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今日の推薦盤一覧2004.10下

 

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10/16(土)
金髪ちゃん
cover
The Best of Blondie
Blondie
1981

シリーズ「力POP」

ブロンディ、金髪ちゃん、ニューヨーク・パンクの女性硬派代表がパティ・スミス嬢なら軟派代表がここ人達です。パンクで軟派ってのもあれですけど(^0^)。マイアミ生まれのデボラ・ハリーさん、60’s末にNYにやって来て働きながらフォーク歌手活動、74年になってブロンディの元となるバンドに合流、ライブハウス、マクシス・カンサス・シティでのウエイトレス・ギグが評判になって76年にアルバムデビューとゆう次第。パンク勃興期に乗じて出現とはゆうものの既に艱難辛苦の道のり、これが後の方向につながるのだわさ。確かにデビュー時はパンキッシュでありました。その頃のライブ音源を聴いたことありますがこれがまた凶悪。それはそれで充分魅力的でありましたが続けていたらNYアングラの☆で終わっていたかもしれん。いかん大都会にやってきたからには何とか成功せねば。出したアルバムが売上げかんばしくなく、さてどうしようかと。そしたらびっくり海を渡った英国で火が付いた。2ndアルバムからのデニスを皮切りに出す曲出す曲押しなべて大ヒット。よっしゃんならそっちで爆発目指すぞと次の「恋の平行線」でお頼みしたプロデューサーがマイク・チャップマン氏でありました。マイクさんと言えば英国70’s初頭中旬にスイート、スージー・クワトロを初め数々のグラム・ポップ・スターを生み出したプロデューサー、ソングライターチーム、チャップマン=チンの片割れ。ちょうど女の子を追いかけてアメリカに移住した時だったんで渡りにフネと、フネです、やって貰ったのだ。そしたらまー、その女の子にしっかり教育されたかチャップマン氏アメリカでの仕事が押しなべて大成功、すっかりアメリカンしてた時で、その勢いをブロンディにも持ち込みイギリスばかりかアメリカでも大成功、ひいては世界的成功とやっと苦労が実を結んだ万歳ブロンディとついにやったね。英国でまず火が付いたのには訳大有り。あそこの連中はもう目茶目茶オールディーズ好きです。金髪ちゃんイメージでデニース、デニースなんて歌われたらもういちころ。パンクの連中を超えた支持が一挙に集まっちゃう。さらにサンデイ・ガールなんかフランス語でヴゥーだもん。アダムス・ファミリーの父ちゃんじゃ無いけどツボ突きまくりでござる。そしてテクノまでさらりと乗っちゃって「態度はでかい」ではジョン・ホルトの歌謡レゲエ、とどめ差されちゃう。アメリカではラプチャアで出たてのラップやっちゃったりするところが、いやらしく米国人がコンプレックス有るフランス語でラップしちゃったり、節操無いようでセンスありあり手練手管ありあり、やられちゃうわな。この辺チャップマンさんの資質ともばっちりシンクロしちゃって、はいもちろん私だって両国民共々ノックアウトです。魅力の真髄はワン・ウエイ・オア・アナザーのげちゃげちゃげちゃげちゃの部分に凝縮と見た。しかも口を横にぎゅいーんと横延ばし。じゅらくよー。それをしてるのがけっこうガサツそうででクールなデボラさんつうのが。
 やってることはオールディーズ起源でもやり通せばその時代の音楽にまたさせちゃうのだ。げに女性の逞しさ。またも再認識です。

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グッヅ

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10/17(日)
地獄の大感謝祭
cover
Double Platinum
Kiss
1978

シリーズ「直球野郎一本勝負」

さあ、ものの始まりが一ならば、国の始まりが大和の国、島の始まりが淡路島、キッスの始まりは地獄てなもんだ。仮面の地獄ももう八丁目、そこで取り出だしましたのがこのレコード、その名もダブル・プラチナム。まあ見て下さいこの銀色。ピッカピカに光ってるよ。中身はてーとこれまでのキッスの皆さんが汗にまみれて産み出した幾多の名曲がズラー。それがこちらの本場舶来モノで二千と三百と二十七円、日本盤ですと千と八百三十五円だ。泣いちゃうね。え、まだ高い。ええいこんちくしょーじゃあ出しちゃおうか。これが取っておき今回発売される完全限定盤売切れ次第この世から無くなって宇宙の藻屑と消えてしまうキンラキンラのCDだ。お値段は驚くなよたった千と四百七十円。さあ殺せ。それにしてもお姉ちゃん物の値段のことばかり言ってちゃいけないねえ。音楽は中身。そこの人、あ、そこの人、キッス好きでしょ。じゃ買っていきなさい。お子様の教育にも日々勤労涙を流しながら働いてるお父様の精力増進にもぴったし赤オットセイの金のゴールデンボールより効くってもんだ。え、なんだいお兄さん。キッスのアルバムは全部持ってるって。えらい!それでこそ二十一世紀の世界を支える若人てなもんだ。しかもいい質問をなさります。このダブル・プラチナム、ただのベスト盤だと思ったら大きな間違い、小さな誤解てなもんだ。相手は地獄の親善大使キッスでございます。お客様が第一。それがただ曲を寄せ集めて出すとお思いですか。思いますか。思いませんでしょう。そうなんです。ありとあらゆる曲でミックスをやり直しました。しかーもいいですかストラッター、ここをよく見てください。78と付いてるでしょう。録り直しました。このアルバムのために。デトロイト・ロック・シティ、終わり方が違います。そしてこれだロックンロール・オールナイト、これなんか、えー言うのやめちゃおう。お楽しみが無くなっちゃう。はい、ここまで言って買わなきゃキッスのファンとは申せましょうか。ええい申せます。いや申せません。世紀をまたいだ現在になってもまだまだ活躍してますのがこのバンド、キッス。来日もいたします。コンサートに行く前の予習としてこれほど素敵なものは無し。はいお買いになる。おありがとうございます。はいあ、そこのあなたも。お10枚。びっくりだね大臣だねインテリかい。おいもうこれっきゃないよ。さあさあ・・・。

