*およそミュージシャンのキャリアの中で聴いて一番美味しい時はブレークした時、そして次に美味しい時はブレーク直前、何かを掴みかけている時じゃないかと思っております。スティーブ・ミラー・バンドのこのアルバム、ジョーカー、76年に「鷲の爪」でブレークする直前、ちゅうても3年前なんすが発表したアルバム。その表題曲が大ヒットでこれだってのを掴んだアルバムなのです。この人67年にデビューしておりましてこれで実に9枚目。根はブルース親父。ブルースちゅうと実に完成されたジャンルですから1回はまるとその形からなかなか抜け出せない。カバーしてやってるとそこそこ形が出来ちゃう。その上60’s後半70’s前半のロック変貌期の中であれも出来るこれも出来るでやれサイケだスワンプだと手を出したくなってる中で模索も〜さくしてました。72年に病気で半年ブランク、シーンも落ち着いて自分の持ち味を見つめ直すことが出来たか、俺はスペース・カウボーイだギャングスターだと開き直り、かっこつけることやめて復帰後何と1年間に220回のギグの中で音を絞りに絞ってこの盤の登場です。それまでは「どうするここバンマス〜?」って聴かれたら「良いやいーやそこ適当にやってて」とか言ってたんだろなあ。そこをこうやってくれっとはっきり言えるようになったのかと。おそらくアイドルであろうジョニー・ギター・ワトソンのサウンド変貌も参考にしたのか余計な音は省いての良い曲提供、それが一番出たのが「ザ・ジョーカー」。このカントリーともブルースともつかぬしかも宇宙の不思議世界、私も若い頃はたる〜い曲だなーとか思ってたんですがこれがこれが25年殺しで最近どんどん好きになって。歌詞も音もこれからの彼の道のマニフェストのような内容の曲です。他の曲ではまだまだブルース、我が道途中のもあり。だけどこの人のブルース、元々白い人にしか出せない飄々さ軽快さがあっていいんだよねえ。威厳や渋さ皆無だから本邦ではあかんかったのだろうけど。その飄々さをようやく充分に発揮しかけてるサウンドの中、ハイライトはラストのバラードかと。もうジョーカーとこれだけでこの盤買っても後悔しないすって言いたいくらいの涙曲。「お前がいるから希望もわき、お前がいるから信じもする。お前は僕に変わらぬ愛をくれただろう。その通りだね。心から感謝してるよ。」。「お前」って音楽のことじゃないと思います。そしてこの後、3年のさらなる研鑽を経てシンセとゆう武器を片手にスペースカウボーイが戻ってくるのだ。 (マスター)2004.5.10 |
The Joker Steve Miller Band 1973 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− The Joker Young Hearts: Complete Greatest Hits Steve Miller Band - The Joker http://jp.youtube.com/watch?v=nIHP9o6X6D8 →ペガサスの祈り「ジャングル・ラブ」に続く。 |
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