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今日の感謝盤一覧2005.6上

 

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6/1(水)
追憶のメロディ
cover
Abandoned Luncheonette
Hall & Oates
1973

シリーズ「ヒット王」

アバンダンド・ランチョネット〜捨てられた食堂、この舌を噛みそうなタイトルのアルバム、ホール&オーツの2ndアルバムです。「微笑んでよサラ」の大ヒットで76年にブレークした後、再リリース、そしてやっぱ大ヒット、最高位7位まで上がった「シーズ・ゴーン」収録のもの。私も件の曲ですっかりやられそしてやっぱりこの曲でもすっかりやられアルバム何とか手に入らないかと方々探したんだけど駄目で確かやっとNHKFMの「軽音楽をあなたに」で聴けた思い出有り。後日CDで入手出来て今再び聴くと何とも言いようの無い感慨が襲って来ます。テープ、ぼろぼろになるまで聴いたのだ。今でも彼らのアルバム中、屈指の作品だと思ってます。
 ようやくデビューのチャンスを掴んで1stをリリースしたものの売上げは惨憺たる物になってしまい本人たちもちとフォーク寄りに作りすぎたかなと反省したらしく、今回は己のルーツ、フィラデルフィア・ソウルに立ち戻って行こうとの意欲満々で製作されました。そうなると製作のアリフ・マーディン氏のオハコ・ジャンル。呼びに呼んだり豪華ミュージシャン連合。特に音の要となるリズム・セクションには後のスタッフのリーダーになるベーシスト、ゴードン・エドワーズ氏、そしてドラマーにはNYとLAを股にかけてファンク・グルーヴの帝王となりましたバーナード・”プリティ”・パーディ氏を起用してそりゃもう色香ぷんぷん。それにまだまだフォークの臭いを残していたホール君オーツ君のアコースティックな感触が乗っかって他に類を見ない独特のホワイト・ソウルの完成です。サウンドがばっちりはまれば曲もばっちりはまって来る。後年のど派手シングル群に比べりゃそりゃ地味かもしれませぬが、そりゃもう味わい深し、噛み締めれば噛み締めるほど味がちゅるちゅるの名曲ばっか。二人もまだまだデュオとして機能してましたからこちらが歌いあちらが歌い、互いにコーラスを取り。ホール君も目が澄んでいて(^0^)、真っ直ぐに歌って。環境的にも時代的にもここでしか生まれ得なかった奇跡の作品だ。2.のオーツ氏のヴォーカルなんかもう、昇天。ラスベガス・ターンアラウンド。イントロのメロウさにクラクラ。オーツ氏のボーカルなんかもう。シーズ・ゴーン。言わずもがなの名曲です。1+1=2637になってる。根っこで支えるはやっぱパーディ氏のドラムだーと最近つとに気付き。大体この盤では奇跡のようにこの方、律儀に叩いてます。いつもは全開なんだけど。その抑えた中に醸し出される独自のパーディ・シャッフル・グルーヴ。これを生かせる音楽を作れたことだけでこの盤はもう名盤に決定かも。ジャケットの廃食堂で朝、朝飯を二人で楚々と食べてるが如きリリカルなアイム・ジャスト・アキッド。オーツ氏のボーカルなんかもう。朝飯食い終わって町へ散歩のタイトル曲。ここではホール氏の歌の華やかさがもう。もうもう言い過ぎて牛になってしまうわ。さて問題です。このアルバム中1曲だけ(8.のアコ曲除いて)、パーディ氏以外の人がドラム叩いてます。それは何でしょう。・・・・・正解。2.の悲しいめぐり逢い。叩くはリック・マロッタさん。これは微妙でこのシャッフルも彼のお得意なんだよな。パーディさんのシャッフルとの違いも楽しめます。言われなくても買ったらそこまで聴き倒しちゃう。そうゆうアルバム。キーとなってます。

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6/2(木)
初々青春歌
cover
Friends
Elton John
1971/4

シリーズ「ヒット王」

最近ではすっかり別人28号になりなはってファンとしては情け無いやら悲しいやら。成功して歳を取った後が一番ミュージシャンって苦悩の時かなんどと思ってしまうエルトンさん。こんな時もありましたがこの「フレンズ」アルバムです。下積みからようやく抜けての69年から71年、キンキラキン衣装になる前の彼の音楽。言いようの無い独特の風雅有り。奔流の様に出来上がって行った曲の数々による6枚のアルバムの中で迷わず人にお奨め出来ますのがこれと「17−11−70」。個人的にはあまりに好きで友達に貸そうと学校に持って行ってこのジャケですからえらい恥ずかしい思いをした思い出有り。映画自体もあれですから。助兵衛な野郎だとレッテル貼られてしもうわ。はともかく、エルトン氏にとってもナイジェル、マレイ+カリブ・クエイ+ポール・バックマスター&ガス・ダッジョンつう鉄壁布陣が初めて整った記念すべき盤で、録音はロンドン・トライデント・スタジオ。何でも自動車の騒音や雑踏がうるさくて録音には往生したらしい。作詞の相方、バーニー・トーピン君、脚本を斜め読みして歌詞を作ったって無謀だよな。よく聞く話だけんど。それでエルトンさんもいつも通りちゃっちゃっちゃと曲付けて、結果こんなぴったしの初々しいサントラが出来ちゃったてんだから音楽・映画の神様はイタヅラ小僧です。それでもあまりにも合わないとボツ曲がいくつか有ったり(そりゃそうだ)、前述の悪条件もあって本人はおかんむり、単独CD化はいまだなってません。3枚目のアルバム用に取っておいた虎の子曲出したりしてやる気充分だっただけに悔しい思い出あるのかも。ともあれ現在ではレア・マスターズにそっくり収録。他にも本当の意味でのお宝が一杯、今でも廃盤にならないのはこのフレンズの根強い人気のせいかもしれず結果的には吉かな。サントラですからインスト曲もサンドイッチのように入ってまして正確にはエルトン=バックマスター連名作か。でもそれがよくて。エルトン歌唱の曲。もう最高の曲ばっか。シングルカットでヒットした「フレンズ」そして「ミッシェルの歌」両者ともそのリリカルさに耳がくらくら。ライブのオハコだったファンキーな「キャン・アイ・プット・ユー・オン」。既にこのバンドならではのグルーヴ全開。「ハニー・ロール」もスコーンと抜けてしかも澄み切って。そして最後の「四季はめぐり来る」。たった5曲だけど金の5曲なのだ。ポール氏によるインスト部分はいつもの大迫力、力の厚揚げストリングスじゃ無くてさすがに優しく包み込むように。映画のセリフも挿入されてたりして。ほら映画開演前に流れるでしょ館内に音楽が。あの感じです。あの時間いいですよねえ。あれが自宅で味わえる。これはサントラならでは。静かな時が過ぎて出て来るきんどうさんの歌。引き立っちゃってまあ。効きます。音楽天国。今がどうであれこの時のきらめきは真空パックされてここに残ってます。微かに思い出として残ってる方も、今のエルトンさん見てうげーって言っちゃってる方もいかがでしょうか。これが・・・と思われるかと。期待いたします。