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日本盤

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グッヅ

10/18(月)
37年
cover
SMiLE
Brian Wilson
2004/09/28

シリーズ「うえす塔こうす塔」

37年ですから。ブライナン・ウイルソン氏ご本人にととっても半生ぶりです。人間37年前のことを覚えてるかって言われたら私なんか6歳ですよ、それだけで驚くしかありません。その間スマイルってアルバム自体どんどん大きくなっていきました。未完なだけに。音楽好きの人がビーチボーイズ好きになってまず入るのがサーフィン・ソングの数々、そしてペット・サウンズ。今ならそこから入る人も多いかもしれませんが。そして次はとゆうとスマイルって幻があるんだってって噂が否応も無く入ってくる。で大抵の人がどこかしらで未完成の状態のスマイルを入手して想像を膨らます。そしてそれが最長の人で37年。そりゃ肥大します。もう既に作り手の元を離れてそれぞれのスマイルがでっかく存在して。その上でそれを承知での今回の21世紀版の製作とゆうことで。深く考えるともう凍ってしまいそうです。聴く方もそんな訳で半フリーズ状態の中はたして溶かしてくれるか。溶けて行ってます。よほど今回は周囲の環境が良かったのでしょうか。屈託無き楽しそうなブライアン氏の声が聴こえてきてまずそれで安心してしまったりして。極東の一おじさんが心配しても大きなお世話でしょうが(^0^)。それから聴き馴染んだあのメロディこのメロディが寸断無くつながって圧倒、寸断慣れちゃってるので妙な感じも持ったりして。わーってぼけーっと聴き進んじゃうとああ、何て10ccなんだオリジナル・サウンドトラックじゃないかと馬鹿なこと。ははは。ゴドレイ&クリームが参加したら面白いなあ。ブライアン氏の唄、聴く度に力強くなっていくなあ。やっぱりソング・サイクルの空気がある。そう言えば共犯ヴァン・ダイク・パークス氏は今回どれくらい関わっているんだ。レココレ誌をパラパラ。うお新しく作られた部分を共作したとブライアン氏が言っておる。そして監修つうか相談役みたいなことやったんだな。VDP氏自体「ディスカバー・アメリカ」を境にがらっと音楽変わったからその辺の折り合いを知りたい。血気盛んな時に参加した音楽、今再び対峙するとどんな感じなんだろう。だいたい昔の製作時(今回のもだけど)には歌詞の面だけの参加だったんだろうか。音の人だから口を出したいところ、歌詞でブライアン氏を挑発して起こってくる音をじっと凝視してたのだろうか。少なくとも吸収したことは確かでそれでこそのあのソングサイクル・・・。いかん余計なことを。でもまいっか。37年ものの取れたてピチピチ音楽ですから時間はまだまだあります。聴きたい時にいつでも聴いてその度にちゃんと答えてくれる盤であることは確か。ゆっくりと味合わせていただくことにしよう。そうだ何よりもこうして落とし前を付けた後のブライアン・ウイルソンの音楽、これは物凄く期待出来るぞ。世界一のおじいちゃん、頼んまっせ。こっちも頑張ってまだまだ待ってます。

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10/19(火)
信念
cover
No Roses
Shirley Collins & The Albion Country Band
1971

シリーズ「英国のトラッド」

英国のトラッド・ミュージックと言いますとロック・ファンの間ではツェッペリン絡みでフェアポート・コンベンションの一人勝ちの様相を呈しておりますがまだまだおるおるそりゃそうだ。このアルバム「ノー・ローゼズ」、そのフェアポートに在籍、さらなる自分の音楽を求めてもう一つの電気トラッドの雄スティーライ・スパンを結成、うーん何かちょっと違うとまた脱退、そして今度こそはと今までの経験を集約して決定版を作っちゃるとベース担当アシュレイ・ハッチングス氏が音頭を取って作ったアルバムです。究極盤を作るにはそれなりのメンツを集めねばとまず迎えたのがシャーリー・コリンズとゆう女性歌手。この方50年代からこの分野で活躍している重鎮中の重鎮。そしてフェアポート時代の僚友ぐわしゃんギターのリチャード・トンプソン、サイモン・ニコル、デイブ・マッタクスさらにはスティーライからマディ・プライア、そしてあのロルコクスヒルまで呼んでの怪獣総進撃ぶりで。その結果、古今東西その筋での雑誌の特集でも押しなべて絶賛の嵐となりました、うーんこれは一回聴かねばならぬなあと気にして気にして幾年月か、やっと重い腰を上げて挑戦してみたら・・・。だいたいあんまり名盤名盤言われるとほんとかようてちゃっちゃ入れたくなる性分(どなたもそうだと思いますが)思いっきりマイナス方向へ向いたけしからん態度で聴き始めて・・・そしたらあらまあ何だこりゃほけほけした声ですっとんすっとん何とも呑気な音楽が。スティーライでの厳寒の音からしてもう氷みたいの覚悟してたんだけどなあ、何とも暖かくてこの時点で腰砕け、もう世評などどうでもよくなっちゃった。な訳で最初の1,2回はすーっと行っちゃう感じで通り過ぎたものの、来ました来ました3回目くらいから。これはたまらん。ちゃんとドラムも電気ギターも入ってます。歌事態は全て古い伝承歌だそうで多分ワイドショーも真っ青な凶悪事件の数々を歌唱。最後のやつのタイトルなんか「貧乏殺人夫人」だもんなあ。それを前述のようにほわほわした歌声でロンパールームみたいな調子で演奏で。のーんびりこちらも聴いてますがとりつかれると下から覗いてる氷の部分に気が付いて次第に戦慄が走ってきたりして。これがほんとの太陽と戦慄。ぱしぱしっと変拍子も襲って来るし。うーんやっぱり私にとっても名盤でした。あくまでも妥協しなかった男に猛者どもがこれまた妥協しない演奏で答えた男気女気音楽屋気。小さいことでちゃちゃいれるほどケツの穴が小さいものでは無かりきに。反省して今後の半生聴き倒してしまいます。どうかご容赦を。トラッドで何か一枚をと思われましたらこれいかがでしょうか。ジャンルを超えた力を持つ盤だと確信いたしました。

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10/20(水)
筋肉スケベ隊
cover
Blood Sugar Sex Magik
Red Hot Chili Peppers
1991/9

