらどうなるか。台無しJR。歌詞の貴方が何をしようとも何をやろうとも鼻毛を抜いててもガングロウになろうともステテコで踊ろうとも私を全てを持って愛してくれるなら私も全てを持って愛そう。風速75m級の嵐の恋です。ですからこの野太いギター、どす重いリズム。でなければならないのだ。この愛の歌は男女の別問いません。対象も問わず。貴方は誰ですか関係者ですかのジャケのエイリアン2、しがないウィーバーさん似のごっついどうしたらわからないような女人に対しても有効。嵐ですから。目も風で見えません。恋だし。ぴったし3分、吹きすさぶ激情劇場。竜巻ぶーん。

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7/3(日)
びっくり電話切らないで
cover
How Dare You!
10cc
1976

シリーズ「エキゾチカ」

わお、大ヒットが出てしまいました「アイム・ナット・イン・ラブ」。予想していたか仰天したかイギリスで1位、アメリカでも(冗談じゃ〜無い)2位を受けて作られたのがこの「びっくり電話」。せっかくヒット出たんだからそれで行くよねと当然思ってるエリックさん、うだうだと言いながら低音に磨きかけてるグラハムさん、おもちゃに夢中でヒットしたことさえ知らなかったロルさん、ケヴィンさん。そんなファンシイな4人が作り上げたのは世界一聴きにくいPOPアルバムでした。あの世界をもう一度聴きたいと思った99.2%の民は隅から隅まで聴いてあれれ〜とため息、そんな馬鹿なとまた隅から隅まで聴いていつのまにかこのややこしい曲を覚えちゃってど夢中になり大量の友人にすげえよすげえよびっくりだよとびっくり電話をかけるずら。ほらジャケのように。まったくよう性根が捻じ曲がってるからよう。「もしもしおこんにちわ」ってタイトルで絵面が脅迫電話、モンティ・パイソンのギャグにもブラックメイルってそっくりのやつ有って、人が真面目になってる時ほどおかしい時は無いんですお葬式コントですドリフの。で、最初の曲はインストですGCコンビ。ここはどこ私は誰。南国の大雪みたいな。自転車で追っかけるカースタントのスリル満点。待望の歌の2曲目が始まりますといきなし「ダリ〜なあ」「ぼんやりとした一日、ついダラける」「ああダルい」「いいよねダラけるのって」って来たもんだ。ダルいのかと安心していたら3曲目は「伝染るんです」のミッチーの歌。世界制服。水戸黄門リズムに合わせて出て来るグラハムさんの弩低音のコーラスが嬉しくってたまらなかったら10cc病に充分罹患してます。リードボーカルはロルさん。この声がロルさんです。やれ仲悪い、ばんらばんらの才能みたいだけどえらくこの4人声が似てるのだ。やりたいこともかなり気が合ってるとしか思えん。誰か反対したらここまで来れますかいってんだうにゃ。4.はそれでも一番POPな曲「アイム・マンデイ」。これがエリックさん。これだけは丸わかり。そのまま分裂5ccに引き継がれ、それでもこの空気は独特で病み付きだよ。シングルにするとすればこれだよなと納得するもしたらヒットするかよと思います。しました英国では。最高位6位。恐ろしい国や。5.の氷山でリードはグラハムさん。唄わせてくれよ俺にも。ああ、10ccだ。立ち位置ど真ん中の人だ顔も濃いし。6.は形態としては最もシングルな曲、芸術こそ我が命。最高位5位。もちろんイギリスで。「芸術こそ我が命ですから、金をくれ」。私はアーティストでございます、アーティな私の楽曲を聴いてくれって口とんがらかしてやたらとほざく昨今の自意識過剰芸人の口の中に札束放り込んでやるはほらほらうまいだろ喰え喰えって曲(^0^)。楽曲では無し。ぽんこぽんこカウベルのリズムに合わせて喰うんだよ。食べたら寝ましょうと7.はケヴィンお父さんの子守唄。ヒゲがほっぺたに当たって痛いわパパ。8.のヘッド・ルームはスケベ歌です。スケベ担当はロルさん。格調高いし。なぞなぞですさて何でしょう「頭の部屋」。ぴんぽーん。何故スライド・ギターでカントリーになるのでしょう。やけにおかしい。ラストは「電話を切らないで」。こんなにおっかなくて意地悪くてそれでも切らないで。お願いしますって言ってるのに切られました。まいった。CDではボートラで芸術こそ我が命シングルのB面曲が。「食べられるうちに食べておかなくっちゃ」。はいその通りです。よく噛んで食べます。まだまだいけまっせ。

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輸入盤

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7/4(月)
アメリカン・グルーヴ
cover
Manassas
Stephen Stills Manassas
1972

