前日のThank You rocks   top   back


ROCKS超大特選盤

笑顔の浮浪者
スティーヴ・ハーリー
1978


先日収録参加させていただいたNHKのBS熱中夜話〜ロック黄金時代にて、われら夫婦が発言して放送された場面は一箇所、
よりによってあら恥ずかしい、結婚にいたったなれそめを話したとこでした。

 あの時、メンバー募集で知り合ったんです、って言いましたけど、
そのメンバー募集と言うのは今はDOLLって名前になってるのかな、ZOOと言う名前だった雑誌でのことでして。
それはまほさんじゃ無く友達のTさんが出したもので、「ロキシー・ミュージック等々好きなギター、ヴォーカル募集」との文面に、
あら珍しやそんなメン募見たこと無いよと即連絡、渋谷でメンバーお見合いをすることに。
場所は今は無きNWの殿堂、ナイロン100%。最初にTさんと駅前で待ち合わせ、お店に行きました。
そこで待ってたのが、まほさん。色々話してじゃあバンドやりましょうとなり、お店を出てすぐ話したのが、コックニー・レベルのこと。
それまでの生涯で、(て言ってもたかだが19年ですけどあはは、)
コックニーを好きな人に会ったことなんか無かったのでマジでびっくり。で、さらに駄目押しはこのアルバムでした。

笑顔の放浪者
〜Hobo with a Grin


1978年、人知れずバンドを解散したあと、ソロになって始めて出したアルバムです。
私はまだこの存在を知らず、テープに録音して貰ったものを借りて聴いた。
何とユー・チューブにその中の曲が1曲だけ音源が存在してます。
まずはどーか聴いて下さい。

Steve Harley - Living In A Rhapsody
http://www.youtube.com/watch?v=9VPpYGnYW84



参りました。
この唄を好きな人に悪い人はいない。
なんてね。恥ずかしい。決定打です。それでお付き合いし出しまして、
スイカが嫌い、生トマトが嫌い、泳げない、競馬が好き(それは今の話だよ)などの稀に見る諸条件の一致を見、
かれこれ28年、二人で生き抜いてます。
現在、間違いなく生涯2度目の金銭的ピーンチ。来る仕事は最悪内容で儲からないものばかり。
みるみる減っていく貯金。
その中でまたこれ聴いてます。ハーリー兄さんの、おそらく最もピーンチだった頃のこの盤を。


 コックニー・レベルの解散は、遅れて来たグラムとして扱われてましたもんで、その肝心のグラムが終わってしまった以上、仕方が無いことだったのかもしれません。
どんなにまだ活き活きとしててまだまだやれてたとしても。熱狂的なファンはともかく世間が終わったもんだと思ってた。
ソロに転身するのは必然です。
そして笑顔の放浪者となり、ほらジャケでももうロンドン・ブーツは履いて無くてぺっタンコの靴でしょ。
ああ、脚が短い。頭も既にちょっとヤバめ。なんつうシャツ着てるのかいな。
まっ裸の一人。
かねてからコックニー・レベルに感じてたことは、ロキシー同様に退廃の貴公子、デカダンスざんすとしてそれが前提で色んな雑誌のレビューでも書かれてたけど、
メイク・ミー・スマイルがあるじゃん。


http://www.youtube.com/watch?v=I5Vl6n1ojqw


どっかおっちょこちょいで、のほほーんとしてて、優しくて、とにかくいい人。
そう思ってたよ。デカダンスざんすとは対極の。
そしたらこのソロ・アルバムでその彼のど真ん中に会えました。
普通ねえ、ソロでデビューとなれば、名前は有名ですから、ここはいっちょアメリカで成功して一挙大逆転してさらなる大スタアにっ!
ってキバるのがミュージシャンの性(さが)だよ。
ところがこの方、そうですアメリカ録音もしました。半分はハリウッドのブールバードで録ってます。
にも関わらず、まるで呑気。地味。のほほーんを絵に描いたような唄ばっか作って収録しちゃったさ。
当然、ヒットはしません。アメリカ人が嫌うロンドン訛りもまるで直す気も無いし。
シングル・カットも無かったんじゃないかなー。
かなり状況は最悪だったのにも関わらず。