シリーズ「from 80's」

世界にそそり立つ巨大一物、馬鹿ロック界希望の星、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの91年5作目にして最高傑作がブラッド・シュガー・セックス・マジックであります。元はと言えばベースのフリー君と音楽好きのアンソニー君がライブで余興でやった冗談ユニット。それがウケにウケて本気でやり出しメンバー交代また交代の艱難辛苦の道を経てやっと完全爆発が前作の「母乳」、それを受けてさらにの超爆発を目指したのがこの盤なのだー。だー。プロデュースはリック・ルービン、あのカルトのエレクトリック、ビースティー・ボーイズのライセンス・トゥ・イルの現代に生きるハードロック野郎。かねてからレッチリ側でラブコールを送り続けたものの諸事情かみ合わずようやくこの盤で相思相愛、合体いたしました。そしたらまーどうでしょう、この音。ノリにノっての74分、もうCDに入らないようってくらい音楽が湧き出てしまったわい。しかも出て来るのは殆ど4人
の音だけ混ざり物無し、4ピースだけでこれだけテンション維持出来るなんてもう感嘆の一語であります。
 あっちからレッド・ツェッペリン「フィジカル・グラフィティ」がやって来てこっちからファンカデリック「スタンディング・オン・ザ・バージ」がやって来て手前からオハイオ・プレーヤーズのラブ・ローラーコースターに乗ってJB親分がやってきて交差点の真ん中に立ってた裸にちんX靴下の若者にぶち当たってしまいました。爆発どかーん、閃光と煙が落ち着いた時、4人はむっくり起き上がり踊り出したかと思うと背後霊に連中背負って煽られながらの轟音発進、頭なでながら舌出して。
 音を聴いて下さい。ドラムの切れ、ベースのうねり、ギターのざっくり、しかもその全てにコシと奥行き有り。こればっかはオールドなロックには到底出せぬ現在の音であります。何も可能だからって言ってべこべこ音を詰め込む必要など無し、やりたいことがしっかり見えてればこれで充分、それを最大限引き出す技術と魂を持った男リック氏とレッチリに乾杯。
 ここまで来ちゃうとラップとか辛気臭いなーとか言ってる段階ではありません。レベルを超えた音楽にはただただ降参、諦めて聴いて下さい。私なんかで良ければ完全保証いたしますわ。これは掛け値なしのロックです。
 その奇行ぶり、楽屋にやって来た女性ファンにご自分の自慢の物を開陳、ホッペをぴたんぴたんして訴えられたり一方で子供達のためのボランティアに金出したりその訳わからん精神構造、これやらなきゃ世間に居場所無しの河原乞食ぶりを聞くに付けやっぱりそこまでポテチンな人間じゃなきゃここまでのエネルギーは出せないのかなんて思ってしもうた。やっぱりわいには無理だったかなあときっぱり引導を渡された気分も。気持いいくらいですけど。
 唯一の弱点、それはうま過ぎることです。完全にそれまでのロック、ファンクの美味しい所、それだけをすくってる。それをとてつもない意欲でここまでKOされるものにしてるんだけど、各プレーヤーの演奏、フレーズにそれまで無かった一人一ジャンルのものがあるかってゆうと見つけられなかった。これは何もレッチリだけのことでは無いんですが。しいて言うならそれだけが不満。出来過ぎ君に対する聴く側のジェラシーって言えばそうなんだけどそれも聴く時に引っ張られる大事な要素かと思います。
 とか言ってもアルバムが最高位3位、4曲のシングルヒットが出たのはもう納得しすぎるくらい納得。言われなくたって時々引っ張り出しては聴いちゃうぞ。童謡みたいなえっちらほっちら、ちょっとオマヌケな和田ベン、白ベン、黒ベン注入するために。はい。

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10/21(木)
やんちゃーず
cover
Licensed to Ill
Beastie Boys
1986

シリーズ「from 80's」

NY在住のやんちゃーず、トン吉チンペイカンタ、カブ、ジャイアンが音楽を始めたらどうか。楽器は弾けないでもやりたい。ヘヴィメタル大好き同時にヒッピホップ面白れー。じゃああの手先が器用なリックって奴に盤を廻させてバックをやらせよう。俺達ぁ好きに前で暴れるぞてんで70’sには考えられもしない形で出発したのがこのビースティ・ボーイズ。シングル・デビューは82年、街のレコード屋さんが出してくれた。映画みたい。あの何てたっけ。うーど忘れ。で4年も解散せずによくぞ続けた(^0^)、そのレコード廻し出世したリック・ルービン君が起したレーベル、デフ・ジャムからこの「ライセンス・トゥ・イル」訳して「悪いことに許可されました。」でアルバム・デビューいたしました。そしたらシングル・カットした7.ファイト・フォー・ヨア・ライトは最高位7位になってしまうわアルバムは何と1位になってしまうは一夜にしてキンキラキンの大スタアになってしもうたのだ。それよりもそのシングルのビデオでの超おバカ乱ちき騒ぎぶり、我が馬鹿ロック委員会がほっておく訳がありませんことよ。ヒップホップ・ラップつージャンル、登場した時はそりゃびっくり、しゃべりオンリーてのも驚いたけどまあそれは無かった訳じゃないんで、それとは別にクラフトワークやマカロニウエスタンなど何でもありそりゃそうだバックはレコードなんだからの何か音速の壁突破の様相パンドラの箱貫通事態に。そしてついにやっちまったよがヘヴィメタと合体のこのビースティーです。いきなり1曲目からスクラッチと一緒に登場のレッド・ツェッペリン、カシミール・ビート。それに併せてやんちゃーずはわめくがなる。ラップってゆうよりこれは号令です。軍隊で走りながら皆で叫ぶあれ。そこからマッドネスを思い出したり節回しで偶然か意図的にか似ちゃってるのがPIL。ジョン・ライドン・メロディ。最もあちらと違ってフットワーク軽すぎ、悲壮なる決意はみじんこもありません。途中でクラッシュさえ登場する。歌詞にはモンキーズも。そこからはもー大変、エリック・クラプトンがどうたらジミー・ペイジがどうたらこっちはエーゴわからんのでバーっって間に入る歪みエレキの音一緒に声出したりしてバーッ。3曲目のサンプル部分、これもゼップだぞ。うにゃ何だっけなあ。ジャージャーだだだ。この後すだんづだんって行くんだが。気持わりー。リズムはニュー・ジャック・スイング。一世を風靡しました。リズムボックス打ち込み時に%値で入力してリズムを溜めさせるもの。阿波踊りビートになります。5曲目ではラテンも出てきた。これも有名ものだけど思いだせん。ど忘れ激しいおぢさんには気持わりー連続の罪な盤だよ。次のガールズもそう。誰か教えてくれー。ファイト・フォー・ユア・ライトはオリジナルだと思う。全世界悪ガキの主題歌。宿題なんかやってたまるもんか。これは権利なのだこれでいいのだ。ノー・スリープ・トゥーーーーブルックリーン。これはAC/DCかな。元々ゼップもあっしでっせもファンクをハードロックしてたようなもんすからそのはまり方って言ったらありゃせません。さあ一緒に叫ぼう。誰でも行けちゃうとこが最高だー。ポール・リベラはハードコアなラップ。ホリナウ、ヒリのしゃべり声はどっかさんまに似てる。ブラス・モンキーはマッドネス調で。へにゃへにゃしたリズムボックスが素敵。スロウ・アンド・ロウではレゲエ・ダブのリー・ペリー氏お得意のキラキラ・鳴り物も登場。そして最後、漫画主題歌とゼップ、カスタード・パイの合体。もーまるで稲中卓球部の前野、井沢のように悪ふざけ終始敢行、青田赤道のように腹の底から声出し続けてやり切ったなこのやろー。こっちも聴き切ったなこのやろー気分で非常に気持良い聴後感のアルバム。何てたって悪いことに参加するって楽しい。もしかしてこれ人間の本能かいな。