シリーズ「あんふぉーげった房」

世界一色の濃い透明な声を持つ男、スティーブン・スティルス氏が贈る一大アメリカン・グルーヴなアルバム、それがこの「マナサス」です。場外ホームラン170m級。ソロ・アルバムだとどうも5打数1安打。その1安打がいつも勝利打点それでヒーロー・インタビューって感じの方だと失礼ながら思ってまして、しかしながらこの盤だけは違います。1イニング17点。まだまだ攻撃は果てしなく続き投げてはパーフェクト中てなもんだこれが。元々アナログ2枚組でそれぞれ「からす」、「荒野」、「沈思黙考」、「ロックンロールここにあり」と名前が付けられてます。CDだとばっちり一枚に納まってしまう。24時間一挙放送って趣で怒涛の名曲責め味わえますけどそれぞれ間を置いて楽しむのも吉かと。「からす」は冒頭からスティルスさん大好きなラテン調大爆発、甘美なメロディとめくるめくグルーヴに耳がくらくら曲のつなぎのスリリングさと言ったら、全く「たまや〜(頭が)」と声掛けちゃったよ。「荒野」は西部開拓史の荒野です。ジョン・ウエインが馬ぱっかぱか、たどり着いた町では白昼の決闘真っ最中、バックでは名曲「コロラド」が流れ、荒くれ者が明日無き命に涙を流すと。ここでも鉄壁のリズムセクション。ピシと締まった演奏でたらりんたらりんとしたカントリーでは無くこれこそカントリー・ロックなのだ。砂糖抜き混ざり物無し塩だけの塩辛の味。「沈思黙考」はいきなし目玉、スティルス=ヒルマン=ロバーツ作による「イット・ダズント・マター」で開始。悶えちゃうラテンのリズムから浮かび上がるスティルス氏のギター、無欠のコーラス、メロディ。このあまりの気持ち良さに作者の一人リック・ロバーツ氏は人生を賭けてファイアフォールを結成、さらにこの世界を広げて喜ばせておくれになります。CSN&Yを思い出す「ジョニーの庭」、「バウンド・トゥ・フォール」、「ハウ・ファー」、ムーグ・シンセが空気をひたすら冷やす「ムーヴ・アラウンド」、決然とした「恋のギャングスター」とここでも容赦無き名曲攻め。内側からうごごーと湧き上がる曲特集。最後の「ロックンロールここにあり」、はこの盤の決着を付けるべく全部混ざった大大会。無理だろー、うんにゃ、出来ちゃいました。人と人が出会ってバンドが出来てマジックが発生した何とまあ音楽の不思議です。ただただ浴びるのみ。裏の棟梁はパーカッションのジョー・ララ氏だな。ララは愛の言葉。この人のチャカポコ有ってのマナサス。あまりの調子の良さに神様が見学に来てからに、全員が魔が刺すて音楽の精霊イタコ状態でまあどうしましょ。あふあふ言って聴きましょう。

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7/5(火)
アマゾナのいるところ
cover
Stranded
Roxy Music
1973

シリーズ「GLAM!」

1973年度ロクシー・ミュージックの3枚目のアルバムが「ストランデッド」。デビューが72年、前作が73年3月、9月にヴォーカルのブライアン・フェリー氏の最初のソロ・アルバム・リリース、そしてこの盤が11月発売と走るのを止めたら何かが逃げてしまうのではとばかり突っ走って来たロクシーです。問題はそのフェリー氏のソロ。集まった強兵ミュージシャンのとんでもな腕前に目見開いてプロの世界を見てしまったフェリーさん、音楽をせねばならぬ音楽をと、音楽屋さんなら当たり前のことにここで気付くのが素敵ですロクシー。じゃそれまで何をやって来たのかーっ。ぱっぷーミュージック。さあ音楽をするに当たって問題はあのつるぴかハゲマルな男だ。俺がピンコピンコ、ピアノ弾いて必死に唄ってる脇でちゃらちゃらしたかっこで踊ってやガル。くそ。てんでお願いですどうかお引き取り下さいと嘆願。それでイーノとイノーノ脱退。イーノをバンドに入れた張本人アンディ・マッケイさんももしや一緒に辞めてしまうのではつう賭けに出ました。すわ、マッケイさん残った。いえす。では入ってもらいましょうソロ盤で出会った天才美少年エディ・ジョブソン君。当年取って18歳つうからこれは幼児虐待か。さらに重要、ベースにはまだゲスト扱いながらブンブン男ジョン・グスタフスンちゃんが参加してくらはった。これで陣容整い、プロデュースは前作後半でばっちり息の合ったクリス・トーマス氏迎えて湧き出てます既に名曲の数々。目指すは己が創作したストランド音楽宣言だ。飛び切り光る(頭も)点と点の色争いがどうしょうも無い緊張生んでそれがたまらぬ魅力だった前作「フォ・ヨア・プレジャー」。何よりテンパってピアノ弾いてる人が一人いるだけで違いました。今回は汗一つかかず華麗なフレーズ連発の美少女漫画薔薇銜え男がおります。基本のピアノ・ロックは余裕満点、音楽の図体がでっかくなったぞ。高らかにそれを宣言のシングル曲「ストリート・ライフ」で始まる。トーマス氏のだんご音も相まって全員一丸の突破力や鋼鉄をも貫通、トンプソン氏の一直線8ビート、ベストパートナー、グスちゃんの3つ音が多くぐるんぐるんするベース、じゃんかじゃんかマンザさんギター、ばふばふプーのマッケイ氏、嬉しくて臨界点超えてるフェリー氏、これが新生ロクシーです。余裕で引きの2曲目「ジャスト・ライク・ユー」。して3曲目、ハイライト曲「アマゾナ」。マンザさんとフェリーさんの共作。何をマンザさんがやったかとゆうとこのギター・リフ。ザ・バンドのロビーさんが鉄棒でコバチしたような摩訶不思議なフレーズ。ファンクかレゲエかこりゃアマゾナ族しかなし。それでいて音色は2000年の彼方ってんだからやばいよこれ。歌の「あまーぞなー」の音階はフェリーさんしか取れないし。そして再び引きの「サーム」。Pは読みません。5.のセレナードは華麗なるロキシー祭。最後の「セーレネード」の一言に向かって全員堰を切ったように突進。6.は再びハイライト。全ロクシー史でも絶頂の瞬間を迎える「ユーロッパ哀歌」。肉体な家庭に育ったフェリーさんがいつまでも夢に見るデカダンスな世界。それは帝釈天のフランス喫茶のようです。この大見得。野暮ったくしかしダサい音は一つとして無いつうロクシーの真骨頂。これを出来うるのはこのバンドだけですから。この時期の音をこよなく愛します。じゃめじゃめ。一転、ギア5速に突入、全速力でフィルム速回しして電子の壁に激突、7色の光りで飛び散るマザー・オブ・パール。その瞬間スローモーション部分が延々と続きます。喜んでます聴いて。最後はいつまでも沈まない日暮れの歌。沈むどころか逆に上がっていくぞ。そのままカサノヴァに変身。

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7/6(水)
雄々しき翼
cover
Boats Against the Current
Eric Carmen
1977

