このコーナーの資料写真は、ワシントンスミソニアン博物館、大英自然史博物館、鮎川牡鹿ホエルランド、室戸図書館、その他で撮影してきたものです。

クジラのヒゲやマッコウクジラの謎 クジラにヒゲがはえているの?
どんな風になっていて、どんな役割をしているのでしょう?
音声と声紋 マッコウクジラは、「歯」のあるクジラの代表選手であるばかりでなく、なぞの多いクジラでもあります。          
クジラの見分け方
クジラ入門2
イルカの耳

鯨は大きい

シロナガスクジラは体長33メートル。地球上最大の動物です。手前は最大の恐竜
ディノサウルスですが、それより大きいのが鯨です。
鯨のペニスは3メートル、これをブラブラさせて泳ぐわけに
はいかないので、普段は体の中にしまってあるのです。
用があるときに現れて、それも自由自在に動くのですか
ら羨ましい、いや素晴らしい。


クジラは昔、陸を歩いていました

 クジラって変な哺乳類ですよね。
 あらゆる哺乳類の内で一番型はずれ者がクジラといえそうです。というのはいろんな面で特化して進化していて、例えば海だけで生活する道を選んだこととか、長い尾が平らになって、しかも縦に振って推進力を得るとか、全く祖先にない遺伝形質を作り出したことなど(こういうのをネオモルフィックと云うそうですが)で明らかです。
 そんな特化した生活様式に完全に適応して、現在私たちが見られるわけですが、化石を調べると、随分古い時代に祖先の正獣類から分かれて異常な速さで進化、始新世中期までには完全に大洋での生活に適応してしまい、変貌したことがわかるそうです。 
 クジラの祖先バシロザウルス(ゼウグロドン)の化石(60フィート)とその復元模型
1842年、アメリカで発見された時、恐竜の化石と思われていて、バシロザウルスと命名されたが、後に英国のオウエンによってクジラと鑑定されてゼウグロドンと命名された。
 
 この大英博物館の模型は、尻尾がウナギのように見えるけれど、いろんな図版には今のクジラの尻尾のように分かれて描かれているものもある。
 多分尻尾には骨がないことで化石に形が残っていないからだろう。と想像する。
数年前の東京新聞にこんな記事がありました。
エジプトの平野で出土した約4000万年前のクジラの化石から陸上動物と同じ型をした後ろ足の骨が見つかり、発見したミシガン大学博物館館長ジンジャーリッチは、クジラが陸上生活から海に入った証拠であるとみている。しかし、胴体に比べ足が短すぎることから、足は交尾期に身体を支えるために使われたといっている。

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クジラは昔ラクダだったという説

クジラは、ラクダの先祖から生まれ、遺伝学的にはウシやウマに比べてクジラの方がラクダに近い。文部省統計数理研究所の長谷川政美教授(分子進化学)が遺伝子の本体であるDNAのデータを統計学的に調べ直したところ、こんな結論に達した。
クジラ、ヒト、マウス、ウシなどの塩基配列を基に、最尤(さいゆう)法という統計学的手法を用いて、どのように分岐しながら進化したかを表す系統樹を作った。その結果、ラクダ、ウシといった偶蹄類と、ウマなどの奇蹄類が約六千五百万年前に枝分かれした後に、クジラの先祖が偶蹄類から分岐したことが判った。また偶蹄類の中でも、ラクダの先祖から別れた可能性が最も高くなった。         1991.12.27付の日経新聞



クジラの祖先カバ・牛と同類
「証拠」の化石発見・米教授らのグループ
 クジラの祖先は、「偶蹄目」と呼ばれるカバや牛の仲間に近い動物だった。クジラの起源を解く「証拠」になる化石を、米ミシガン大のフイリップ・ギンゲリッチ教授やパキスタン地質調査所などのグループがパキスタンの約4700万年前の地層から見つけた。
21日付の米科学誌サイエンスに論文が掲載される。
 化石は頭や足などほぼ全身に近い骨格2体分で、昨年発見した。いずれもムカシクジラ類の新種で、「アーチィオケタス・クラピス」 (推定体重420`)と、「ロドセタス・バロキスタネンシス」 (同450`)と名付けられた。
 許しく調べた結果、ともに後ろ脚の足首の骨が偶蹄目に特有の形をしていた。後ろ脚が水をかくのに適したようになっていて、主に水中で生活していたとみられる。
 クジラの起源に関しては、絶滅しに「メソニクス類」という四つ足の肉食動物が最も近く、偶蹄目は別という古生物学の見方と、偶蹄目の仲間だとする分子生物学からの主張が対立していた。
 クジラの進化に詳しい国立科学博物館の甲能直樹・研究官(は乳数古生物学)は「足首の化石は決定的な証拠といえる。『メソニクス』はクジラ類の祖先でないことがはつきりした。古生物学と分子生物学のミゾを埋める画期的な成果だ」と話している。                     2001.09.19朝日朝刊

新聞掲載の絵が不自然なので書き直してあります。


現生クジラの後ろ足


昔、陸を歩いていたことの証、
痕跡的に残っている後ろ足の骨。
希に体外に飛び出している「先祖帰り」した個体もあり、
右の写真がその実物標本です。

クジラ類の後肢は、胎児のごく初期に、一対の高まり
が出来るが、やがて消失して、一生無くなる。したがつて、
写真のように成熟した、クジラに見られるのが、非常に
珍しい。この突起は、マッコウクジラ(雌、体長10.6
メートル)にあった、一対の突起の右側のものである。
高まりは左6.5cm、右5.4cm。この突起の内側にあ
る3個の骨は、骨盤、大腿骨、脛骨に相当すると考え
られる。また筋肉群と多数の血管及び2本の太い神経
も観察された。
 この解説は館長 鈴木優さんの手紙より抜粋したのです

マッコウクジラの後足(後肢突起)
サイズ
     高さ    0.45メートル       
幅、上 0.28メートル
 幅、下 0.285メートル
 日本にただ一つの標本で、
この写真はおしかホエールランドより
送付されたもの





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