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10/22(金)
静かなる熱狂
cover
Ballbreaker
AC/DC
1995/9/25

シリーズ「直球野郎一本勝負」

生涯一ハードロッカー、永遠の小学生アンガス・ヤング率いるAC/DC、集大成となった1992年のライブを挟んで実に5年ぶりとなったアルバムです。仕切り直し再発進の原動力となったのがドラマー、フィル”レフトフック”ラッド氏の復帰、してなりよりリック・ルービンとゆう男の存在でありました。リック・ルービン。ビースティ・ボーイズでハードロックとヒップホップの鮮烈なる邂逅を成し遂げた男。そのハードロック愛の真実は万人の認めるところでありAC/DCへの絶え間無きラブコールが映画「ラスト・アクション・ヒーロー」の挿入歌「ビッグ・ガン」製作で実りさらにこのフルアルバム「ボールブレーカー」で本格合体となりました。こよなく尊敬する相手を前にしての熱い眼差し。静かにそして目茶目茶熱狂した耳による音作りは一見、地味。しかしながらこれぞAC/DCの音とゆう臍下三寸丹田に豪力溜めに溜めまくった力強い音となって期待に答えることと。そしてご本尊AC/DC。そんな若者の魂に答えない訳はありません。あえてトレードマーク、ヤング兄によるちんこちんこびろりんアルペジオを封印、ガチンコ・リフ・ハードロック一本で望んだその気合たるや双方のスパークリング火花がスタジオに燃え移って青き光を発したほどであります。何と言っても曲が良し。その歩け歩けハードロック絶好調。益々冴え渡るアンガスちゃんの一球入魂フレーズのギター。そして歳末御徒町新巻鮭売り尽くしヴォーカル、ブライアン・ジョンソンだって一歩一歩歩を進めながらいかり肩でうめくがなるうなるその姿もう眼前に。まったもって嬉しいのはあの志半ばにして離れることととなったジョーディの魂を見事に引き継いでいるところ。おおヴィック・マルコムさんよ聴いているかー。ベスト・トラックは、むー、全名曲だけどしいて言えば私は「バーニン・アライブ」。「燃える燃える生きたまま燃える」。これぞAC/DCです。「ラブ・ボム」もたまらん。「なーぼーなーぼー」の出だしのフレーズでもうやられたー。「頑張ってパンツだ」って曲だってあるぞ。そうです寒くても頑張ってパンツです。

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グッヅ

10/23(土)
すげーやー
cover
South of Heaven
Slayer
1988

シリーズ「ヘビメタ虎の穴」

スレーヤー、すげーやー。デスです。スラッシュ・メタルですです。バンド名だって「殺人者」。ある意味ロックが到達した最果ての地、プロデュースを担当した熱きロック魂青年リック・ルービンちゃんにとっても極北の岩であります。まーオズモンズなんか聴いた後で聴いちゃうとこれはもう同じ人間が作ったものとは思えない。こりゃ戦争も起こるわなあ。常に人間は気を引き締めなければならぬわと妙な事思ったりして。もう速いです。速度が。笑っちゃうくらい。私のご贔屓のモーターヘッドも速いけどこれはもうそれを意地になって追い越そうとしてるうさぎちゃんだー。相撲で言えば突っ張り専門力士、鬼麒麟児であります。ヴォーカルだけは妙に人懐っこくて実は気のいいあんちゃんじゃないかと思うんですけどニコニコしながら突っ張り張り手相手の目に入ろうが口に入って裂けてしまおうが気にしないで突っ張り続けているようでそれはそれで怖い。よみうりランド、恐怖振り子コースターに36分間絶え間なく繰り返し乗ってうぎゃあうぎゃあ行ってるかのごとき状態になってしまうのでやっぱり心臓の弱い方は乗車せぬ方が無難かも。最果てなんでどっかの奥地の民族音楽と聴く態度に近くあらかじめデフ・レパード等やや近いのから始めて慣れてから突入する方法になるかと。だいたいいきなしこんなのかけたら10分くらい経過した時点でお母ちゃん、カミサン、親父が「うるーさーーーーい何やってんだそんなん工事現場できけー」って飯場送りになって丹下ダンペイになる羽目になってしまいます。ガキは泣き叫ぶし。その意味じゃものすごロック。ロックの目的の一つに鈍いスクエアな大人に顰蹙を買うってのがありますんで。これ聴いてニコニコ笑ってる赤ちゃんは将来楽しみ。一方でシンガーソングライターとかフリーとかブルースとか好きなロックファンの親にとって子供がこんなんなっちゃうのが一番恐怖かもしれないなあ。えーこの盤、スレイヤーの作品の中でも問題作と呼ばれてるらしいす。それはミドル・テンポのやつもやってるからだって。確かに同じ突っ張り相撲でもここでは相手によって四つ相撲ならこう押し相撲ならこうと対処戦法変えて勝ちに行ってる。ですから一旦入ってしまえば最後までエキサイティング、めくるめくメタルの嵐が気持よかー。ヘッドバッキン、ばっきんばっきんしちゃって後でくらくらして後悔することになるんや。何よりリック・ルービン氏のロック魂が注入されております。音の快感度ってたらそれだけは保証いたします。それにつけてもメタルファン、ちょっと遅くなったりしたくらいで文句言うとは。非常に非ロック的態度じゃわ。そんなん保守的になってると自分も嫌なスクエア大人になっちゃうぞ。極北の音楽が教条主義的になって形にこだわってしまうのはわかるけど。目的は何なのだ。形はどうであれ自分にとって最高かどうかで決めなされ。最高じゃ無かったらうだうだ言わず聴かなければよい。好きなら理由は何でもかまわん。嫌いなら嫌いなんだから理由は何でも見つけちゃうでしょ。
ルーツはキリング・ジョークにあると思います。