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6/3(金)
氷ファンク
cover
To Each...
A Certain Ratio
1981/5

シリーズ「新波倶楽部」

ロックをづたづたにして死ぬか生きるか瀬戸際で再生しようとしたパンク/NW。ディケイドを超えて80年代に。人種の壁の上に超然としてたファンクも無事ではいられませぬ。現れた刺客は寒い国英国マンチェスターから現れたア・サーテン・レシオ。明後日にしよ。じゃ無くて今日聴こう。ニュー・ウエイブ・ディスコで聴いた物凄い音が忘れられずCD時代に探し回ったのだ。「A」の棚か、「C」の棚か、って。諦めかけた頃ようやっともう10年くらい前になるのか入手したのがこれ。今又廃盤寸前のようで値段も高いけどずっと希求してた人にはきっと逃せられない盤です。カセットでリリースされたのは別にしてLPとしては1stアルバムがこの「To Each」。何だかお肉お肉のジャケが強烈。予備知識無しに聴かれる方は何だこのお岩さんボーカルはって驚くぞ。絶望を遠慮無く真正面から出そうつうファクトリー・レーベルの王、ジョイ・ディビジョンと並ぶ長島バンドですからその暗黒度たるや少々の照明では白い歯すら見えません。温度も零下23度。その中であらがうように叩けるものは叩きベース弦をかっぱじきます。クールなんて段階では無くこれぞコールド・スウェット。出て来る汗は瞬時に凍る。その氷を突き破るようにまた汗がって音だ。この熱寒い音を作り上げた男はマーティン・ハネット氏。頑固也。己の音は唯一、ジョイ・ディビジョンで見つけた音をそのままここでも展開。厚みの異なるリヴァーブを駆使して3D立体暗黒地獄天国高層ビルディングを建設いたしました。バンドが奏でる音はこんな状況では枝葉をやってる余裕など無く木の幹のまた皮を剥いた芯だけです。ぶりぶり&パタパタ。無意識の内にやってしまっているのはファンク誕生期にその祖を求めたラテンの水で、だからラッパはトランペットが。CDで聴く意味大有りです。しかもパソコンで。メディア・プレーヤーに付属のtru bassをオンにして音が割れる寸前にして大音量、体で浴びて下さい。絶望通り越してあっち側からお肉がモリモリと。マンガの肉大になって力湧いて来る事必定。叩けば叩くほど刃は切れ味を増し鈍く光りを発するのだ。ハッスルハッスル。

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6/5(日)
稲荷だけシャリ無し
cover
1984
Van Halen
1984/1/9

シリーズ「ヘビメタ虎の穴」

イエス。80’s何のその己の道をひたすら地道に突き進んでたヴァン・ヘイレンがついに突破。天使が舞い降りてきたマジック・アルバムです1984。全曲オリジナル。今までカバーやって来たのはどうもシングル向きのコンパクト&キャッチーな曲が出来なったてのもあり、今回は4曲も出来ちゃいました。しかもそれぞれ味わいが違う極上もの。オバカキャラ全開、時々ターザンしてエドワード君ニコニコのビデオ・クリップが最高だった「ジャンプ」。「あげろ」の空耳までサービス。最初聴いた時はお、ギター弾かないのかーって心配したりして。やることはわかっていました。カルフォルニア・サンシャイン・メタル。大体メタル人つうとどうも会話したら話が噛みあわないような雰囲気を持ったバンドが多く(実際は違う場合がほとんど)、その点このバンさんは親しく話して友人になれそうなそんなメタル人。音楽も。そんな自分達にぴったしの曲やっと獲得。祝。違う楽器で曲作ると突然インスピレーションがんがん湧いたりするもんすが、エドワード君、鍵盤でやってみたのかな。一旦降りてきたらしめたものでギターで作ってももうOK。それで「パーナマ」。おまけに「稲荷だけシャリ無し」の空耳付。いやーいい曲やってる最高のバンドを聴くのって本当に楽しいです。「ホット・フォー・ティーチャー」はゲリラ的シングル。ギターを味わって、デイブちゃんやんちゃを。最後の「おー・まい・がっ」に乾杯。「ウエイト」は一転、哀愁のメロディ。もろ手弾きのシンセが素敵。その間ちゃんとギター抜きってのもバンド魂感じます。それにしてもしみじみ思うわ。デビッド・リー・ロス。あんた最高や。ビーチ・ボーイズから、どメタルまで歌える男など他におりませぬ。それを支えるに相応しいメンツもこの3人しかおらぬ。にっこり笑って見守って煽ってくれるエドワード君が隣にいる姿、後ろで見かけによらずヤンチャし放題だったつうリズム・セクションのお二人。黄金です。長いキャリアの中でこんなに天使が味方に付いてスゲー曲ばっか出来たアルバムばっか出来る訳は無く。それなら必殺シングル曲出来たらそれはもうOK。出来なかったらアバからサッチモまで大カバー大会でもいいから見せて欲しかったす。自分の曲じゃないとどうも味の出せないミュージシャンならしょうがないけど、バン・ヘイレンは色んなの出来て新しいアメリカン・エンターテイメント・ミュージックやってくれたから。しかるにこの大成功で逆に歯車噛みあわなくなったこの運命のいたずら。若さゆえもあるだろうけど本当に惜しかった。デイブ君、今からでも遅く無いぞ。戻ってこーい。エドワードちゃんの快心の笑顔が見れるのは君が「オー・マイ・ガッ」しなきゃ。そして音のプロデュースはテッド・テンプルマン氏、エクゼブティブで曲の選定、厳しいお目付け役にはリチャード・ペリー氏もしくはピーター・アッシャー氏で今一度ジャンプ期待します。夢見るぞ。