シリーズ「あんふぉーげった房」

ミスター・オール・バイマイセルフ、エリック・カルメンさんの1977年発表の2作目アルバムです。えー、私、かなりもうこの人のファンです。一時期はレコード屋さんに行くと必ずこの方の後期のLPを探し回っておりました。それでつうたら何だけど、怒られる時は怒られるけど(^0^)あえて申しますとこの方の欠点。それはそのうっとおしい声かと。書いちゃった。ナイスなルックスの持ち主ながら裏を見れば胸毛さんって訳でかなり野太い声です。しかも好みがドラマチックなPOP。ラフマニノフさんからにも影響大ってことで一つ間違えれば大バラード大会誰か止めないのかってことになってしまう。そこは適材プロデューサーがおってバックとの重さ鑑みるってことが必要だけどこの盤はバックも凄いぞ。ですから「でかいよこれ」って言われても言い返せないす。聞かれたらエリックさんの最初の一枚に非常にお奨めしにくい。さー困った。
っていっときながら実は全然困ってなく、うっとおしい声何が悪い、これが素敵です、これが無くて何がカルメンぞ。カルメン故郷に帰る。そんな貴方に「雄々しき翼」。誕生は難産でした。1作目「サンライズ」で大成功、当然2枚目もその掴んだ路線でレッツゴーたるべく同じプロデューサー、ラズベリーズ時代から長い付き合いのジミー・イエナー氏に頼もうと思ったら、何とおじさん成功したんで自分のレコード会社設立しようとして多忙になってしまった。やりたくても出来ない状況に。で、それなら好きです初期エルトン・ジョンのレコード、そこでやってたガス・ダッジョン氏に頼もう。一緒にあのドラマティック弦アレンジャー、ポール・バックマスター氏も。始めました。ところがどっこいどうもうまくいかない。出来上がったプリ・プロ作品をアリスタの社長クライブ・デイビスが聴いてもこれはあかんとなって結局エリックさん自身でプロデュースを担当することに。多分やっぱやたらとうっとおしかったんだな。で、出来ましたこのアルバム。曲はもうノリにノッてた時期です。カウンター・パンチの名曲ばっかだ。1曲目はああまいったこれがエリック節のバラード、アルバムタイトル曲「雄々しき翼」。これは多分録り直し。自身アレンジの弦の軽快さがええ按配で。リズム・アレンジ、ピアノがエルトンさんまんまやー。仕方が無いでしょ好きなんだから。私も好きだから喜びこそすれ文句無し。だって最高にはまって素敵だし。2.マラソン・マンにプリプロの名残有り。弦がバックマスター氏、ドラムにエルトン・バンドのナイジェル・オルソンさん。確かにでっかい。でも疾走する曲でOKとなりOKです。OKだ。3.「つらい別れ」も同じ面子で。今度はバラード。エルトン2枚目のあのダークなナイーブさがここに。マッドマンのあの弦がここに。覚悟があれば怖いものなし。4.「恋はかけひき」。バックマスターさん抜きでロッキン・ナンバー。ハードな曲作らせても天下一品人ですから。B面の5.「恋のすべて」は仕切り直しロス・セッションから。ロスでやって良かった。ブルース・ジョンストンさんがコーラス・アレンジやってくれた。このピアノのフレーズ。胸掻き毟るリリカルさ。胸毛も抜けてつるつるになる。クラシックの素敵なとこがこれなんだろうな。ラスト近くのマジカルがコーラス・パートがブルースさんのお仕事。すぐ終わっちゃうよ。と残念がっていると次の6.「シー・ディッド・イット」でKOされます。お得意のビーチ・ボーイズ・オマージュ作品。コーラスでブルースさん、カート・ベッチャー氏参加ですぞ。くあ。それでこの曲です。夢の3分46秒。BB尊敬曲では必ずしやベスト3に入ります。バックマスター氏の弦もここではナイス。外されようも無し。7.「自己を見つめて」。クライマックスの後、静かに噛み締める曲。ラストは大作、8分のランナウエイ。8分だし・・・覚悟しなさい。大丈夫。覚悟すれば。好きこそ耳が丈夫になる。ってことです。文句を言ったって一文の得にもならず。よく噛んでよく食べて愛おしき盤。ここでこれでなくては出来なかったことも数多しだい。

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7/7(木)
祈りて求む
cover
Twice Removed from Yesterday
Robin Trower
1973