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グッヅ

10/24(日)
仮面の正体
cover
Kiss Unmasked
Kiss
1980/6

シリーズ「直球野郎一本勝負」

ついに70年代を駆け抜けた仮面の天使キッス、80’s一発目のアルバムです。だがしかーしピーターちゃんがいなくなっちゃったよ。デスコやっちゃって嫌になっちゃったかのかー。それよりやっぱソロでやって行きたいって気持が強くなってしまったようです。とゆうことでここで叩いているのはアントン・フィグとゆう方。やっぱり寂しいす。しかーしアルバムは絶好調、前作で開陳したポールさんとプロデューサー、ヴィニ・ポンシア氏共作による哀愁POP路線ついに全開花開きました。シャンディだ。やっぱりなんつってもパンク襲来、やりにくいったらありゃしない。お客様を徹底的に楽しませるキッスとしては選択肢としてパワーポップを選んだってことでは無いでしょうか。その意味ではヴィニ・ポンシア氏、60’sにポップフィールドを歩いて来た彼は正にコンビを組むには大適材、全編サビのフレーズがはっきりしたキャッチー大大会の素敵なアルバムです。その分ジーンちゃんエース君の曲が少し浮いちゃうてのもあるけれどそれもグッドスパイシー。わかっちゃいるけどネイキッド・シティなんか胸かきむしられて大喜びしてしまいま。5.の「心のままに」なんかショーン・キャシディがカバーしたらそのままヒットしそう。もちろんナイス・フック。ここでのギター・ソロ実にエース君ぴろりんぽろりん得意ハンマリングオンプリングオフ効いてて素敵です。トモロウはもう地獄のかけらも無い青春みんなで海を駆けましょうソング。あ、エース君の「コインの両面」、浮いてないか、サビばっちりキャッチーだもんな。「彼女はとってもヨーロピアン」はニュー・ウエイブ勢に対する困った感が出てますのでしょうか。ウルトラヴォックスぽいとか思ったりして。気のせいかもしれんけど。9.「傷だらけの素顔」(すげー邦題)はエルトンのアイランドガール調。ちょっと遅いフォロワー、でも今となっては大した時期の違いは無いよ。最後はお前が全てとファンに対するラブコールかまして正調キッスに立ち戻る。げにキッスのパワーポップ挑戦は大成功。全編カモンラブミー・アルバム最高。でもあれだこのパワーポップってやつ、曲作りに多大な労力がかかる割りに正直見返りが少ないんです。いつまでも最上曲は作り続けられるもんじゃない。さあ困った。エース君もぐずぐず言い始めちゃった。ああ、80年代のキッスの運命やいかに。

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グッヅ

10/25(月)
放浪
cover
It Never Rains in Southern California
Albert Hammond
1973

シリーズ「英国シンガーソングライター」

何しろ洋楽、ただ聴いているだけでは歌詞もわからず情報も無し、なもんで知っていくうちにどんどんイメージが変わっていく人もおります。このアルバート・ハモンド氏もそんな人。私が洋楽聴き始めの頃それはもうガンガンヒットしていたのが「カルフォルニアの青い空」、そののんびりした曲調うららかなメロディから能天気な西海岸賛歌なのだなあと思っておりました。次のヒット「落ち葉のコンチェルト」での胸かきむしられるメロディでおっと思ったもののイメージはほぼそのまま。それが変わりだしたのがごく最近、チャートを改めて追っかけて彼の他のシングルを聴いてから。これがやけに英国ぽい。しかも奥深く。あれアメリカの人じゃ無かったのてなもんで。で今回1STのアナログを入手して対訳付で聴いてみたらまたこれが素晴らしく、同時に謎も氷解しました。一筋縄ではいかない経歴の持ち主だったのだ。
彼のインタビューがそれには入ってましてちょっと抜粋してみますと、まず生まれは1942年5月18日、スペインはジブラルタル生まれ。13歳の時家出してモロッコに渡り音楽家デビューはモロッコのうらぶれたストリップ小屋だったそう。そこにいた20人ものストリッパー嬢に様々な音楽を聴かせてもらい1年半後スペインに帰郷。家には戻らずレコード会社のオーディションをいくつも受けるが断られ16歳でようやくRCAと契約することが出来ました。はりきってバディ・ホリースタイルの曲を書くもお前の仕事はアメリカイギリスのヒット曲をスペイン語に直して歌うことだと言われがっくし。しかたなし従ったらそれが何と本家よりヒットしてしまったとゆう。そんな毎日に嫌気がさしてまた放浪の旅に。今度はビートルズ旋風吹き荒れる英国へ。とりあえずレコード出したりTVに出たりしたものの全てがうまく行かず皿洗い、運転手、工場労働者とバイトに明け暮れる始末。女性関係でももめてしまって、そんな時に出会ったのが曲作りのパートナー、マイケル・ヘイゼルウッド氏。これが68年のこと。彼と出会って再び音楽に本腰を入れ作曲活動に身を入れ出すことに。リーピー・リーとゆう歌手に提供した「リトル・アローズ」が大ヒット。次に何と知らなかったあのジョナサン・キングのプロジェクト、ピプキンズの「ギミ・ダット・ディン」を書いてこれもヒット。音楽仲間もレッド・ツェッペリンの面々、ブルー・ミンク、マジック・ランタンと広がりソロとしても再デビュー、録音したのが何故かアメリカはLA。それがこの盤とゆうことです。な訳でこの盤に収録してる曲の歌詞はそれまでの彼の半生がもろ反映されておって。まー辛(から)いこと辛いこと。件のカリフォルニアの青い空だってけっして賛歌などではありませんでした。イーグルスも裸足で逃げ出す虚飾剥ぎ辛らつソング。ランディ・ニューマン実体験版。5.の哀しみのミュージシャンなどは歌詞を読んで聴くのが辛いくらい貧乏な音楽屋の話で。1.の世界に平和をではTV、政治家の言うことを決して信じるな、2.の光を求めてではチャンスが有ったら死に物狂いでもにしろと。3.のカリフォルニアに愛をこめてではここはろくでもないところだからイギリスに帰ろうだって(^_^;)。そして最後のホリーズのカバーでヒットした”安らぎの世界へ”では真に迫っての安らぎ希望。とまあこんな感じだけどそれが極上のメロディに包まれてそうです一見聴くだけだとナイス・ポップス。こんなことされたんじゃはまらない訳は無い\(^o^)/。人々の記憶には残るけど音楽雑誌の文字には残らなかった歌手、アルバート・ハモンドさん。遅くなったけどこれからじっくりつき合わさせていただきます。よろしくー。

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10/26(火)
これが生なのか
cover
Rude Awakening
Megadeth
2002/3/19