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6/6(月)
文句無し
cover
Misterioso
Thelonious Monk
1958/8/7

シリーズ「JaZz」

セロニアス・モーンク。ジャズです。が・・まずモンク。モンク音楽。もう大ファンでこの方のピアノが聴こえて来ればまずOKの白痴状態。あはあはゆうて喜んじゃう。生まれ変わって幼少の頃からピアノを習得出来ましたらドクター・ジョン先生かニッキー・ホプキンス氏もしくはモンク和尚のように弾きたい。スタイルはもうモンク氏とゆうしかなくロックで例えればニール・ヤング氏。よれよれなのにガッチリ。これまた彼のギターがギュワーン、ペコポン、キとゆうてるだけであはあはってほぼ同じ反応を示します。作る曲も何やら一見不器用の塊のように聴こえ、それが聴き進むと癖になっていきなし降り注ぐ超美麗なリリカル・メロディ。あの感覚おわかりの方ならまずもってモンク氏も文句無しになるよ。奇人変人でも有名であります。ノルとピアノの前から離れて踊るとか。これが何と理工系な人だそうで物理数学は天才的だったらしい。うむ常人にはなしえぬ音の飛び方には綿密なる計算及び演算が働いておったか。違うな(^0^)。きっととことん計算外しだ。一旦解いた128行に及ぶ計算式をとことん破壊する快感とお見受けいたす所存。世の中は数式で全て解ける。つうことはそれと同じくらい数式で解けないことも可能。てか。さてこの盤。タイトルは「ミステリオーソ」。メヒコのレスラーみたい。好きなモンク和尚のアルバムでしかもジャケはジョルジュ・デ・キリコ。イソノじゃないよ。デだよ。またまたこのキリコの絵が私は大好きです。特に隅っこの方でいつも走ってるキリコちゃんが。このジャケには・・・。あ、おらん。自分で書き足そう。そんな二大大好き夢の共演ですから聴く前からもう勝利確実だ。レーベルはリバーサイド。1958年8月ニューヨークはファイブ・スポット・カフェでの演奏。オクスリ関係で捕まってしまい長いことクラブでの演奏許可証を剥奪されてそれはもう経済的にえらい苦労をなさった末にようやっと禁が解かれてのものだと聞きます。でもまあ、演奏できるの、あっそ。てなもんのマイペースぶり。いつものモンク和尚が酔っ払ってクダまいてるような演奏が聴ける。1曲目「ナッティ」でのテーマ・メロディの最後に絡むデンドンドンってフレーズ。律儀に思いついた時に必ず入る。それがおかしくて楽しくて。もう飲みながら話してるみたい。あながちロックとも関係無い訳ではありませぬ。5曲目の「ジャスト・ア・ジゴロ」。これはデビッド・リー・ロス兄があのソロ・アルバムでやってたのと同じ。しばらくしないと気付かぬかもしれませんが。おらぁ昔ジゴロだったんだ。はいはい。そろそろ帰りましょうねモンクさん。って感じ。ハっと我に帰っての最終曲「ミステリオーソ」。名曲です。夜明けにコーヒーがぶ飲みして反復横飛びしてるが如きテーマ。他の人には書けません。ボブ・ディラン氏のように無骨と照れの中に隠された曲自体の魅力。それが和尚の音楽に惹かれる大きな理由かも。ソロ部分にもそれがピシと芯が通って貫かれている。ジャズ喫茶に偶然入って、かかってる音楽にいきなり感じるとてつもない退屈な瞬間。そんなものは微塵も無し。安心してお奨め。どうぞいただきあれ。

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6/7(火)
白い歯っていいな
cover
Open Our Eyes
Earth, Wind & Fire
1974/5

シリーズ「FUnX」

バンドをご賞味するのに何たって一番美味しいのは大ブレークする直前ではないかと思っております。してアース渦巻。ではなしこのアース・ウインド&ファイアの邦題「太陽の化身」。次の75年の大爆発アルバム「暗黒への挑戦」(含むシャイニング・スター)の直前の盤です。初のPOPチャートTOP40突破シングル2曲、LPもプラチナ・ディスク獲得てんだからもう充分にブレークか。サウンドもすっかりアース音楽。でもまだ目が澄んでるよ。目が澄んでるからベースの変な形人間、ヴァーデイン・ホワイトちゃんの白い歯もキラキラ。モーリス氏のアメーバヘアも風にさわさわしてます。無いのはピラミッド・パワーだけかな。まだ町にいてくれるので引き出物持っていく必要も無くてその点でも安心安心。なんつっても1曲目「マイテー・マイテー」だ。全亜細亜ファンク認定委員会練馬支部の面々が基準ファンクとして認定した代物。コンパクトなドラム。間のベース。やたらとあちこち指差しながら行っちゃってるボーカル。後でどっかに置いてっちゃったファンク魂爆発。昇天です。一緒に指差す私。これ1発目のヒット。最高位29位。辛口だからこれ以上は無理。2曲目は、はい、これは永遠のアースです。裏声ベイリーちゃんの妙なる声の調べ。デブが賞。では無くてデボーション。切れ良し独特の清涼感はやっぱジャズ畑だからかいの。最高位33位。してここからはさらに当時出来うるブラック・ミュージック可能性総動員の大展覧会に。邦題で「暗鬱な時間」などとネプリーグで読み方問題に出そうなタイトルながら既にAORを獲得してる4.のフィーリン・ブルー。確かに訳せば暗鬱だろけどよー。5.モーリスおじさんが大好きなアフリカの親指ピアノをフューチャーのカリンバ・ストーリー。展開部がテープスピードが速くなってるみたいでそこだけ次元空間がぐにゅと歪みます。カリンバつうても全然アフリカンじゃ無いのです。変にまねするよりもちろんよっぽど素敵。これもシングルカットされて小ヒット。日本盤も出ましたけど何枚売れたかなー。LPではここで引っくり返してB面、続いてカリンバ・フューチャー・ソングのドラム・ソング。よっぽど好きだったらしい。せっかく覚えたしなあ。って訳では無いきっと。カリンバは小ぶりのやつはけっこうお手ごろ値段なんで私も買ったことあり。あんまり興に乗っていぢめると鍵盤部の爪が折れちゃうのだ。うむ、あれは今はどこに置いてあるのだろう。次のナイン・チー・ビットは、超ヘヴィ・ディープ・ファンク。うにょうにょうにょうにょ訳のわからないことを変な声でぶつくさ言ってる快感は一旦はまると止められませんファンク世界は。でもこれやってる限り首位には立てないのだーーー。立てなくてもいいぞー。ってこっちは無責任に言わせてくれ。次の8.は一転して思い切り4ビートJAZZ。いやーかっこええ。さすが本職。凄い疾走感で瞳孔がここでどわっと開く。これは長いことやらないでアフリカン雰囲気を挟んだら、♪ぱらっぱっぱでいおーが素敵な「カリブ」に。カリブつうかラテンだけど。最後は夜明けのバラードのタイトル曲。湿ったアスファルトの臭い有り。A面後半からB面に入って一挙にアフリカ経由南アメリカ行き飛んで帰ってロスアンジェルスと聴く大世界旅行の趣が。この大サービスぶり、師匠のラムゼイ・ルイス師の元で音楽は皆様に楽しんでもろうてなんぼやでを叩き込まれた所以か。それが下品にならず素敵な下世話で集合写真してるのがこの盤です。それにしてもジャケの場所最高に風光明媚。こんなとこ行ったらやっぱ、皆さん並んで並んで、になるだろな。このジャケの通り風がすこーんと抜けたそりゃもう気持ちいいアルバムぞ。

