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*英国のトラッド・ミュージックと言いますとロック・ファンの間ではツェッペリン絡みでフェアポート・コンベンションの一人勝ちの様相を呈しておりますがまだまだおるおるそりゃそうだ。このアルバム「ノー・ローゼズ」、そのフェアポートに在籍、さらなる自分の音楽を求めてもう一つの電気トラッドの雄スティーライ・スパンを結成、うーん何かちょっと違うとまた脱退、そして今度こそはと今までの経験を集約して決定版を作っちゃるとベース担当アシュレイ・ハッチングス氏が音頭を取って作ったアルバムです。究極盤を作るにはそれなりのメンツを集めねばとまず迎えたのがシャーリー・コリンズとゆう女性歌手。この方50年代からこの分野で活躍している重鎮中の重鎮。そしてフェアポート時代の僚友ぐわしゃんギターのリチャード・トンプソン、サイモン・ニコル、デイブ・マッタクスさらにはスティーライからマディ・プライア、そしてあのロルコクスヒルまで呼んでの怪獣総進撃ぶりで。その結果、古今東西その筋での雑誌の特集でも押しなべて絶賛の嵐となりました、うーんこれは一回聴かねばならぬなあと気にして気にして幾年月か、やっと重い腰を上げて挑戦してみたら・・・。だいたいあんまり名盤名盤言われるとほんとかようてちゃっちゃ入れたくなる性分(どなたもそうだと思いますが)思いっきりマイナス方向へ向いたけしからん態度で聴き始めて・・・そしたらあらまあ何だこりゃほけほけした声ですっとんすっとん何とも呑気な音楽が。スティーライでの厳寒の音からしてもう氷みたいの覚悟してたんだけどなあ、何とも暖かくてこの時点で腰砕け、もう世評などどうでもよくなっちゃった。な訳で最初の1,2回はすーっと行っちゃう感じで通り過ぎたものの、来ました来ました3回目くらいから。これはたまらん。ちゃんとドラムも電気ギターも入ってます。歌事態は全て古い伝承歌だそうで多分ワイドショーも真っ青な凶悪事件の数々を歌唱。最後のやつのタイトルなんか「貧乏殺人夫人」だもんなあ。それを前述のようにほわほわした歌声でロンパールームみたいな調子で演奏で。のーんびりこちらも聴いてますがとりつかれると下から覗いてる氷の部分に気が付いて次第に戦慄が走ってきたりして。これがほんとの太陽と戦慄。ぱしぱしっと変拍子も襲って来るし。うーんやっぱり私にとっても名盤でした。あくまでも妥協しなかった男に猛者どもがこれまた妥協しない演奏で答えた男気女気音楽屋気。小さいことでちゃちゃいれるほどケツの穴が小さいものでは無かりきに。反省して今後の半生聴き倒してしまいます。どうかご容赦を。トラッドで何か一枚をと思われましたらこれいかがでしょうか。ジャンルを超えた力を持つ盤だと確信いたしました。

(マスター)2003.10.19






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