シリーズ「ギター屋」

貴方は痩せてて長髪以外に一体ロック・ミュージシャンとして有利なとこがありますかのルックスの持ち主ギタリスト、ロビン・トロワー氏のソロ・デビュー・アルバムです。題して「過去からの2度目の離脱」。妙にアイドルな服装で2代目黄門又は柳生列堂、西村晃さんがロックやってます。ああ非現実的。夢のようだ。私はまずあの超絶ライブ盤でやられがっこがっこと取り付かれたようにそれまでの3枚を買ったのだ。そしたらまあ噂には聞いておったけどまあ地味、惹かれながらもこりゃきっとほんとに良くなるのは大人になってからだなって寝かせること30年。そしたらほんとに来た。来た来たあ。最近聴く度にめろめろになってます。全く何であーたこの時こんな若かったのに芳醇な音楽作れたんだか。ザ・バンドとかリトル・フィートもそうだけど不思議だよな。昔の人の方が大人だったのかな。
14歳の頃からギター弾き始めたそうです。高校卒業と同時にもういっぱしの専業ミュージシャンになっていたらしく。最初のバンドはジェイムス・ブラウン・コピーのものだったんだって。次いで64年にパラマウンツとゆうバンドを結成。これもR&Bをやっててコースターズの「ポイズン・アイヴィ」がヒット。ここまではソウル・ギタリストだ。パラマウンツの同僚だったゲイリー・ブルッカーがプロコルハルムを結成。あの「青い影」で大成功して、ロビンさんも同じく同僚のマシュー・フィッシャー氏と一緒に加入、5枚目までハルムで頑張った。ここでもあくまでバンド音楽優先、後の姿はちらり程度で、転機はジミ・ヘンドリクスつうお化けギタリストのステージを見てからだといいます。もしかしてギター弾くの嫌になっちゃうんじゃないかと怖くてなかなかライブ見れなかったそうで見たらやっぱり大ショックを受けてついに自分の音楽をやるべく立ち上がった。ハルム辞めて元ストーン・クロウズのベーシストだったジェイムス・デュワーつう男とJUDEってバンドを結成。どうもうまくいかずほどなく解散。しかしデュワーさんとは鉄の結束が生まれてめげずに元クイーバーのレッグ・イシドアー氏をドラマーに迎えて今度は見事デビュー、このアルバムが生まれたとゆう次第。3人の共通はそれぞれジェイムス・ブラウン気違いだったんだって。「過去からの2度目の離脱」。思い切ったが3年目、やっぱり地味な自分から飛び出そうって意味もあったか。プロデュースは朋友のマシュー・フィッシャー氏。派手な音楽が好きな地味な3人が作った音楽はやっぱ地味でした。地味つうか心の底から何かを求めて唸るって音楽か。1曲目からレコードの回転数間違えたかって思っちゃう「もうこれ以上待てない」。地面を擦りながらほふく前進してるかのようなビートに乗って托鉢するポール・ロジャース、ジェイムス・デュワー氏の唄が粘る粘る。トロワー氏のギター、それに絡み付き、次第に大蛇のように少しづつのた打ち回って。少しづつこうなったら決して焦らず。2曲目の「デイドリーム」になるとさらにテンポが落ちるつう。ほんとにJB好きなのかー(^0^)。3曲目はお得意女人名前シリーズ第一弾「ハンナ」。さらに腰を落として希求するのみ、中盤から霧が晴れたごとく嵐吹き始め巻き上がってのた狂うギターが。フリー・スタイルのバレリーナでA面は終了。B面1曲目「もう我慢できない」。出来ないー。来始めました。ごんごん。6曲目はジェフ・ベック氏もやったロック野郎ご用達ブルース・ナンバー「ロック・ミ・ベイビ」。7曲目アルバム・タイトル曲はサイケ、でハイライトは8曲目罪人の歌。このリフはJB狂いでなければ出来ません。食って引っ掛かって爆発するこの心地よさ。ジャストなドラム・ソロ挟んでギターが宇宙に飛んでくわ。戻ってこーい。戻って来た。食って引っ掛かって爆発。ラストはクールダウン「バレリーナ」。再び祈りに。冥界に行っちゃったんだよなデュワーさん。惜し過ぎます。後を継ぐもの無く、あるとしたらロジャース氏のみ。コンビを組むことはあるのだろうか。夢を見るなら・・・・同じくJB狂い、冥界へ彼もまた行ってしまったあの人がドラムで3人でやることがあったら・・・。ロビン氏はペイジさんと肩を並べるサウンド・メイカーだと確信します。宇宙ジャケ。ダテにそうじゃありません。それを信じてください。

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7/8(金)
ばりばりばりばり
cover
Dave Edmunds, Rocker: Early Works 1968/1972
Dave Edmunds
1977

シリーズ「ギター屋」

ウエールズのロックンロール・マエストロ、デイブ・エドモンズさん。その活動初期の曲をどわっと詰め込んだのがこの1977年のLPです。最初のバンド、ラブ・スカルプチャーの曲が1枚目に「ラヴィン・サイド」でソロ・デビュー盤「ロックパイル」が2枚目に「ロッキン・サイド」で収録されてる。お得!。CDでは2000年にEMIから「プレミアム・ゴールド・コレクション」つう凄い名前で曲順違えどほぼ同内容で出てます。
44年に英国はウエールズ、カーディフで生をうけたデイブさん、ガキの頃からもうロックンロール気違い、その最初のプロ・バンドは66年に結成したラブ・スカルプチャー。その時はナウな男でした。クリームに続けとばかりのロック・トリオ。世間に注目されたのは68年の大ヒット「剣の舞」、ハチャトリアン氏のはちゃはちゃしたその曲は11月に登場して最高位5位まで上がっただよ。もうこのバンドでは気持ちいいくらい弾きまくってます。ばりばりばりばりー。ベースは指でぐんぐんぐんぐん。弦が切れるよー。その最もたるものが先の「剣の舞」で、聞かれたらもうあの曲かと思われるかと。路線としてはクリームつうよりテン・イヤーズ・アフターかな。おお凄ぇ高速速弾きだーって皆さん驚く。2匹目のどぜう曲はビゼー氏のファランドール。これはヒットせんかったけど。この曲はあの曲です。聞けばこれもあああと思われること必定。でも思い出せないよ。何でしたっけこれ。後はやっぱ三つ子の魂百まででチャック・ベリーさんの曲、ブルース・ロック・バンドだからウイリー・ディクソン、エルモア・ジェイムス、フレディ・キング王の曲も。何が最高ってブルースやってもまるで陰影とか哀愁ってもんがありません。「へい、お待ち。ほい、ブルースね」ってぽんぽん握ってくれる江戸前寿司屋しかも立ち食い。快感です。でもなあやっぱやべえだろな。普通は。同じように江戸前のロリー・ギャラガー氏のテイストはロリーさん自身が哀愁だけどデイブ君はけろけろ。とゆうことで70’s突入と同時にいよいよロクンロール博士道に入道すべくソロ・キャリア突入、自分のスタジオ、ロックフィールドで活動開始します。デビュー・アルバム「ロックパイル」。ドラムスにテリー・ウイリアムス氏。このコンビが岩杭の打ち込む基礎なのだな。助っ人に英国にこの人有りのスティール・ギター奏者BJコールさん、世界一のサイド・ギタリスト、アンディ・フェアウエザー・ロウ氏。音の感じがラブズ時代とまるで違います。いきなし今も知られるデイブ音に。ヒットも生まれた。「I Hear You Knocking」。デイブ・バーソロミュー=キング作のニューオリンズ・クラシックのこの地味な曲、聴いてもほんと地味な曲が何と70年暮にイギリスで1ヶ月間に渡る首位獲得、アメリカでも最高位4位まで上がっちゃった。ちょうどロックンロール・リバイバルの空気があって見事それに乗ったとは言えこりゃびっくり仰天です。他にはリアルタイム、南部のロン・デイビス氏作、デビッド・ボイちゃんやスリー・ドッグ・ナイトもやった「イット・エイント・イージー」、何故CDには入って無いのだ、ニール・ヤング氏の「ダンス・ダンス・ダンス」なんてのも。エドモンズ演奏ヤングって・・・最高です。大好きなチャック・ベリースケベ親父の曲も遠慮なくどばば。ザ・バンドもやった「プロミスト・ランド」、フェイセズでお馴染み「スイート・リトル・ロックンローラー」。CDではニック・ロウさん作とクレジットなってる「I'll Get Along」はレコードではハンク・ウイリアムズ氏作となっててその辺の事情も想像するとスリリングで。この盤からデイブさん、ロックンロールの本場はイギリスでんねん運動を邁進すべく頑固なソロ・キャリア開始。ますます奥に奥に入ってしかもそれに答えて英国の民も時々それをヒットさせちゃうつうえらいことに。だって楽しいもん。どんなにマニアックになったって。3コード万歳なのだ。こりゃもう出だしから古いから今更古くならないし。