シリーズ「ヘビメタ虎の穴」

平成の浪曲師、デイブ・ムステイン率いるメガデス。これは2002年発表の初のフル・ライブ盤にしてこれで一旦は解散、音楽界から足を洗うことを決意したアルバムであります。2枚組み、24曲、2時間長。徹頭徹尾メガデス。メタリカから独立、その名前から世間の逆風の中、もがいて戦っての戦闘総決算。同時にハードロックの行き着く先最果ての音楽だと思います。速さならスレイヤーなどがおるけど総合力、真正面ハードならこれが極北かと。とにかくこれが生演奏なのか。人間が演奏しておるのかにわかに信じられない怒髪天突くプレイの数々。確かにヘッドバッキン・ミュージックだろうけどこれじゃ頭振るより口あんぐり開けて呆然としてしまうのではないか。ドラムはでんでん太鼓ぽこぺんするように軽々とダブルバスを操るしギターは発信機みたいにぴろぴろぴろー。それにただ速いだけじゃサーカスと同じ曲芸の感動はあるけれど音楽の感動は無し、それがこの人ら、その二つを同時に味あわせてくれるちゅう稀有な存在なんです。マイルドとは言わないけど(^0^)楽器音良し、その点でも気持ちよく。めくるめく展開、片っ端から滅茶苦茶に散乱して床に転がってるCDがどうゆうわけか空中に舞ってパタパタ、棚に納まって行くような。そんなバカな感満喫。そして曲だわな。ガチンコ・ほぼまっすぐメロディのも確かにありますがそれに混じって適所に配置されたドラマティック・メロディアス・ナンバーの数々、肉体及び精神がぐおおおおっと昂進すること必須。そうですロックの快感ってこんな感じだって呼び覚まされるもの。デイブ氏のヴォーカル、もちろん冴え渡っております。まじで広沢虎造もしくは桃中軒雲右衛門師に師事して免許皆伝したかのような塩辛声。結局はこの歌声があるからメガデスだぜと納得しておしまいになる。はい、これで解散宣言しました。しかしブラボー、今年の9月にメガデスは復活しました。プロレスの引退宣言みたいですが、決して非難することなかれ。あーた毎回こんなライブやってたら時々そりゃ真っ白になっちまうわな。真っ白になっちまったぜおっつぁん。とても常人には出来ませぬ。常人には出来ぬことをさらっとやっちまうのがトップ・ロッカー。裏に毎日3千回のヒンズー・スクワット有りのこの音楽に大喝采。誰が何と言ってもメガデスは最高だー。

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グッヅ

10/27(火)
霧のAOR
cover
City to City
Gerry Rafferty
1978

シリーズ「英国シンガーソングライター」

ジェリー・ラファティ、スターとスタック・イン・ザ・ミドルとゆう聴いてしまったら最後、一生の宝となってしまう曲を生み出したスティーラーズ・ホイールの中心だった人物です。その2曲のヒットを出したもののスティーラーズ時代は不運続きだったようで度重なるメンバー・チェンジ、マネージメント会社の倒産など多難の中分解、3年の沈黙の後、音楽への愛情断ち切ること出来ずカムバックした作品がこのシティ・トゥ・シティです。みんな彼の声を覚えておりました。何とアルバムは全米最高位1位、全英6位、シングル「霧のベイカー・ストリート」は全米最高位2位、全英3位と大ヒット、一躍時代の寵児に。私も実はこの人に初遭遇したのはそのシングルから。ものすご派手なサックスのイントロに続く曲は逆に地味光り、そのギャップも面白く何より曲にやられちゃって。時代も有ってけっこうAORな人だと思っておりました。最近になってスティーラーズの盤やソロ・アルバム「ナイト・アウル」(この次です)買って違うじゃないかこりゃもろ英国の人だと。そしてようやくこのブレークアルバムに遭遇。1曲目「暁の箱舟」のイントロ聴いて、ああ、やっぱり。高らかに鳴り響くはバグパイプの音です。100年殺しのアルバムってあると思うのですがこれが正にそれ。100年掛かったらやばいけど(^0^)。もしやこれ買った方で最初聴いた時、何じゃこりゃっ失敗したーって思う人おるかもしれませぬ。失敗とまではいかんけど私もうお、もさっっとか思っっちゃった。何しろどんな魔法を使ったか知りませんが盤全体に霧がかかってます。1回やそこらでその霧の向こうが見えてこない。ところが3回4回と聴き進みそれが見えてくるに従って何とそこには色とりどりのイクラやウニ、鯛が。もう大変、美味しくて美味しくてエンドレス状態になっちゃう。まず声が素敵。ビートルズ、ポールさんとジョンちゃんを足して2で割って1.56掛けたような味。そのまったりした味わいは唯一無比Sです。かゆいところも消えちゃうてなもんだ。そして曲。スティーラーズ時代とはさすがに作風が変わった。大人っぽくなったって言ったら何か陳腐だけどよりしっとり落ち着いて。元々落ち着いてますからこれは地味です。だけど全て名曲印。特に5.のスティーリン・タイム、7.のあなたの心になんかは決してシングルになり得ない曲だけどもう素敵で素敵で。バックは全英国勢です。一番有名なのはアンディ・フェアウエザー・ロウかなってくらい地味な面子ですがその的確でしっかりとした音は正に英国。霧のAORとでも呼びたいこの盤、もう大お奨め、大ヒットしたからと言ってけっして軽薄な音楽ではありません。奇跡のように腰が座ってます。この時代は腰が座ってなけりゃヒットなどしなかったのだ。そう言えばもう一枚、霧のAORの名盤があった。イアン・マシューズのスティーリン・ホーム。CD再発を祈ろう。それまでアナログで両盤を続けてパワープレイだ。CDではこの霧はどうなっているのだろう。

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10/28(木)
メタルAOR
cover
Sabbath Bloody Sabbath
Black Sabbath
1973/12

シリーズ「ヘビメタ虎の穴」

メタルAORなんて惹句付けちゃって怒られそうですがそれは置いといてブラック・サバス、アルバムで一番好きなのがこれ「血まみれの安息日」です。プロレス・ファンとしてはそりゃ「パラノイド」ですけどそれは置いといて(^0^)。活動方針とか曲名とかタイトル、歌詞はまことに不謹慎なサバスちゃん。にも関わらず何故愛されるかとゆうとご本人達も言っておるようにそれはお化け屋敷の楽しさ、平和じゃ無けりゃ決してできん喜びを惜しげも無く提供してくれて。そして何より愛嬌ちゅうか憎めないかわいらしさがあるからだと思います。その筆頭がヴォーカルのオジーちゃんの歌声、キャラかと。夜鳴きかんの虫の赤ちゃんみたいだし。そしてこのアルバム、その屈託無い魅力が一番出てるような気がいたしてまして。メタルAORなんて書いちまったのは1曲目、タイトルチューンのせいだー。この曲スエーデンのふにゃらかポップロックバンド、カーディガンズがカバー、もうそりゃふにゃらかーに。バカラック・ナンバーみたいに。それがまたはまってて。そう言えばと改めてその気でこちら聴いてみると確かに。リフこそメタルのふりしてますが(^0^)メロディ優しいやんけ。それはもうサビのところでバレバレ。ボサノヴァみたいになってるわ。まあこの人たちの曲うるさいくせにどれもわらべ歌つうか下手すりゃ子守唄に使用出来るようなとこがあってそれこそ魅力のど真ん中。血まみれって言ってもよく見りゃチョコレートだー。ばんざい。それなら甘くも食べちゃおう。とわいえやっぱ元祖ハードロッカー屋、2曲目のリフなんぞもう腰に来るだ。しばらく触ってないギター思わず手に取って弾きたくなる。展開部分で1曲目のメロディとクリソツなのも登場でデジャブ感まで味わったりして。ノリノリで3曲目入ると何じゃこりゃ。春のそよ風のような生ギター。これやってる間じっと待ってるオジーちゃんの顔を想像しちゃうともう爆笑物。まさかそれを狙った訳では...。きっとありません。奥に引っ込んでお茶の時間かもしれんな。で、おやつも食ったし元気百倍でずんどこハードロック全開のサブラ・カタブラ。”サ”です。曲調、リフともにメタルの古典の教科書に掲載されました。テストに出るからチェックしとくように。ロンリー、レイエイエイエイエイって節回しが絶品。5.は「生への自殺」ってどうそれを敢行するのだってタイトルだよ。リフが命のサバスにしてこのリフあり。6.はマギー司郎のマジックみたいなシンセびよ〜んに乗って始まる「お前は誰だ!」。えーマスター申します。以後お見知りおきを。誰がこの音にしようと提案したかは知りませぬがその方にばかロッカーのメダルあげるよー。Xんこ色だけど。サビの華麗なるピアノはリック・7人の妻より抜粋・ウエイクマン氏か。それに導かれて水戸のご隠居も厳かに登場。このインロー内角低目が目に入らぬか。と黄門様の歌だったのだ。7.の希望に満ちた今日を探した後、静かに就寝の時を迎えて...と思うたら、まだ寝ないよー。え、どれもメロディが極似だって?しっ。それは言っちゃ。これはラップ・アルバムだからこれでいいの。本人は気付いて無いし。そっとしておいて上げて下さい。活気溢れて最大限に引き出しこじ開けたこの盤、彩りも豊かで最高のエンターテインメント超大作です。

