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ろっくす特選盤



日本盤

*80年のヘソの時期に登場したジョイ・ディビジョンのクローザー。どこでどう聴いたのか思い出せないのですがシーズ・ロスト・コントロール、ラブ・ウイル・ティア・アス・アパート、トラスミッションというシングル3部作を聴いてKOされていた私が最初に入手したアルバムがこれ。青山のパイド・パイパー・ハウスで。英国盤で息を呑むほど高かったけどどうしても欲しかった。盤面にはA面B面の区別が無くてしばし悩み溝の数で曲名数えてさらに「stone blue?A1」って内側の溝に彫ってある方がA面だと見当付けて聴きました。強烈でした。やっぱ。暗い。暗いぞ。前年にバンドやりたいが為だけに(^0^)必死に勉強して渋谷の大学に入ったものの期待とは違う情けなさで気が抜けておまけにリー・ペリーに出会ってぐーんと見事に5月病になっちまったんですが今年もこんな暗黒音楽に出会ってしまったよ。でも今回は違いました。暗いは暗いけど鮮烈、そして正体不明のエネルギー。同時にやっと本物を買えたトランスミッションの12インチと一緒に聴きまくっておまけに自分で曲を書くようになった。これなら出来るんじゃないかと。奇妙な型があるんです、この人たち。もちろん情けないもので自分で聴いて落ち込んじゃう類だったけど。やらざるを得なかったなあ。突き動かされました。10代の頃はもちろん音楽に夢中だったけどここまで何か作りたいと思ったことは無かったす。まあ自分のことはともかく。印象はああ、これは同世代のドアーズだと。ジ・エンドの末裔が一世代経過して登場したんだなあと感慨。シングルとはまったく違う印象でした。あっちの音の悪さ効果もある過激さとはうって変わって静寂の中でめらめら青白い炎が立ち上っていく感じ。ギターにしろベースにしろドラムにしろ音の存在感が半端で無し。必要な所、必要な時に湧き上がるハネット氏のシンセの音がこれまた鮮烈で。音に付いてくる楚々としたリバーブまで突き刺さって。もちろん歌の強烈さは言うまでも無し。こんな地獄のような声は聴いたことなし。特にアイソレーションにはびっくり。これは尋常な心の持ち主じゃ無いなと思わざるを得なかったら自殺をしてしまったとゆうニュースが。極限の疲労が原因だったとのことだったけど、うーん色んな意味で追い詰めなければこんな声は出せないのか。ニュースはショックだったけどやっぱりと思ったことは事実でした。この盤はここまで突出した、しかも愛想の無い音楽ですから何だこれはと拒絶する人が多いのは想像できます。でもあれだ、ちゃんと聴いてくれる人には絶対裏切らないでいてくれる確信有り。義理より人情音楽。音楽には世界を変えるなどという力は持ちようが無いけど聴く人の気持ち心持ちを変えるってもの凄い事が出来るのだなあと思い知ったアルバムであります。ここまでこんな強烈な目に会わされちゃったんでこの後のニューオーダーにはずーっと馴染めずじまいでして最近まあ聴けるようになったけどまたこれ聴いちゃったんで振り出しにもどったか。比べるなって言われてもこれは辛い。小さなこと一つ欠けても跡形も無く壊れてしまうような音楽だったから。

(ヤマ)2004.2.20