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7/9(土)
頑張れタブチ
cover
Killer Queen
Queen
1975

シリーズ「完璧なシングル」

さー今週の完璧なシングルはバッドフィンガーの「嵐の恋」です。この曲はもう・・・無敵。終わり。さあ聴こう。ああ。って、でもいいけれど(^0^)。讃えなければ。
完璧なシングルの最大条件はカバー不能ってことかと。誰が出来ますかいこの曲のカバー。そりゃやりゃわしだってバンドで出来ますが。トリビュートしたくて若手売れっ子さんがやろうとも必ずしや自爆します。アレンジもこの他に何が考えられようか。この野太いギター、どす重いリズム、甘美なメロを唄うハム氏の声。支える蒼い臭いのコーラス、すべからく掛け替えの無いものであります。そりゃビートルズの香りはするわ。そこかしこに。では最後の砦、ビートルズがこの曲のカバーをやったとしたら。駄目です撃沈です。バッドフィンガーなのだ嵐の恋は。だってそうなんだもん。子供になってしまった。邦題もきまり。嵐の恋。名訳です。これが「わたしゃストーカー」だったらどうなるか。台無しJR。歌詞の貴方が何をしようとも何をやろうとも鼻毛を抜いててもガングロウになろうともステテコで踊ろうとも私を全てを持って愛してくれるなら私も全てを持って愛そう。風速75m級の嵐の恋です。ですからこの野太いギター、どす重いリズム。でなければならないのだ。この愛の歌は男女の別問いません。対象も問わず。貴方は誰ですか関係者ですかのジャケのエイリアン2、しがないウィーバーさん似のごっついどうしたらわからないような女人に対しても有効。嵐ですから。目も風で見えません。恋だし。ぴったし3分、吹きすさぶ激情劇場。竜巻ぶーん。

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7/10(日)
体育館座りが好き
cover
Out of Time
R.E.M.
1991/3/12

シリーズ「from 80's」

最後のロック・バンドR.E.M、「グリーン」に続くワーナー移籍後第2弾、通算7作目のアルバムです。グリーンがアウト・オブ・タイムな人間にとっては最後のアナログ名作だとすればこれは確実にCD時代に突入、ジャケからして完全CDモードだ。しかして録音はベアズビル・スタジオ、曲数は11。中身はいささかも揺るがぬR.E.M、一番内なる光りが外に零れ落ちて幸せな時代だったかもしれません。青春です。青春だー。10代の頃って傍から見れば大したこと無くてもとにかく悩む。体自体悶々としてる上に自信の無さ、人間関係、疎外感、恋愛のこともあろう。そんな時、一人自分家の寝床で体育館座りして聴くに相応しき音楽筆頭がこのR.E.M。実際米青春ドラマ「ビバリーヒルズ青春白書」でも必ず悶々場面には使われておったわ。70’sにはジャクソン・ブラウンつう巨匠がいましたけど大人になってしまったから80’s以降は一手に引き受けてます。イギリスにはジョイ・ディビジョンつうこれまた巨匠がおりますが、彼らの音楽は同じ体育館座りでも体育館履きを忘れて授業中端っこで裸足で泣きながら座ってるがごとき空恐ろしい現実感有り。同じ悩みでもどっかに光りを見たい、この後はパーっとバカヤローしてラーメン腹一杯喰いたいって時にはこれしかないぞ。そんな感じが一番あるのがR.E.Mの中でもこの盤が一番かと。だって「ルージング・マイ・レリジョン」が入ってます。同時に強烈に想起するのがあの見事なビデオ・クリップ。映画「カラバッジオ」。そりゃ物理、数学のテストでは赤点すれすれだったけど悩む時くらい少しは知的にさせてくれよ。嬉しいです。最後の演歌マンドリン・フレーズまで充分に正当な悩み抱えて座れる。そしてその後、体悶々を引きずりながらパーっとバカヤロ同時に出来るのが「シャイニー・ハッピー・ピープル」。バカヤロ応援担当はB52’Sのケイト嬢。これもビデオ最高でした。一緒に踊る。とにかく腹が立った時は「レディオ・ソング」。”世界はぶっ壊れてるぜ”。恋人と(いる憎たらしいやつは)肩を抱き合って一緒に横に揺れるには「ニア・ワイルド・ヘブン」。いなかったらパパパパと想像する。遅刻しそうで全速力で疾走最中にも関わらず胸キュンするには「テキサカーナ」。ありとあらゆる青春シチュエーションに対応。これは言葉わからなくても存分に伝わる、そが音楽。世界中で支持されるのは当然であります。年齢は・・・この歳になって聴いても恥ずかしいくらい来ちゃう。聴いてるとドギマギして何にも出来なくなっちゃうくらい。困ります。強烈で。

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7/11(月)
大ワズー進撃
cover
The Grand Wazoo
Frank Zappa
1973/5

