*ジャズ発祥の地ニュー・オリンズ、アメリカン・ブラックの上陸地点、えーとルイ・アームストロングおいちゃんのほっぺでしょ、ちゃかちゃかディキシーランドでしょなんてイメージしか持ってなかったおいらたちにとんでもごじゃあません、こんな音楽が沢山なんだよと教えてくれたジョン先生の楽しい名盤です。ドクターにとってもデビュー以来グリグリしてたとこだから自分のいる場所の音楽を再発見した試みではなかったかと。アメリカにとってもちょうど自分の足元を見つめ直している時期ではまって一挙にブレーックだ。しかし不思議な土地、ニューオリンズ。南部突端にあって元フランス領、もっともアメリカンでもありながらまったく独自の音楽地図持ってて世間のソウル発展とはまったく別に自分たちのR&Bを皆で聴いていたのねー。何中華本中華それは麻薬的な音楽です。これ聴いちゃってそれに捕まったらもー大変、にょおりんずの虜よ。捕まったのはわしらだけでなく全世界のミュージシャンもご同様で、音楽性まですっかり変えちゃったリトルフィートしかり、そのフィート・ファンのロリー・ギャラガー、レッド・ツェッペリンしかり名前までそうなオーリアンズしかりロバート・パーマー、フランキー・ミラーと英国歌手はみなここで録音したがりポール・マッカートニーまでおいでくださり街はもー大賑わいだ。日本でも細野さんとか久保田さんとか、ラバーズホリデイさんとか。ははは。そんな大影響盤、ジョン先生のガンボは文字通りかの地の名曲を一同に大鍋に入れてグツグツしちゃったようなアルバムです。ガンボってやつはオクラ入れて山海の珍味入れてひたすら煮込むご当地料理で、わしも作ったことあるんすが、とんでもない味になっちゃって(^0^)、本物はとてもおいしかろうかと。
さてこの際だからうちにある分だけでもオリジナルと聴き比べてみようっと。
1.アイコ・アイコ
・・・山野あいこ美容室ではなし。オリジナルはジェイムズ・シュガーボーイ・クロフォードちゅう人の「ジャコモ」って曲。それはスマイリー小原さん登場しそうなお祭りソングだ。ジョン先生はボ・ディドリー・ビートでピアノをコロコロ転がしました。何とも愛嬌のある曲でこれでもう掴みはOK。カーっちゅうヤギの頭が良いぞ。演歌だけのものじゃありません。
2.ブロウ・ウインド・ブロウ
・・・オリジナルはニュオリンズ屈指のピアニスト、ヒューイ・スミスさん。これは聴いたことないす。ききてええ。ジョンさんはドラムのこの細かい刻み、これがセカンドライン・ビートちゅうて彼の地のドラム必殺技。これとロールピアノでえも言われぬ至福天国にレッツラゴー。
3.ビッグ・チーフ
・・・ニューオリンズを代表するピアニスト、プロフェッサー・ロングヘアさん(愛称フェス)のオハコ曲。フェスさんについてはまたWANTEDしようっと。ジョンさんは原曲のピアノ部分をオルガン名人ロニー・バロンさんにやってもらいました。ロニーさんはポール・バターフィールド・ベターデイズでの悶絶オルガンでロック・ファンにもお馴染みかと。ここでもやっぱ悶絶。この音質がー。
4.Somebody Changed the Lock
・・・マック・レベナックさんのがオリジナル。ってジョン先生の本名ですが。ああニュウオリンズだあとイメージ通りのラッパが楽しいす。こうやってディキシーとつながってからまってこうなったのかーと錯覚かもしれんけど納得。
5.メス・アラウンド
・・・レイ・チャールズさんのがオリジナル。微妙にイントロが違うのがミソでござい。始まるとほぼ同じノリ。あのチャールズさんのあのビートもここにおったのね。
6.Let the Good Times Roll
・・・彼の地のギタリスト、アール・キング大王がオリジナル。日本盤の解説にはシャーリー&リーのヒットと書いてあったような気がしますが、昔聴き比べて全然違うやんと思ってましたがやっぱ違うそうです。って言ってもアールさんのはまだ聴いたことないの。ききてええ。キングさんの曲のタイトルはカモンって言うそうです。
7.Junko Partner
・・・ニューオリンズのスタンダード曲だそうです。これがセカンドラインだぜちゅうドラムここで炸裂。2.よりこっちの方が正調かも。わしもちと出来るかなとやってみましたが難しー。養成ギブスつけなきゃ叩けませんきっと。ダーティ・ダズン・ブラス・バンドもほとんど同じアレンジでやっておる。
8.Stackalee
・・・これもトラディショナル・ソング。ジョン先生のコロコロ・ピアノ大爆発。もう大好きな曲です。ビッグ・ビル・ブルーンジイも同名の曲あるんすが同じ曲かな。きいてみてえ。
9.ティピティーナ
・・・フェスの代表曲でござい。教授のやつはどれ聴いてもアップビートなんすがこれはどうやら身内にだけ聴かせる特別ヴァージョンをほぼ再現したらしい。「もしもピアノが弾けたなら」って歌ありましたが、いや弾きたいすこれ。神様が世界一のモツアルトみたいなピアニストかとりあえず一通りこの曲が弾けるピアニストがどっちかにしてあげるって言ってくれたら迷わずわたしはこの曲を弾けるようになりたいよう。フェスさん、噂によると3コードしか絶対に弾かなかったそうで弾けなかったかもしれんのですが、だとしたら音階さぐっていけば弾けるかな。一生のうちに絶対何とかしてやる。楽しいよなあ弾けたら。
10.ゾーズ・ロンリー・ロンリー・ナイツ
・・・先ほどのアール・キングさんの曲。ほぼオリジナル通り再現。でもオリジナルはぶっとびギターソロだけど。なんか妙な音が入ってるし。スイートなスイートな夜でちいとも寂しそうじゃありません。
11.Huey Smith Medley: High Blood Pressure/Don't You Just Know It/Well
I'
・・・タイトル通りヒューイ・スミスさんの曲を3曲続けて。最初の2曲は持っております。しかし古い曲なのに全然古く感じないちゅうのは。モダンってのははまるとこにピシっと音がはまってることだと思うのですがこれは既に完全にはまってるからだな、きっと。
12.Li'l Liza Jane
・・・これもヒューイさんの曲。これも聴いたことないす。ききてええ。最後を締め括るにふさわしきハッピイハッピイ。
とまあ知ってる範囲だとこんな感じだと思うのですけど、これを只のカバー集に終わらせていないのはやっぱジョンさんのこのダミ声。不良な親戚のおいちゃんみたいでお世話になりたい気持ちで一杯になっちゃうす。ちゃんと自分の目を通したヴァージョンにみんななってると思うし、まあクリソツであっても好きは変わらんのでどっちでもそれは良いのですが。ははは。で、問題はやっぱこれ聴いちゃうと後に控えるのが大群だってことだな。下手すりゃ人生狂わしかねない音楽の入り口です。これだけ持ってりゃいいじゃんて?あーたそれはあまりにも勿体無い話っすよー。
(マスター)2004.3.31
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