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6/8(水)
小人のハンス
cover
うわさの人類
ヒカシュー
1981

シリーズ「新波倶楽部」

プラスティックスと並んで日本テクノNWの雄と言えばこのヒカシュー。このアルバムはその2ndアルバムです。当時私は学校でいわゆる軽音サークルに入ってさーバンドだバンドだと貧乏臭い部室で連日ああだこおだ何とか世間を驚かしてやろうと若い野心一直線。人のことなんか構ってられんわ。と言いつつも眩しかったな。どかん出現してTVとか出てまして。そうゆうサークルに入ってるとプロになった先輩とか来る訳です。何とかデビューしたくらいの人達なんですけど。これが徹底的にえばってまして君たちとは違う感を後輩に植え付けると。で、洋楽の人達よりメジャーデビューした日本のバンドの方が遠く感じたりして。きっと話しかけても答えてくれないー(^0^)。横浜国大とかで暴れてた人達はまた別だけど。と噂の業界にビビリながらもヒカシューに惹かれました。その後、自分でやったバンドの音楽聴くと知らず知らずの内にかなりお手本にさせていただいたかもしれません。何よりも完全に日本のバンドでした。明治の書生みたいな風貌をした巻上さん。当時アントニオ猪木もこの書生ヘアしてまして(もうちょっと長かった)、それがリング上で暴れると髪の毛がビラっと乱れて、いやかっこいいこと。怒りを頭髪で現す。そしてあれだ。ピンクパンサーのケイトー氏にも似てるな。召使でクルーゾーと乱闘する人。もう大好きだったんではい。そして歌はドイツです。きっと書生として居候してたのが洋行帰りの小説家の家に違いなく、洋書を読んでは「ケッヘ。ウンヌ。しぇん。」とか言ってるうちにこうなったに違いなし。マレーネ・デートリッヒ聴きながら。して師匠に内緒でバンドを組んでそのメンバーにはATG映画に夢中になっておったやつがいたのだ。当然海の向こうのNW運動に全員共鳴し音は貰って来てるのも多し。しかしそれが見事にことごとく咀嚼されておる訳で、うーん咀嚼とゆうより翻訳小説。全編只今翻訳し終わりましたって感じ。隆盛を極めていた絶望的シンセの音色もまだ生々しく温度を持って弾いてて自分たちで驚いて感動している様が有体にあらまほし。巻上氏が作って来た歌を開陳、音をやれこうしようああしようと画策してるのは下高井戸の若葉荘家賃8500円風呂無し共同便所。と浮かんでくるのはことごとく和の風情(^0^)。ギャグは真面目にやればやるほどおかしくてたまらず真剣と己戯画化の境目でへたすりゃNHKみんなの歌でも流されてしまう人懐っこさと、それで放映したら全員びびって担当者飛ばされてしまいますの事態になる危険。だって画像はジャケの大田氏が担当してしまいました。充分に奇形です。奇形が最強。私も自分でバンドやろうとして、当時こちらもNWに感化されてやろうとしてた訳だけど、常々思ってたことにやっぱどうあっても日本人ですし、声は違うわ体組成は違うわ、ですからいくらあちらの音楽をやりたいと思ってもそのまま出来るはずは無し。またやってはそれ自体NWな考え方では無いと。ではどうすればよいのだの光をこの人達の方法で見せてくれました。こちらはと言えば弄ってばかりでずっと答えだせなかったけど。それだけにここで出ている音はいまだ超然として輝いてます。昭和のNW。受け継いで平成の風景見せられるNW出来た人間もいまだおらんし。聴いてて泣きたい気分になることが一つ。録音です。どんな態度でどんな凶暴でバンドが有っても日本のスタジオのミキサーさんの壁は厚し。絶対に無茶使いしてくれない。卓のフェーダーの位置は8以上、赤いとこまで上げてくれんし、従ってどうしても納まるとこに納まってしまう音にされてしまう。そこで興をそがれて洋楽を愛する理由の一つがそこにあります。ハイファイを守るプロ意識があるのだな。音が良い方がいいに決まってるって貧乏性分とか感じちゃって。逆にそれすらもどうしてそうしてるのかってわからなくなって最近壊れてるのが怖い昨今です。

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6/9(木)
眩しい大作
cover
Cunning Stunts
Caravan
1975