シリーズ「Pa!」

壮大なる大河ドラマ「もりもり雑葉」の前中盤のクライマックスを飾る「大ワズーの乱絵巻」サントラであります。10万人の女性シンガー軍団を擁する憎っくき敵MOPに立ち向かう失業ミュージシャン軍のお話。武器はもちろん手持ちの楽器。最前線に位置するのは大ラッパ軍団だ。女性シンガーのくねくね攻撃にくらくらしながらも果敢に攻撃するザッパ軍。エインズレイ・ダンバー中将の太鼓に鼓舞されとにかく勇壮、その姿を一目見れば眩しくて何も無かったことにするか、思わずその場にある空ラッパ(もしくはエア・ギター)を手に取り、戦闘に参加するしか無し。どうしますか?出自は前作ワカジャワカと同様、双子アルバムです。どちらがいいかなんてこたあご飯とパンどっちが好きか寿司と焼肉どっちが好きかと同じくらい無意味。喰いたい時にどちらかを喰え。どちらもそんじょそこらじゃ喰えねぇ代物だから美味くて美味くてがっつく無かれ。ノドに詰まっちゃう。容赦無く流れ行く音のご飯ツブ一粒一粒の味がわかるまで繰り返し繰り返し1マン5千回咀嚼してみましょう。それでもまだ味が出て来るわ。このとてつも音楽、現地アメリカはLAでライブ初演した時、ブーイングの嵐だったそうな。途中退席者数多く最後は客席ガラガラになっちゃったんだって。信じられない暗黒話。これは何も演奏、音楽が悪いって訳じゃ無く客はほぼ全員、この直前までやっていた大関西笑劇バンド版マザースを期待していたからだとゆう。ハッピー・トゥゲザーやれってか。恐ろしきことだ。敵は腹中にあり。ザッパ氏がこの世で息をしていたのは、この音楽世界、溢るるは3分POPS、Aが来てBが来てギターソロが来てリフレインしてフェイドアウトつうものばかり、何も悪いとは言わねぇがそうじゃ無い音楽をやる大馬鹿者がいたってええじゃないか、俺にはそれが出来るし聴けってことじゃけん。ザッパ音楽に少しでも触れた人間なら覚悟せねばならぬ。中央の幹はいささかも揺るがず大きく繁った枝のそこかしこに生っているリンゴ、ミカン、ブドウ、バナナ、カシラ、白モツ、ゼンマイ、グロッケンザーネトルテを喰えばいい。まあ、そのバナナが美味くて美味くて忘れられないだけどよう。もとい。その帰ってしまった気の毒な人にもこうして優しく盤をふるまい。帰り様も無い、時間を超えて生息してる我らにもこうしてその時そのままの音を喰えるようにしてくれる。何とまあありがたいことです。涙流していただきます。涙の味と混ざってしょっぱいです。ご馳走様っていつ言えるかどうかわかりませんけどいいですか。

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7/12(火)
ぼまーーーー
cover
Bomber
Motorhead
1979

シリーズ「ヘビメタ虎の穴」

ぼまーー。モーターヘッド、79年の3作目です。ボマーと言っても腹部膨満感でなし、ましてや東京ボマーズじゃなし。爆撃機ボマーだ。じろっとジャケをご覧になっておくんなまし。ちゃあんと操縦席及び機銃乱射席に妙な縮尺で3人の荒くれが乗ってます。落とす爆弾はもちろん轟音爆弾。当たっても喜びでボムしちゃう。機長はレミー。レミーと言ってもまるたんじゃなしましてやアイドルでなし、女ですらない汚い、不潔、ばっちいのノーブルな三拍子揃った男。この男どうゆう訳かあの美しきリッケンバッカー・ベースを持って妙に似合っているとゆう。苦しいのに何が好きなんだか上を向いて歌うわけだ。ピックでフォークギタア弾く様に。まあ一般社会ではおそらく鼻を摘まれる事間違い無く良かったロッカーで。ロッカーだから成功出来た。前作オーバーキルがパンクの嵐の後、燃えに燃えたロンドンっ子の臨界魂に火を付けて大ヒットしちゃった。オバQ好きオバQ好き夜も昼もありゃしない。よっしゃあ、こりゃ行くっきゃねえだろと調子に乗って同じ陣容で出したのがこれだボマー。大ヒットしたからもういいもの食ってます。厚さ13cmのビフテキ。力ますます付けちゃいましたから高速ものの切れは相変わらずさらに余裕ぶっこいてシフトダウンでじわじわって来るものもあり。重さの分破壊力はそのまま、まだ喰うかの旺盛なる食欲は2.のラーメンなんて曲をもものにしたぞ。でもって乗りに乗ってる時のモターヘッド、メロディアスです。音は3音しか使用せぬが。胸がきゅんきゅんきゅんきゅんする掻き毟りたくなる青春やこれが。ギター・リフだって歌だって。その代表曲が5.の「ポイズン」。♪世間は俺にもう少し物知りになれないものかねと言うんだよ。知ったことかほっといてくれ。俺の頭は毒毒なんだ。人生も毒毒。彼女だって毒毒。結婚してみたいです♪。と最後に小幸せで落とすところが見事。レミーちゃん、笑顔がかわいいのを私は知っている。それからうーんと、もう無いや。これがロックです。何か足すような小知恵(あゆはら)は無し。肩が壊れるまで投げ続けるしかありません。ならば肩が壊れるまで聴き続けようぞ。ぼまー。

