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試聴はここで

*イギリス・ロックのジャンルにエレクトリック・トラッドってのがあります。トラッドは民謡、文盲の人々が多かった時代に口伝でちまたで起こった事件を伝えるバラッドが有名です。60年代アメリカのボブ・ディランの衝撃すさまじく英国でもフォークロック始めた若者多数、その中でフェアポート・コンベンションってバンドが最初に自国のトラッドに興味を持ち、フォークロックの手法でそれを再演するってことを始めました。そのフェアポートのメンバー、アシュレイ・ハッチングスが脱退後70年に始めたのがこのスティーライ・スパンとゆうバンドです。アシュレイさん、それはもう真面目な人だったらしくせっかくトラッドを始めたのだからここは一つ奥深くまで追求してみようと。ドラムレスで音数少なく、鉄壁コーラスの鋼鉄音楽を展開。ただでさえ殺人とか変態さんとか恐ろしい内容が多いトラッドですからそれはもう緊張感ただならぬもので。そしてそのアシュレイさんさらに好きにやるためにスティーライも脱退、彼が抜けた後、残されたメンバーはさあ星一徹がいなくなった(^0^)、楽しく音楽をやろうぜとバンドの電気化を推進、ドラムも入れて段々とロックバンドの体裁を整えて行きました。73年のクリスマスにはガウデットってシングルヒットも飛び出しアルバムもチャートに顔を出すようになって来たそんな1975年、次のアルバム製作に当たって白羽の矢が立ったのはマイク・バットって御仁です。このマイクさんまだ25歳の若者、十代の頃からのプロデュース作品既に数知れず、自身もウォンブルズってバンド名義で74年の1月からシングルヒットを続出しておりました。ウォンブルズはイギリスのおはよう子供ショーみたいな番組に出てくる架空の動物。その音楽を担当したマイクさん、自分もおばあちゃんに作って貰ったピエロ風の着ぐるみに身を包んで街中を宣伝練り歩きヒットに結び付けたとゆう。音楽はそりゃ楽しさ満点ワールド、直接の接点は無いもののその直前に一大ブームだったグラムシーンで大活躍のウィザード、ロイ・ウッド氏の弟子筋にあたるものでした。ロイさんよりより軽く親しみやすい。そのマイク氏にプロデュースを委ね驚異的な速仕事で完成したこの「頭いっぱいの帽子」。大成功。トラッドのマザーグースみたいな楽しさが全面に溢れる作品となりました。ヒットチャートもぐんぐん上昇、表題曲は11月に5位まで上がる大ヒット、アルバムも10月に7位まで上がっただよ。マイクさんがやったお仕事、最大のものはトラッドとブギ、ブギ・ロックとの融合であります。トラッドっていやあ静謐なものってイメージを覆し、そのダンス・チューンの楽しさをそのままロック化したの。ずんずんずんと。元々の鉄壁コーラス、紅一点マディ・プライア嬢の歌声素晴らしいのにそれにうきうきビートが加わったのだからたまりません。従来の彼らのファンの中には日寄ったなと白い目で見る向きは少なからずあったと言いますがそんな教条的なこと関係ない音楽好きは素直に飛びついた。私だってトラッドも好きそして何よりキャッチー&ポップのヒットチャート世界大好きですから。もうこの盤がフェイバリットです。何より全員が実に楽しそう。だからこっちだって楽しいよう。表題曲は後にブギの世界の大親分ステイタス・クオーがカバーいたしました。8.のダンス・ウイズ・ミーの曲調はどっかディーヴォしてます。トラッドに従来縁の無い方も、もしケイト・ブッシュの音楽の雰囲気がお好きだったり、フリートウッドマック、もちろん「噂」の、がお好きでしたらもう大大お奨め。実際この集団コーラス、クリスティン、リンジー、ニックスのあの3人コーラスに実に雰囲気が似てます。そりゃあ彼等も英国バンドだべさなあ。ポップの世界に切り込んだ彼らのキラー・アルバム、是非楽しんでみてくださいまし。

(マスター)2004.8.13








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