*世界にそそり立つ巨大一物、馬鹿ロック界希望の星、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの91年5作目にして最高傑作がブラッド・シュガー・セックス・マジックであります。元はと言えばベースのフリー君と音楽好きのアンソニー君がライブで余興でやった冗談ユニット。それがウケにウケて本気でやり出しメンバー交代また交代の艱難辛苦の道を経てやっと完全爆発が前作の「母乳」、それを受けてさらにの超爆発を目指したのがこの盤なのだー。だー。プロデュースはリック・ルービン、あのカルトのエレクトリック、ビースティー・ボーイズのライセンス・トゥ・イルの現代に生きるハードロック野郎。かねてからレッチリ側でラブコールを送り続けたものの諸事情かみ合わずようやくこの盤で相思相愛、合体いたしました。そしたらまーどうでしょう、この音。ノリにノっての74分、もうCDに入らないようってくらい音楽が湧き出てしまったわい。しかも出て来るのは殆ど4人の音だけ混ざり物無し、4ピースだけでこれだけテンション維持出来るなんてもう感嘆の一語であります。
あっちからレッド・ツェッペリン「フィジカル・グラフィティ」がやって来てこっちからファンカデリック「スタンディング・オン・ザ・バージ」がやって来て手前からオハイオ・プレーヤーズのラブ・ローラーコースターに乗ってJB親分がやってきて交差点の真ん中に立ってた裸にちんX靴下の若者にぶち当たってしまいました。爆発どかーん、閃光と煙が落ち着いた時、4人はむっくり起き上がり踊り出したかと思うと背後霊に連中背負って煽られながらの轟音発進、頭なでながら舌出して。
音を聴いて下さい。ドラムの切れ、ベースのうねり、ギターのざっくり、しかもその全てにコシと奥行き有り。こればっかはオールドなロックには到底出せぬ現在の音であります。何も可能だからって言ってべこべこ音を詰め込む必要など無し、やりたいことがしっかり見えてればこれで充分、それを最大限引き出す技術と魂を持った男リック氏とレッチリに乾杯。
ここまで来ちゃうとラップとか辛気臭いなーとか言ってる段階ではありません。レベルを超えた音楽にはただただ降参、諦めて聴いて下さい。私なんかで良ければ完全保証いたしますわ。これは掛け値なしのロックです。
その奇行ぶり、楽屋にやって来た女性ファンにご自分の自慢の物を開陳、ホッペをぴたんぴたんして訴えられたり一方で子供達のためのボランティアに金出したりその訳わからん精神構造、これやらなきゃ世間に居場所無しの河原乞食ぶりを聞くに付けやっぱりそこまでポテチンな人間じゃなきゃここまでのエネルギーは出せないのかなんて思ってしもうた。やっぱりわいには無理だったかなあときっぱり引導を渡された気分も。気持いいくらいですけど。
唯一の弱点、それはうま過ぎることです。完全にそれまでのロック、ファンクの美味しい所、それだけをすくってる。それをとてつもない意欲でここまでKOされるものにしてるんだけど、各プレーヤーの演奏、フレーズにそれまで無かった一人一ジャンルのものがあるかってゆうと見つけられなかった。これは何もレッチリだけのことでは無いんですが。しいて言うならそれだけが不満。出来過ぎ君に対する聴く側のジェラシーって言えばそうなんだけどそれも聴く時に引っ張られる大事な要素かと思います。
とか言ってもアルバムが最高位3位、4曲のシングルヒットが出たのはもう納得しすぎるくらい納得。言われなくたって時々引っ張り出しては聴いちゃうぞ。童謡みたいなえっちらほっちら、ちょっとオマヌケな和田ベン、白ベン、黒ベン注入するために。はい。
(マスター)2004.10.20
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