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日本盤

グッヅ

7/13(水)
仔豚ぶうぶう
cover
Anna
Serge Gainsbourg
1967

シリーズ「おフランス」

アンナ。セルジュ・ゲンズブール氏音楽の1967年、フランス映画のサントラです。主演アンナ・カリーナ嬢。入店するや30倍の辛さで即注文、出て来てすぐさま一口喰うもこんなん喰えんって女性。では無くて女優さん。ジャケの顔が尋常じゃありません。見てはいけないものを見たか。何かのあとか。何だろう。鼻の穴が開いてるぞ。1940年デンマーク生まれでエディット・ピアフさんのとかシャンソーが大好き、地元で歌っていたものの我慢できず17歳で家出してパリに出て来たとゆう。ココ・シャネルさんやジャン・リュックゴダール氏とお知り合いになり、ココさんにアンナつう名前拝名。もうここまでだけで映画になりそうな人生だ。ゴダール氏と別れた後作ったTV映画がこれらしく私は見てないの。く。セルジュ氏も主人公(セルジュって役名)の親友役で出てるそう。んで勝手に想像するに・・・これがなかなかでけん。少なくとも言えるのは駄々っ子しか出て無い映画だな。人のゆうことなんか聞かん。演奏にしろ歌にしろコーラスにしろもうおフランスの私ですからしてー大爆発。いやもう気が強そう。アンナさん吐き捨てるように歌い、セルジュさんふんふん言って歌い、コーラスは別にこれは怒られてるのでは無いと思う。最初に出てくるのがメイン・テーマ。「太陽の真下で」。もう鳥肌おっ立ちまくりの素敵曲です。ワルツだな。一応。1,2,3、1、2・・でストップモーションがかかる。まるで歩いていていきなし止るように。こんな曲ちょっと私は他で聴いたことなし。通称すれすれソング。これだけで買って良かったと涙流しますさめざめ。この曲を頭の片隅に置いたまま他の曲に直進。出て来るはスタックス・ソウル風セルジュ・ラップ、ピアノのシングル・ノートが美しすぎる曲、お互いまるで言いたい放題それなのに何故か仲が良さそうなやつ、アンナさんのおまめのテーマ?、セルジュさんもうこんな生活嫌だー絶叫ソング、総天然色ロンドン通り、橋の上で腕組んで歩く、インチキ西部劇、全員旗振りながら総出演、お酒やらお薬やら飲みながら国家斉唱してるみたいなやつです。音だけでイメージが奔流となって脳髄に直撃。これでどんな映像になってるのか。見たい。見たいけどその前にこれ聴きまくって自分の映画を楽しみたい気もする。まるっきり接点が無さそうな生活感をお家で楽しめる。これが音楽の醍醐味です。センシズ・ワーキング・オーバータイムしたくない方は触らない方がよか。どう見ても冴えない親父にしか見えませんセルジュさん。聴けば聴くほど才能の塊。おモテになったのも納得して来ちゃったぞこれが。アンナさんは「天使みたい」って言ってたそうな。

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7/14(木)
アホ主義
cover
Stupidity
Dr. Feelgood
1976

シリーズ「パブロック部」

やばいです。人生変わりました。マジで。パンクのパの字も知らない時、全米チャートに夢中でアメリカン土臭〜い音楽ばっか聴いてた時に、何の因果か聴いちゃって。どショックです。そりゃあ。ビートルズのレット・イット・ビーのハリソンさん、明日なき暴走ジャケのブルースさん、ザ・バンド仏ライブアルバムのロビーさん見て買った初めてのエレキ、グレコ・ブラウン・テレキャスターはこの日からウイルコ印に大変身。来る日も来る日もガッガッひゃきひゃきコード弾きばっか練習することとなります。でも出ないんだこの音が。くそーと益々やって血豆が出来て血を吹いて。それでも何か違う。そうですこの男、指で弾いてたのだ。根本的に間違ってたぞー。指弾きでしかこの切れは出来ん。ピックだとどうしてもコード弾く時わずかなタイムラグが。指だといっぺんにぐあっと弾けるぞ。強く弾けば指板に当てて打楽器にもなる。しかもよく聴くと小技もしてるラストの曲ロクゼットをどうかご覧下さい。リフを弾きながらコードカッティングうちゃうちゃ入れてます。どんな弾き方してるんだ。指がこんがらがるではないか。今だからこそこれわかるけど当時はわかってても認めたく無かったか、全く。でもとにかくやりたかった。出来るとこ強引に探した。バック・イン・ザ・ナイトのこれはボーカルのリブローさん担当のスライド・ギター。これは出来ました。リトルフィートやりたくてスライド始めたんだけどねえ。出来るかーあんなん。これならOKだ。来る日も来る日もヒャアヒャア。ひっくるめてショックだったのは次のアイム・ホグ・フォー・ユー・ベイビのギター・ソロ。ペンベコ、ベン、ペンベコ、ベン、ペンベコ、ベコベコX3650回。おおおパンクだ。これがアホ主義だ。で、来る日も来る日もこっちもベンベコベンベコ。次の歌の合間にはしかし絶妙な間でオブリガード入れてるのが今では聴こえる。A面最後となる「シー・ダズ・イット・ライト」。このリフもやったやった。んちゃグ・ッチャッチャ・テロレロ、んちゃグ・ッチャッチャ・テロレロ。平仮名の「んちゃ」の部分が超重要。この裏を自然に入れられるまで精進せなばいけません。しかしよく聴くとリフの合間にコード切りここでもしてるで無いか。そして次はブルース・ハープを買う。トンボの。ホーナーの欲しかったけど金は無い。雑誌プレーヤーのブルースハープ講座見てAのコードの時はDのハモニカで吸うのを基本にすればブルースになることは知っていた生意気にも。で、やったのは2曲目20ヤーズ・ビハインド。ぱーぽーぱーぽーひゃららららら。何と無く出来たけどこれまた音が違う。それでもやらずにおられるものか。同時に足腰を鍛錬してジャンプ力も身に付けねば。あと凶悪なテンパってる目付きも。うーん、これが出来なかった最後まで結局。これが出来た人間がプロ入道なんだなきっと。それでも。それでも聴けば熱狂を巻き起こします。抗えませぬ。あっけなく終わる曲のラストが同じR&Bやっても60’sとの大きな違い。俺たちの時代。徹底的にストイックで幹しかしない信念。パブロックから抜け出して爆発したパンクの御心これが。気持ちだけはしっかり入ったと思う次第。

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7/15(金)
続おしゃれ泥棒
cover
You Could Be Born Again
The Free Design
1968