人は最悪の状況の時、その本性、生き方が出ると思ってます。

ハーリー兄貴は、やっぱり素晴らしい方でした。

参加メンバーに泣きます。
アメリカでもロンドンでもどこへでもついて行くわいのシンセ鍵盤担当の朋友、ダンカン・マッケイ氏は全部に登場。
ロンドンはアビーロードでの録音には、
ドラムスにリッキー・ファター氏。そうです、あのラットルズの一員の。ビーチ・ボーイズの。
2曲目には、ギターでマーク・ボラン兄貴が弾いてるよ。言われなくちゃわからないし、言われてもわからない、地味ーに。
アメリカ・ザ・ブレーブとゆう唄。
イントロで勇壮に、太陽にほえろのあの、ってってってってってって、フレーズが流れる。
その後は、のほほーん。
返す刀でB面1曲目、サムワンズ・カミングには、グロリア・ジョーンズさんもコーラスで参加。
A面4曲目、アイ・ウィッシュ・イット・ウッド・レイン、にはギターで、イアン・バイアンソン氏参加です。
パイロットの。あの音色が聴けます。むせび泣きます。こっちが。
縁はアラン・パーソンズ博士つながり。
しかしてここにパーソンズ博士の姿はいささかも無く製作はハーリー兄貴自身で。
ベースで英国の至宝、ハービー・フラワーズさんの参加曲も。

そして何故か、イギリスでもアメリカでもリトル・フィートのビル・ペインおっちゃんが全面参加。
あの臭ーいプレイは封印して、その唄にすべてを捧げて弾く。

アメリカ側録音では、同じくリトル・フィートで御馴染みフレッド・タケット氏がギターで。
コーラスには、マイケル・マクドナルド髭さん。あの目立つ人がまるで目立って無いとゆう。よくこのミックスで承知したもんです。
ビル・チャップリン氏、そしてジャクソン・ブラウン兄さんのランニン・オン・エンプティで大活躍なさってたローズマリー・バトラー嬢。
あのボビー・キンボールさんまで。トトの。
彼がコーラスで参加のA面ラスト曲、ライディング・ザ・ウエイヴス。これがまたもうたまらん染みる唄で。
タイトルに(フォー・ヴァージニア・ウルフ)との副題有り。
どんな内容なんだろう。これだけは哀しき日本人、わからないのが切ないよう。
B面の、せっかく米国に来たんだからファンキーやったおうかなーの、

「(わたしゃ信じない)神はアナキストだなんて」

ぎゃははのタイトルの曲ではLAのこの人有りの鮮烈ドラマー、ポール・ハンフリー氏参加。
そして歌としては、見事にズッコケてるのがまたかわゆい。

CD化もされました。ボートラ付。
しかし廃盤で、びっくりしたよ、アマゾンでとんでもない値段で売ってる。1万5千円ってあーた。
アナログの中古では、最近では一回だけ発見したしたことあり。
300円クラスで。
くっきりはっきりの音のCDも嬉しいです。
でもなあ、そんな状況じゃあ、もし出会ったらLPで聴いてみて下さい。
こののほほーんにはやっぱアナログの暖かい音が似合うと思います。

セバスチャンのハーリー兄貴こそが兄貴だと固く信じてる方にはおそらく相当つまらんでしょうが、
やさしくスマイルされるのが幸せでたまらん方には、これ以上無い笑顔です。

その笑顔で・・・わたしゃ、今日のまた難儀な仕事も乗り切るだに。


(山)2009.2.18

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
00000-1.jpg

Hobo with a Grin

00000-2.jpg

ろっくす特製でかい画像ページ也。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ろっくすスティーヴ・ハーリーのページ

資料

英語資料


English Version