*「越後屋、お前まさか誰かに漏らしてはいないだろうな?」
「もちろんですお代官様。我々が今メリケンで一番ブレーク、飛ぶ鳥を落とす勢いのキッスのライブ盤を非常に安値でロックファンの喜ぶ顔が見えますような値段で売ろうとしてることなどもし漏らしたらわたくしもあなたも首が胴から離れて散歩してしまいますでございますよ。」
「はっはっは。それなら安心。越後屋お前もワルよのう。」
その時当然風車の弥七、天井裏でこっそりと。
「こりゃ、いけねえ。ご隠居に早く知らせなくっちゃ。」
「何やつ!!」
ブスっ。
場面変わって水戸黄門ご一行はようやく出戸六井戸の宿に到着、旅籠にてお女中の話を聞いております。
「いえねえあたいクチは固いんだけどさあ。ここのお代官、女をさらって高給で秘書にするわ、有給休暇は2倍にするわ、そりゃ悪いやつなんですよう。クチは軽いんだけどさあ。」
「ほほお、よくぞ話してくだすった。お話はようくわかりました。助さん、はやくこの女叩き出しなさい。」
「は」「だからさあわたしキャピキャピキャピキャピ」。お女中退場。
パッ、ブス。赤い風車が八兵衛の眉間に刺さった。バサっ。何かが天井裏から落とされた。
「いてえなあ。親分ちゃんと狙ってくださいよ。」
「ふむ、ほう、なになに。よしわかった。」
「弥七ですか。何を知らせてまいりました?」と格。
「いや何。ここの代官、鬼瓦激と輸入雑貨商いの越後屋が結託してこのキッスのCDをうんぬんかんぬん。」
「なるほど悪い奴ですなあその激ってのは。してそのキッスってのはいったいいかなるモノどもで。」と助。
「それはじゃな。今この地で一番ブレークしておる扮装化粧ロックバンドなのじゃ。カマン・ラブ・ミーのローカルヒットに乗じて東海岸のツアーから急遽帰郷、当地コーボ・ホールでライブを敢行、その熱狂の模様を実況録音盤にして出したらメリケンヒットで大ヒット、それをこやつらが安値で日本に輸出しようとしておる訳じゃ。」
「いやご隠居さすが横文字をよくご存知で」格。
「うーんいかなる時もパッと終わってしまうロケンロール・オールナイト、美味よのう。」ご隠居さん、CDを聴きながらうなる。
「で、ご隠居どうするおつもりで?」助。
「どうじゃな皆の衆、今晩あたりキッスの扮装で代官所に訪ねるってのは。」
「またご隠居さん、そのようなおたわむれを。」とお新。
「ははは、それはおもしろございますなあ。でご隠居はどの扮装をなさるおつもりで?」助。
「もちろんこの寺院の格好じゃ。色々と楽しめるでなあ」
八べえ「それはいいですから何か食べましょうよう。おいら腹の中がぺっこぺこで何か入れないとシンじゃいますよう。」
「ははは。八べえ。それもそうじゃ。とにかく腹ごしらえして夜に備えようか。」
「しめたっ。おーい、めしめしー。魚でもビフテキでもウナギでもラーメンでもいいからじゃんじゃん持ってきなー。」
夜になりました。キッスの扮装をした水戸黄門ご一向、代官所にロケンロール・夜中を演奏しながら突入いたします。
「何やつ。」
「まあ、よいよい。踊りなさい。ほれほれー。」
門番は思わず踊って通してしまいます。
「代官はおらぬか。キッス様のご入来だぞ。」
どだだだだ。代官登場。
「これは何やつ。であえであえー。不埒モノじゃ。であえー。」
「ちょっと待ちなさい。今これやるから。」
ファイアハウス演奏。ご隠居が火を吹く。ぼあ。
「あっちっち。あついではないか。であえであえー。構わぬ。斬っておしまい。」
「ちょっと待て。これやるから」
10万光年のかなた演奏。助、40分間ドラムソロする。
「どかどかどかどかって。何だ。やれやれー何をしておる。斬ってしまええ。」
「うぬ、これも効かぬか。ではこれではどうじゃ。」
ブラックダイアモンド演奏。最後にギターをステージに残す格。どわーん、どわーん。ギターから煙噴出す。
「ごほっごほっ。むせるではないか。こやつめ憎いやつ。今度こそかかれー。」
「うーむ、駄目か。しかたがない。助さん格さん、こらしめてやりなさい。」
「は」
どす、ばさ、ぎゃああああ、うげ、ごす、もっこ、ベス
2時間30分経過250人殺戮いたしました。
「もういいでしょう。」
「えええーーーーいみなのもの静まれ静まれーーーーーーーー。この紋」
以下省略。
(マスター)04.9.5
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