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グッヅ

10/29(金)
宅間伸馬
cover
Heavy Horses
Jethro Tull
1978/4

シリーズ「プログレ支部」

孤高の辺境人イアン・アンダーソン王が率いるジェスロ・タル、77年の「神秘の森」に続く芸能人スポット盤邦題「逞しい馬」だー。前作で突入のブレーメン・トラッド路線は今回も引き継がれて今度は森に生息する動物達の物語であります。ムツゴロウさんかー。音楽など日頃縁の無い人でも競馬好きなら2頭一人引きするイアン王のお姿を見てつい買ってしまうかもしれん。馬体診断などせないように。ほんとに買ってしまったら中身を聴いて腰抜かすだろなあ。馬出走と言いましても決して平地の芝2000m天皇賞では無くて障害競走です。しかも英国荒野&森競馬場、やれ岩場有り川有り底なし沼有りでもう大変。疲労が蓄積してる人はギックリ腰になるやもしれません。治療がうまくいけばマッサージにもなるよ。てな具合で冒頭から暴走するイアン節、メロディに絡みつく変拍子の嵐、やっぱタル共和国の音楽はこうしてくれたらもう嬉しくて涙が出ちゃうだって女の子だもん。もう既にこの味わいにはまってしもうた人は1曲目「そしてネズミ警察はけして眠らない」の最後で「ネバー・スリープスネバスリープス」と一緒に片手上げて頭バッキンしてるでしょう。まだタル世界に入って無い方もここでついやってしまったらもうおしまいです。貴方も仲間だ。最初は頭こんがらがり何じゃと思ってもまあせっかく買ったんだから5回くらいは聴いてくださり。そしたらもうこのずったんばっこんが気持ちよくなっちゃって。はい。聴く頭の体操じゃけんのう。聴き進んで行きますと4.のモスのとこで妙なデジャブが襲ってくるかもしれません。そうですこれはピーター・ガブリエル天使のソルベリー・ヒルだ。それが入ってる向こうのカー・アルバムが77年だけどまさかパクっった訳ではないよなあ。以前にもホテル・カリフォルニアの元歌を作ってしまうた人ですからこれは偶然かと思う。いやそれにしてもクリソツ。ってことはハワード・ジョーンズのニュー・ソングにも似てるのだな。その方面が好きな方にもこうなると大推薦出来ちゃう。いわゆる世間タル世界においても有名な曲ってのは無いかもしれませんが聴いた各々方各個人個人にとっても有名曲が出来ちゃうとゆうアルバムかと思います。わたしゃ7.の「一匹の茶色のねずみ」が好きで。これかわいいすよねえ。で、この盤のど真ん中に位置するのがタイトル曲の「宅間伸馬」。別に現実味の無い離婚しそうでしない夫婦の歌ではなくて重い馬の話。太め残り。歌詞を自己流で訳しても何をゆうてるのかさっぱしわかりませぬが想像力を刺激させる言葉が満載でして。それが歌とゆうものだ。一節が耳に入りイマジネイションが空を駆け巡れば大成功。かのごとく全編英国の塊、英国民じゃ無きゃこんなんわかるかいと思うたら全米最高位19位、イギリスでは17位とほぼ同じくらい売れちゃったとゆう大快挙。みんなの心の故郷ブレーメンに届きました。時代的にもこの78年、アナログ・レコーディング技術の最高到達地点、ベストな環境の中でのタル・アルバムです。印象地味で買い逃してる貴兄、行っちゃって下さい。最初の一枚でもまったくOKだとここに宣言いたす所存。出て来い所存。パパラパー。

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10/30(土)
プログレ大感謝祭
cover
U.K.
U.K.
1978