シリーズ「ぷろぐれ支部」

ウイ・アー・オール・アローンつう曲がありますが。げに人間は皆孤独。もう孤独とてつもなく孤独。私の見てる青はあなたが見てる青と同じ色であるなんて保証は無く私が聴いてる音楽が同じ音で入って行ってはきっとおりません。なおかつ嗜好及び生き方はことごとく細分化されてく一方でますます孤独感増すばかり。だもんであるあるネタの大流行。共感が世の価値の第一になり、感動の元も「ああ、私と同じです。」となるつう。考えればこれこそ寂しく悲しげなことは無く。さわさわと優しげな面体で近づいて「その気持ちわかります。」の言葉一発でコロリ。だまされてミノさんに電話するはめになったり「ああ死にたい」となっても寂しくて同じ気持ちの者通し集団自殺などと悲しいぞあまりにも。ここはもう覚悟しましょう。人間は孤独です。とてつもなく。耐えに耐えて違いをとことん見てそこで見えてくるのが一抹の共通点。それはかけがえが無く宝物のように輝いて簡単に離れていくものではありません。それでキャラヴァン。英国はカンタベリー地方で活動するバンドです。メンバー・チェンジは日常茶飯事。売れておればそこはしょうがない。我慢もしましょうとなるんだけどこれがまた全然商売にならん。だもんで剥き出しの音楽嗜好がぶつかって些細なしかし当人にとってはとてつもなく大事な違いでバンドを離れまた戻ってくるつう。それだけにその時点で集合したメンツによる音楽は強力です。一期一会の共同作業。気迫たるやあっと驚く圧倒や。引っ張ってリードしていく人間もちょっとやそっとじゃ周囲のメンバーを納得させること出来まいし。一聴するとこんなたおやかで穏やかな音楽は無いんですけど。そこまでやる方がとことん行ってるからにはある意味聴く方も覚悟必要、しっかり受け止めるには聴き込みが必要かと。一見してわかる仕掛けは無いし。地味だし。かと言ってふんぞり返ってえらそうにやってる訳ではないんでちょっと踏み込んで出かければちゃんと暖かく出迎えてくれます。もう大喜びで。それがA面。ですから試聴してもまるで雲の上ぇってことになるやも。最後のウェルカム・ザ・デイだけは違って、ふと世間を見たらあららこんなんなってたのねーとビックリしてファンキーなんかやって。転んじゃった(^0^)。好きになるとその転び具合もいとおしくなるけど。そして圧巻はB面です。キャヴァン名物怒涛の長尺攻撃。しっとり始まって山有り谷あり幸せあり不幸有り。毎日毎日音楽のことばっか考えて死ぬほど練習してケンカして笑って人生取り返しの付かない音楽屋の魂ここにあり。到底我々一般人には手の届かぬ、どうやってやってどうやって作ったかわからない世界で。最後まで聴くと畏敬を持ってとんでもないもん聴いてしまったと感動するばかり。グランドキャニオンのどでかい峡谷をハイビジョンで見せて貰った感じに似てるかも。はい。これは共感の感動じゃありません。とてもとても「まあまあ面白かった」とか「今度のはなかなかいいね」とは私には言えん。とてつもなく凄いです。もし入手して駄目だったら沈黙して下さい。手軽に扱えない音楽、それで素晴らしいと感じられるものも確かにあると思います。

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6/10(金)
激唱ロンパールーム
cover
Live at Last
Steeleye Span
1978

シリーズ「英国のトラッド」

英国トラッドの女王、スティーライ・スパンの78年、解散コンサートの模様を収録したライブ盤です。またまた手前味噌になってしまい恐縮なんすが、いやーパクったパクった。自分のバンドが生楽器主体の音楽になって渋谷のフォーク・ハウスに出演しようって時、きっかけはフェアグランド・アトラクションを聴いたからなんですけどいざ音を作ってみたらこのバンドの、しかもこのアルバムから色んな要素がどんどん出て来ちゃって。三つ子の魂百まで。はまりにはまって体に染み付いちゃったもんはもうどうしょうも無いです。初めて聴いたのは発表当時、78年の時。トラッドのトの字もまだわからず。何で買ったかなあ。安かったか。そんなこたあ無いな。英盤だったもん。どっかでレビュー見て強烈に興味惹かれたらしく。で、入手して聴けば、最初の印象は、わロンパールームだ(^0^)。最初のインストがそっくりなのです。そしてまあ何てキチンとしたバンドだって。音量は言ってみれば7.耳をつんざくなんてとんでもなし。うむしてみればこれはロックじゃ無い。かと言ってフォークでも無い。そうかこれがトラッドかー。ってようやく実感するつう。そのロンパールームでうつみみどりとおやつの牛乳を思い出しながら、しかしあの牛乳だけはうまそうに見えたな飲みたくなかったですか?とやたらと郷愁めいたものを感じ。最初はさらっと聴き通してそうかこんな感じなのかと思っただけだったかもしれませぬ。しかしまあ高かったので元を取る為に繰り返し聴いて行く内に。来ました。どんどん。ずっぽり。鈍いのか俺は。ちょっと地味だとわかるまでに時間がかかる。端正な演奏これぞ英国!って感じながら時間の経過と共にぐんぐん熱くなってブギブギブギーとほぼ同じノリに。ボーカル陣はリード、コーラスともほけほけしてます。独特の発声。これもどんどん好きになって圧巻はB面に移ってからの大作モントローズ。こりゃプログレだと驚嘆する。変拍子をサラっといとも無くこなしてメインテーマのメロディと錯綜して行く様の何とスリリングなこと。何だこのサスペンスはと調べてみりゃあ曲は全編英国古謡をアレンジしたものと判明。すると歌の内容はマザーグースの世界。いやもっと赤裸々に残酷事件を世に広めてく内容ってんで大納得。抑えた演奏がかえって青白く迫力をもたらして背筋がぞくぞくっとします。会場が妙に静かなのも何やら恐ろしく。世はパンクの時代ですから自分の興味の中心はそこに行っちゃってるにも関わらずグサっと音楽心に突き刺さってしまい後年ここから始まってスティーライのアルバムをどんどん聴くことに。それでもこの盤の空気はその中でも独特のものだと感じます。何だろうそれは。いまだ具体的にわからず。まあわからんでいいか。音楽だから。一つだけ確実に申せるのは27年経って今聴いても全く変わらぬ新鮮さと衝撃。もうこれは付け焼刃で無いヘソ下三寸にパワーみなぎった大名盤かと。誰に言われるで無くこれだけ聴いちゃうんだから。今思うと初期の厳格且つストイック極めたものはちょっと入りにくいことは入りにくいかも。キャリアの途中で徐々に変身して「オール・アラウンド・マイ・ハット」でチャートヒットを放った後、また根っこに立ち返った、ええ按配で親しみやすさとのバランス最高なこの盤はすっと入って行くには最適のアルバムかもしれません。違う盤から聴き出したらもっと他のは理屈っぽく聴いてしまったかもしれないな。それはかなりやばい。