シリーズ「お日様POP」

ベスト盤「バブルス」くんに続いてフリー・デザイン、68年の2ndを入手しました。実はその前に同じシエスタ・レーベルから出てるバブルス続編ベストを入手しかけまして。同じように2枚組コンパクトサイズ、カラー・ヴィニールでものすごおしゃれジャケ、それで700円!やったーっとレジに持って行ったら何やら店員さんが念入りに検盤してる。そしたら何と2枚とも同じ盤が入っているから売れませんだって。聞けばこのレーベル管理がアバウトでこうゆうことがよく有りクレームが出てたのこと。まージャケはあんなに気を使っておしゃれいなのに。スペイン人謎です。もしアナログのそれを見つけて買おうと思ってる方は充分注意してください。て訳で、あああ、もう出会わないかなと半ば諦めていたら出会った。おおこれは神の思し召しよと不信心な人間がこの時ばかりは感謝です。盤が極厚の重量盤。去年、シアトルのレーベルから出されたもので、も、もしや知らないところで人気出てるのかー。世間の状況はどでもいいか。はまりました。バブルスでとっかかってこれで完全に奥地へ。こんなに口当たりがいいのに何故こんなに濃い個性なのか。今なら5秒聞けば判別できるきっと。恐ろしくストイックで柔らかい絹ごし豆腐を作る時みたいに丁寧に丁寧に味と形を整えている様がわかります。そんなとてつもない音楽への愛情、執念かな、を内に秘めて、出て来るはあくまでもクール、ひんやり。日本の初夏の湿度を5%は確実に下げる。体感では50%下げる。何と無しに聴き始めるもいつのまにか鼻歌歌えるくらいになっちゃう。何か怖いぞ。引きはエリナ・リグビー、夢のカリフォルニア、ハッピー・トゥゲザーのカバーかと。普通じゃ自爆確実のこれ、極上です。エリナ・リグビーの異世界ぶりにびっくり。俺は今何を聴いてるのかと思ってしまう。それに増してやオリジナル曲の素晴らしさ。もう1曲、巨人デューク・エリントン氏の曲のカバーもやってますけど、ビートルズ、エリントンと同じ舞台でそれに完全に肩を並べるって。へへえ。参勤交代行列出現時状態になってしまった。しっかし私こうゆう音楽こんなに好きだったっけか。渋谷系やろ、フォッショナブルやろ、ケなんてもので最初のハンデ大きく。それでもこれだけはまるは純粋に音楽の力と作ってる人間の真摯な眼差しかと。初めてジャケで尊顔を拝見。全く普通のアメリカン青年、お姉さんだ。これは見た目だとあかんか。どんなに素晴らしくとも音楽だけで世に広まるのはもしかして30年とかかかるのかともため息もつく。カーペンターズが好きな貴方。もしまだでしたら行っちゃって下さい。こうゆう若者達の苦闘があってそうなんだなと改めて実感いたしました。

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輸入盤

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7/16(土)
ドゥドゥドゥドゥドゥードゥ
cover
Another Day
Paul McCartney
1971/2

シリーズ「完璧なシングル」

今週の「完璧なシングル」は「アナザー・デイ」。演奏してくれますのはポール&リンダ・マッカートニー夫妻です。発売は1971年の2月。ビートルズ解散後、初のソロ・シングルでありました。この頃ポールさん公ではバッシング台風のど真ん中。ビートルズの解散の原因を作ったのはこいつじゃいつうこととなってたのね。ポールさんだってビートルズ大幹の人だってゆうのにげに恐ろしきはビートルズつうでっかい幻影です。壊すものはメンバーであっても許されないとまあ。それだけのマジックがあの4人が揃うとあったってことだけど。解散の原因は時にあったと思います。こうゆうことは誰が悪いってことは無し。それでもいたたまれないその気持ち、悪人作りたいってわからんでは無いけど何と悲しい事でしたでしょうか。して肝心の張本人、ポール氏はどうだったかつうとけっこう幸せそうで。何てたって新婚さんですし。どうにもこうにも詰まっていたバンドから解放された。悠々自適に一人で好きなことやったアルバム出してご満悦。世間ではそれ聴いて怒。適当に作りやがってて。件の騒動の真っ最中でもあって冷静に聴けるはずも無し。その様子を見て聞いてけっこう評判気にすることもある人ですから、そりゃミュージシャンだから当然ですけど、お毛毛の生えた胸をさぞかし痛めたのでは無いかと。そこで取り掛かった徹底作り込み音楽ラム・セッション。先行して出したのがこの「アナザ・デイ」です。これがまた・・・気にする割に気が強い人でより一層の幸せムード全開曲。

♪毎日彼女は朝風呂に、髪は濡れてます、タオルを巻きつけて寝室の椅子に腰掛けます。ただの何てこたない日に。靴下履いてー靴履いてレインコートをつっかけて。
♪書類山積みの事務所。彼女はちょっと休憩。コーヒー飲んで。それでも眠気は醒めません。
それはただの一日。

♪憂鬱、憂鬱。時々とっても彼女は憂鬱。
たった一人でアパート暮らし。夢の中の人がやってきてくれるまで。

てな感じで別にお惚気ソングじゃないんだけど、雰囲気がそうですから。こっちがこんな騒いでるのにこのーっと、やっぱりプレスは酷評したつうからどこに耳が付いてんだか。今になっては全く笑止千万なことであります。でもさ、チャートは正直です。いくら書かれようがいい曲はいい曲。こっそり聴いてうっとりしてた人多数。普通の人の普通の生活しみじみでそれはもう共感を生むよ。バッシングの中心地英国でも最高位2位。好意的だったアメリカでは1位。ほらみろだわい。か。しかしやっぱり大した人です。廻りがあんなんキンキン行ってる時にこんな呑気曲よく作れるもの。しかも大傑作。力と意地でビートルズ時代に匹敵するいや生涯最高かも知れない曲ですし。
 私はポール氏のほけほけ曲大好きです。力抜けて抜けまくってるほど素敵。力入っちゃうと・・・・最高のシャウターだけんど、その後の油断したお顔が、わはは、やばいぞ。ですから最近やたらと、でかコンサートに借り出されて全員大合唱、頭でキンキンしてる姿は辛いものあり。これからとても大切です。長島さんもそうだけど廻りがその人の素晴らしさぐちゃぐちゃにする可能性有り。音楽は出た後は受け止める人間が育てるものだと思います。
最後にリンダさんに、リンダさんに乾杯。この方のおっかさんコーラスがいかに新生、ソロ・ポールさんにベストマッチングだったか。ソー・サッド、ソー・サッド。
B面は夫婦喧嘩ソング(^0^)。

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