シリーズ「プログレ支部」

時は1978年、プログレ時間も夕刻に迫ったその時、大英帝国の荒野の果てから憂国の騎士4人がやって来た。そして自らをUKと名乗り安全ピン団跋扈する音楽シーンに無謀とも言える殴り込みをかけたのであったー。のUK。メンバーはあのキング・クリムゾン「USA」のフリップ博士抜き+流れギター板さんアラン・ホールズワースとゆうこれ以上何が望めますかいってメンツです。発売前から噂が噂を呼び、全世界980万のプログレ・ファンの多大なる期待と不安の中、完成いたしました。さて登場の1曲目、イン・ザ・デッド・オブ・ナイト、その曲名を見てまず涙した人が790万人、そしてそして聴いて感動のあまり脱屁した人が1020万人と言われております。これぞ待ってたの音だ曲だドラムだ歌だキーボードだ。そう言えばアランさんは何してんだと急に不安になってわらわらしてたら登場です。満を持して。それまで何をしてたかとゆうとエディ君の取り巻き女性群4人を派遣してもらい肩を揉んで貰ってた模様。「先生出番です。ギタアよろしくお願いします。」「よっしゃあ。一つやったるべか。」てな会話がめぐらされ、ぴろぴろぴろー。「見事です先生。」「そうか良かったかわははははははは。」とまた肩を揉んで貰いに行きました。もうそれほど凄い曲です。プログレ6800年の歴史の中でも10本の指に入る名曲と言えましょう。や。プログレうんぬんを抜きにしても挑戦とPOP両方兼ねそろえた稀有な例として音楽好きあまつに訴えることが出来ると確信、確かだ。さてそれほどの曲を頭にものしてしまいました。卍固めを最初に出してしまったアントニオ猪木、印籠抜きで最初の方で正体を明かしてしもうた水戸黄門、両者とも大抵その後はうまく行かない展開になるのが常、嬉しさ満点の中、不安もよぎる今日この頃です。そしたら....おお何と、このフレーズは....フランク・ザッパ大明神が姿を現しました。そうですこのバンドはエディ・ジョブソン(美し)さんのバンドだったのです。丁度前年彼はザッパ・バンドにおりました。アルバムで言うとあの「ザッパ・イン・NY」であります。朝から晩までスタジオに監禁、さあ弾けやれ弾け練習だ練習だの毎日、ああロクシーの頃は楽だったな、母ちゃん辛いです大変ですの毎日、夢にまでブラックページのフレーズが出て来ます。まだ弾けんのかと顔の長さ3mのザッパさんが怒ります。そうですブラック・ページ、あのスティーブ・ヴァイさんが完コピ譜面化してザッパ先生のところに持って行き、お前は見所があるわいと採用して貰ったとゆういわくつきの難曲、美しのジョブ君の指にすっかりこびりついたとしても不思議はありません。結果、くしくもキング・クリムゾン・ミーツ・フランク・ザッパとゆう夢の共演に。共に御大抜きながら。御大役はアラン先生よろしくお願いします。「よっしゃあ。」。結果。そりゃそりゃもう最高にスリリングです。プログレ世界闇夜の前にかかった巨大な虹、その華麗なる彩をたっぷりとお楽しみください。随喜の涙ここにあり。

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10/31(日)
地獄の今回は主人公
cover

Peter Criss
Ace Frehley
1978/10

シリーズ「直球野郎一本勝負」

78年4月の初ベスト・アルバム「ダブル・プラチナム」で歳末大感謝祭を開催後、キッスご一行はメンバー各人のソロ一斉発売つう画期的かついささか乱暴な快挙に着手いたします。期限はみな平等、ジャケも同じアングルでどうしたって比べられちゃいます。活動も一段落してバンド内の力関係、不満、野望渦巻く中その結果は吉と出たか凶と出たか狂と出たか。まずは不満組と見られるお二人を。
ピーター・クリスさん。45年生まれ最年長。ドラムってこともあってバンド内4番目の立場にありましたがベス、ハードラック・ウーマンの2大ヒットで一挙にクリーンナップ的立場に。とにかく声がよくて。神様と親に感謝しなさい(^0^)。ライブでもピンで歌のスポットライトはこの人だけ。もしや一人でもやってけるんじゃないかと思っても何の不思議は無し。その為にはこのソロ製作の機会は千載一遇のチャンス、制約数有れど燃えたのには違いあるまいか。ドラマーのアルバムちゅうともうどったんばったんあくまでもぶっ叩き大フューチャー大会かもしくは全然楽器から離れたヴォーカルかって二パターンだと思いますがピーターさんの場合は明らかに後者、リンゴ・スターだ。曲作りのパートナーはギターも担当のスタン・ペンリッジと言う人とプロデュースも担当のシーン・デラニーとゆう人。うーん誰なんだ(^0^)。お友達でしょうか。密かに書き溜めてた曲も多かったのでしょう。全オリジナルで意気込み相当のもの。だがしかしそこが運命の分かれ道、ボーカリストで成功するためにはとことん良い曲を選びに選んだカバー集の方が成功する確率は高い訳で、またこれからソロで活躍するためにはオリジナルで固めた方がいいと。後ろの道を選択したピータちゃん、その辺の勝負はどうだったか。あくまでも個人的感想ですが9勝6敗かな。件の2大ヒットもあってポップ曲主体の構成。そのポップてのがやっかいでセンスが丸出しになっちゃう。外しちゃうと恥ずかしい代物になってしまう恐怖道なのかと。なもんで聴いててやばいなあと思う瞬間も無いでは無い。だけど歌が何てたってうまいすからそれでも聴かせちゃいます。そして中には4.のドンチュー・レット・ミー・ダウンとか最後のアイ・キャント・ストップ・ザ・レインなんて必殺、惚れ惚れ曲もあって総合的には買ってしもうても何ら後悔などありませぬ。とにもかくにも一枚作り上げちゃってさあ自信深めちゃったぞ。どうしましょう。で仮面の正体の途中で脱退、ソロ活動に突入もやっぱパッとしなかったんだよなあ。一時はホームレスになっちまったって噂まで。その意味じゃ罪深いアルバムかもしれませぬ。
そしてバンド内の花形リード・ギタリスト、エース・フレーリーさん。バンドへの加入は一番最後。実はリオン・ラッセル氏じゃないかなんて噂もありました。いっとう目立ちながらも曲作りへの関与は少なく自分の音楽の実現その意味じゃ悶々としてたに違いありません。お薬&アルコール耽溺との話も有り、抜けるんじゃないかーてなきな臭い雰囲気の中でのこのソロ話です。やっぱり燃えてました。プロデュースは本丸エディ・クレーマー氏担ぎ出しに成功、出だしから気合満点のハード・ロックでぶっ飛ばしてもうノリノリだー。歌はそのやっぱりギタリストですからピーターちゃんみたいにロッド・スチュワートかーてな具合には世の中うまくいかない。でも無理にうまく歌おうとせずぶっきらぼうに徹しているのが最大の魅力だと思います。どっかで感じた雰囲気だなあと思うたらこれはあのジョ−ン・ジェットの感じ。音楽もけっこう共通してるかも。グラムなピッカピカのある直球ハードロック連発です。リフ満開でやれ気持良いなあと聴いてたら突如登場は英国でヒットしたハローの曲、ラス・バラード作のニューヨーク・グルーブ。よくぞ選んだなあと喜んでたらシングルカットでヒットしちゃいました。これには他のメンバーもびっくりしたかと。本人もびっくりして俺ピンでいけちゃうんじゃないかと。アルバムの売上げもジーンさんに次ぐ2位記録しちゃって。なもんでキッス素顔化の83年の時脱退してしまいました。誰だ素顔が辛かったなんて言うのは。このアルバムの話に戻しますと歌も思いっきり歌いインストではギターも思い切り弾き曲も出すものは全部出したってんで4人の中じゃ一番力を出し尽くした本望盤だと。キッスとも音楽違うし単体で光ってるって意味じゃ一番かなと思いました。誰に言われるでなくわたしゃたまに聴いてしまう。

曲目等詳細

試聴はここで(ピーター)

試聴はここで(エース)

グッヅ