曲目等詳細

試聴はここで

6/11(土)
恋はドラッグ
cover
Love Is the Drug
Roxy Music
1975

シリーズ「完璧なシングル」

本日から始まりました「完璧なシングルを讃える会」。略してカンタタ会。蜘蛛の糸かー。・・・・非の打ち所の無いシングルを有りとあらゆる手段で讃えるとゆうものです。貴方もこれを讃えたいつう方はTOPでやってる一日の間に右側にあるThAnk YoU帳に是非コメントを入れてやって下さいまし。だいたいロックの世界では何かとアルバムが上位に据えられがちでござんすがアルバムゆうても一つ一つの偉大な曲の集まりでごんす。中でもわざわざシングルにしようって曲は作った本人がいっちゃん出来がいいと思ってるもの・・ま、中にはいっちゃんキャッチーで売れるぞこれはってんでカットする場合もござるが、いえい、どっちにしても素敵さ。POPだったりキャッチーだったりするともう我慢出来ん耳が腐るって方は別にして。さー栄誉ある第一回に選ばれましたのはロクシー・ミュージックの恋はドラッグだ。マツトモヒロシのCMのコピーに使われそうなタイトルのこの曲。そりゃもう半端でないほど完璧です。ひたすらズンドコしてたロクシーがほんとにやったんかいと最初は思ったほど。きゅきゅきゅと締まってる。作はフェリー=マッケイ。となってるけど私はど真ん中で活躍はフィル・マンザネラおじさんだと勝手に類推するものなり。エンジンかけてぶおぶおぶお、きゅーっと車発進(多分スバル360の音では無し)して掴みはもう抜群。これから何が起こるのかってわくわくする曲などそうはありゃしません。おもむろに鳴るはティンバレスの高らかな音。スネアをパンパンにチューニングしてるかもしれぬ。続けてなるベースのフレースが問題だ。ファンクであります。およそファンクなど縁が無さそうであった不器用さんバンド、ロキシーがやる初ファンク。しかもこれがただのファーンクではありませぬ。どう聴いてもこれはタンゴのフレーズ。タンゴのフレーズをソウル化したものにはドリフターズ(ビバノンノンじゃ無し)の「ラストダンスは私に」がありもうす。これは史上初、タンゴのファンク化。シンコペーション効かせて8ビート化してさらにファンクにしてしまった。これはもう偶然でも何でも相当凄い御技。そこに絡まるティンバレス風スネアでアルゼンチンからキューバに行ってロンドン、ドイツへ一挙に旅してしまうとゆう。マンザネラ氏のラテンの血が無ければ実現せぬこの汎大西洋の音楽世界で、これを実現させたのもロクシー中この曲だけですので思いの丈想像するにあまりあり。もちろん宇宙一の伊達男フェリー氏のボーカルも最高。特に最初のフレーズから爆発する音の外し方。2.85%ほど西洋音階から逸脱フラットしております。これは外してるとゆうより正規メロディですので一般の方々がカラオケ熱唱なさる時は要注意。きちんとフラットして下さい。合ってしまったら鐘が一つ鳴ります。忘れてはならぬ、作者に名を連ねているプップクプーおじさん、アンディ・マッケイ氏、ちゃんと活躍してるのだ。ぱぱぱーと珍しくフレーズ感にバチっと決まったフレーズを。世界一8ビイトなドラマー、ポール・トンプソン氏と共に一つ欠けたら全てが無に解するアレンジを形作り最後はこれまたありそうであまり無い見事なエンディングで。これはビートルズの遺産であります。あまりにも見事なんでこの路線はこれ1曲にて終わってしまった「恋はドラッグ」。全米チャート最高位30位。全英チャート最高位4位でありました。

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6/12(日)
ママ見ーや
cover
ABBA
ABBA
1975

シリーズ「ヒット王」

豪華外車の中でくつろいでおります。裏ジャケではこれまた豪華、つうにはちと小さめ、でもエマニエル椅子に座ってどーだーのアグネッサさん。やったね大金持ちだモードのアバ3作目のアルバムです。実際はこれで辺境の地のPOPグループから何じゃいアバ、ここにござるの世界存在になりましたから大ボラつうかギャグのつもりだったんでしょうけどあらーほんとになっちゃった。洒落の中にもこれは意欲の表れ聴くと納得大納得でございます。そりゃも凄いよ。溢れ出る音楽モチベーションの嵐、やりたいことは山のよう。脳の中にはメロディがてんこ盛り。参加してる音楽屋さん全員がもうとりつかれたように演奏しててその気迫たるやそんじょそこらのロックではかなわないのだ。桜の狂い咲きつうか、狂気はPOPの基本ですからこれは極上のPOPアルバムに他ならず。非人間的能面ヴォーカルも絶好調、そっけ無ければ素っ気無いほど聴く人間は自分で思いに思ってその音楽に没入してすっかりやられちゃいますこれまた芸能の基本だ。1曲目はママミア。いまさらママミアかよとか思っちゃうけど(^0^)。聴く度に瞬殺されちゃうから始末に悪し。ガチっと叩き込まれるドラムスに喰い付く様に絡む鍵盤、ギタア、歌。最初からこれじゃ後が思いやられるわ。2.はビートルズ・ユー・ウォント・シー・ミーにちと似たグリッター・ビート・ナンバー。嬉しいことにまだグラムPOPの残り香保っててくれて。ヘイヘイ天国ってこれでは天国蹴っ飛ばしてるみたい。3.は訳すと「熱帯恋の国」ってまたベタなタイトルで。曲調もまんまレゲエです。ギター・カッティングはちゃんと頭だけ。ツボはちゃんと押さえて木琴、手風琴の音色が風雅。4.はこれで世界を突破した「SOS」。コンパクトなんで油断をしてるとぐいぐい乗せられてしまいます。エキゾチックなアバの魅力満開。完璧なシングルなんでいつか改めて讃えさせてもろうて。私にとってもウォータールーと並んで二大アバな曲。サビに移るところの逆落としジェットコースターみたいなスピード感がたまらん。5.は男衆が歌うファンク曲。わしらがやらせてもらう時は少し趣味やらせて下さいって感じかな。リフがビリー・ジョエル氏のストレンジャーつうことは寺尾聡氏にも似てたりする。A面ラスト「バン・ブーマラン」はキンキラ全開のグラムPOP、タイトルからして語感優先のチャップマン=チン・マナー。七色の光りがギラギラしてるみたいで最高です。アナログではここで引っくり返しての7.「わたしゃするするするする」。SOSの露払いみたいな感じでヒットした曲。ビリー・ボーン楽団に捧げられたと聞くゴージャス古良き時代曲。アバ史上最もセレブな曲かも。ベタなメロディを何の躊躇も無く作れる時、ミュージシャンは絶好調です。全楽器がフェイクな音てのもミソかも。2.のロック・ミーもカットしたらヒットしたんじゃ無いかってキャッチーな曲。男衆が暴れてるから遠慮したか。キャプテン&テニールの「愛ある限り」に作りが似てる。つうことはビーチ・ボーイズか!。9.「インターメッソ1番」は溢れ出る創造力が零れ落ちたインスト曲。どだだだだと一挙に作ったに違いなし。勢い一発。10.「私はあなたを待っています。」って買うのを待ってますってことかな。はは。ミュージカルなら終盤です。ロッキー・ホラー・ショー。他のやつがこれ歌ったら私は許さん。最後はダドゥーロンロンしてるやかましいグラムPOP。最後に気合一閃つうのもまた嬉しく。コンパクトPOPの茨道をひたすら突き進みます。とにかく根性が違う。嫌っつうほどそれがわかる。成功する人間はさすが。聴くとそのエネルギーと何か福をいただけそうなそんなアルバム。どばっと爆発する瞬間のものってとにかく美味しい。ジャンルうんぬんを超えた説得力有りです。

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6/13(月)
ギルバートの
はじめのごあいさつ

cover
Himself
Gilbert OSullivan
1971

シリーズ「英国SSW」

永遠の胸キュン少年、ギルバート・オサリバンの71年1stアルバムです。そりゃもうこれから出て来る至玉のメロディがまだ頭の中にぎっしり詰まった状態。人間玉手箱でございます。書く曲書く曲いいのが出来るんで本人も楽しくってしょうが無かったんじゃないかな。才気がほとばしって眩しいほど。音楽の精が宿った時の人間の尋常ならざる様子、狂気を感じる一枚です。迫力もそりゃ並じゃなし。ここまで至るまでかなり苦労してますギルバート君。キャリアの最初は67年にスインドン(XTC!)アート・スクールの最高学年だった頃、自分の曲のテープをとある業界人に送ったところから始まったと聞きます。何とそれは開封されずに送り返されて来たつうことで。私も経験有り(^0^)。それでクソと思い立ったが百年目、一路ロンドンに向かってレコード会社行脚。CBSのオーディションに合格。「YOU」とゆう曲を出したけどまるで売れず。でぐだぐだに。次はメイジャー・マイナー・レコードつうところと縁が出来たけどここも何だかなかなかレコードを出してくれない。ようやっと2曲録音したもののいらん音を勝手にかぶせられて台無しに。キャリアの最初につまづいた音楽屋に業界はとことん冷たいす。その会社も辞めたギルバート君、万事休すと思われましたが捨てる神ありゃ救う神あり。音楽プロデューサーのトニー・ホール氏とゆう方と知り合います。トニー氏、この少年を救うには大立者のバックアップが必要だと感じてゴードン・ミルズ氏に紹介。このゴードン氏、あのトム・ジョーンズ大王をスタアに育て上げたとんでもない業界大物。トム・ジョーンズ?ギルバート君の個性には月と油かと思いきや才のある人はやっぱ違う。彼の個性をズバっと見抜いて自分の自宅に居候させて曲をどんどん作らせ変なしがらみの無い自ら作った新レーベル「MAM」の第一号歌手として登場させたとゆう次第です。その代わり印税も貰えず給料つう給料も無くゴードンさんがくれるお小遣いだけでほそぼそ、居候宅でひたすら曲作って歌うつう音楽タコ部屋状態だったらしいすが。それでも一番やりたいのは音楽、しかも認められて理想的な環境で出来るんだからきっと幸せだったかと。ゴードン氏が見抜いた彼の個性は見かけとは逆にトム・ジョーンズ親分と共通してたかもしれませぬ。肉体&粗野を隠す事無く全開にしたトムさん、片やありのまま流行にも今一乗り切れない普通の少年。怒涛のように流れた60’sだったけどかなりの割合でそれについていけない人もあるってことで。彼自身もやりたかったことは30年代の無声映画、チャプリン、キートンの世界だったとゆうから息はぴったしでした。で、その世界をやりたいと言っても実際にその時代の音楽を研究して応用してやらなかったのが彼の偉いとこかも。不器用だったからかもしれずまたマネ出来るほど音楽の才が無かったからかもしれず、また面倒くさかった(そりゃ無いか)かもしれず、あくまでも自分の受けた感動だけを受け取ってあとは自分の音楽で返答した。無理せず培われた彼のそんな音楽は英国の根っこにある音楽ショーの伝統を持って、何かとポール・マッカトニー氏と比べられるのもそんな空気が共通してるからかもしれません。丁寧なごあいさつから始まるこのアルバム、シングルで有名なのは7.のナッシング・ライムドだけ。それでも曲の質と来たら全極上。アルバムの方も長期セールスしたって聴けば充分納得してしまいます。シングル曲で聴けるあのオサリバン節ももちろんたっぷり8.からのB面ではお、こんなこともって驚く冒険もあったりして。最後は買ってくれて本当にありがとうとこれまた丁寧なごあいさつ。仕掛けたのではなく自然とアメリカのシンガー・ソングライター・ムーブメントに対してのイギリスの返答となったこのアルバム、71年つうとんでも無く昔のリリースだけど瞬間の時を切り取った新鮮さは時代を超えて古くなることはけっしてありません。ギルバートさんのこの時代はこの時だけだったのだから。誰にもまねできないし本人も再現は出来ませぬ。

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6/14(火)
バック・イン・64
cover
Archaeology
The Rutles
1996/10/29

シリーズ「トルズを聴こう」

ビートルズのアンソロジー・プロジェクトを横目で睨みながらそんなことやるならこっちもやっちゃうよやっちゃうよティンと暗闇から蘇って来たのがこのラットルズ。実に18年ぶりの登場です。ビートルズに対する愛情と相克悲喜こもごもを音楽でやりたおすってのがそもそもの目的ですからこうしてわざわざ出て来たからには今回も半端なネタではありません。突っ込みどころてんこ盛り、スミからスミまでギャグってひっくり返って大真面目になってるとこがミソかも。それは前回もそうだったけど。まずは凝りに凝っても不思議では無い表ジャケでこの素っ気無さ。そして裏ジャケでは顔は写さずに手に持ってるのはカツラ。同梱豪華ブックレットでは油断してるメンバー3人の姿。くたびれはててご丁寧に杖までついてるよ。実は僕たちラットルズだったんですって。えー知らなかった(^0^)。18年の時は容赦無くメンバーの一人英国暗闇名ギタリスト、オリー・ハルソール氏はジョンちゃんの元へ遊びに行っちゃって、ダーク役、ポール・マッカートニーの顔担当のエリック・アイドルちゃんは今回はインドに焼肉を食べに行っちゃって不在です。中心で仕切ってるのは今回も当然ロン・ナスティ役ニール・イネスさん。地声がジョンれのーんな方。全編、私のフリー・アズ・ア・バード、解散後26年経ってもう一回はかくあるべきな音楽なのだ。本家のはまるでELOにビートルズの4人が参加しましたってサウンドですから。ジェフ・リンさん、ありゃ凄いことしたわ。トッドさんがやってもあそこまで自分フィールドに引き寄せたりしまいに。それがジョージポールリンゴの望みだったとしたら逆に時の経過、勢いの違いを赤裸々に示しちゃって残酷で言葉も無し。言葉も無いからラットルズは音楽で答えました。そしたらビートルズを飛んで素のラットルズになったつう。ジョンちゃんポールさんの声を1stでは使い分けてたイネス氏も地声でジョンちゃん一本。スライドしてジョージさんにも。これまたアンソロジーの隠れ主人公ジョン・レノンへのオマージュに同時になってるつう。1stで一番の楽しみはネタ探しで、探してるうちに何が何だかわからなくなってラットルズ大好きってなっちゃうとこが楽しくってしょうがなかった。今回はもうネタなんかどうでもよくなったりして。未発表だし(^0^)。だからもうラットルズです。本家忘れてこちらばっか聴いたりすることだって大いにあり。素敵過ぎる曲ばっかだから。ビートルズのファンにとってそりゃもちろん一層巧妙になったネタ探しの楽しみもあり。日本盤が今廃盤で中古がえらい高い値段なのが何とも情けなく。こうゆうのはブックレット翻訳だけでもミニ本にして出してくれないのかな。レココレとかストレンジデイズとか付録でやってくれたら拍手喝さいしちゃうんだけど。この渾身の作にビートルズを愛することではどの国にも負けない日本が答えてもおかしくないです。世界一のトリビュート・アルバム。まだ遭遇されて無い方は後は是非実際に手にとって耳にねじりこんで色んな思いを抱いて下さい。この2ndがあってラットルズ世界はぶおーっと膨らんで果て無しになったのだ。

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6/15(水)
生まれはみんなミシシッピ
cover
Levon Helm & the RCO All-Stars
Levon Helm
1977

シリーズ「Great White Wonder」

76年の感謝祭の日、11月25日にザ・バンドはラスト・ワルツを踊ってああ、何かが終わった。私なんか始
まったばかりなのにそのとたんに終わっちゃって、ああ愛しの非チャート・アメリカン・ミュージクよ、と気分だけ終末ってた時に雪のウッドストックから届けられたのがこのリボンおじさんのオールスターズ盤でした。同時に心のギフト包装で送られてきたリック・ダンコ肉屋さんのソロと共にどっこいああ生きている。生きているーと波打ち際に走って叫んだよ。参加ミュージシャンのメンツを聞いただけでもうウキウキ。聴く前から感動しちゃったりして。はい、このレコード、世界一ドラムを叩きながら歌う姿が美しい男、ザ・バンドのリボン・ヘルムさんが自らのスタジオに我こそはミシシッピ・リバーで産湯を使った音楽野郎どもを集結してものした世紀の一大イベントです。その顔ぶれたるやニュー・オリンズのドクター・ジョン先生、メンフィスからはブッカーT&MG’Sの面々、シカゴからポール・バタフィールド吹き師、リボンさんはアーカンソー。ああ名前書かせて貰うだけで嬉しい。マリブに本拠地を移してからどうも浮き足立ってた本部ザ・バンドへ向けたメッセージかジャケはビッグ・ピンクの冬とゆう風情の自分のRCOスタジオ、音楽もはじめの感動を取り戻そう、ピリっと山椒のうにゃメンツが違えどこれはザ・バンドではないか。リックさんマニュエルさんの極め付けコーラスが無い代わりに麗しの名人達による共演です。改めてザ・バンドが表に出したアメリカン・ミュージックの根のぶっとさ、表面のやってる音楽の違いを超えた奥底のスピリットを感じ。喰ってるものが結局みんなワラジステーキでしたってことかいな。してこれだけのメンツに睨みを効かして一丸とさせるべく担ぎ出したのが米R&B界の永久名誉監督ヘンリー・グローヴァー師。参加メンバー全員が憧れた50’sR&Bのお宝を数々作り上げた名プロデューサーです。リボンさんにロニー・ホーキンスのとこから独立すべしと応援してくれた人でもありますから。こりゃ相当な落とし前アルバムでもある。曲は各自持って来たとっておきの物と玉手箱から取り出した極め付きのブツのカバー。それらは全てスタア、リボン氏の鋼のドラムに支えられると一本ビシっと芯の通った音楽になるのだ。味わいはスーパードライ、ザ・バンド中唯一のアメリカ人であった彼の声明でもあり。突き放した声の裏側に血と肉となった音楽のえらいこっちゃに気圧されてそれが嬉しくてたまりません。勢いに乗って行われた来日公演。行かなかったんだよなあ。どうにも金が都合できず。金塊でも強奪しようと思ったけど。いまだに後悔してます。結局、これが一期一会の魔術アルバムになってしまったし。この大陸雑草音楽にもやっぱ旬があったのかと今思う。人と時、場所。それが揃ってとんでも無い時が出来るのはいつも一瞬。今こうやって聴き返す時もまた一瞬。二度と戻らず大切にしなきゃいかんとしみじみ感じる次第です。ジャケで写ってるRCOスタジオが写真であるように。ロビー氏とリヴォン氏の最後の共演になってしまった5.を聴きながら。

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