2005-2006 |
2008.01.14
なぜ爺さんは蟹を捕る? 最近、蟹獲りに凝っている。 カニアミと称する道具を使って蟹を捕ることに夢中なのである。 去年(2005)の半ばごろから始めたばかりだからまだ経験は浅い。 蟹捕りは、バードウォッチングやホエールウォッチングと根本的にそのフィロソフィが異なっていて目的は食うことにある。 片や絶滅が危惧される種を守ることを大前提とする行動であり、片や獲ったのを食ちゃおうてんだから、月とすっぽん。 このスッポン、禁欲的でないのがいい。 「とっていいのは写真だけ、残していいのは足跡だけ」なんてぇ小学校の教科書みたいな戯言を言うのが月とすっぽんの月であり、スッポンにはそんな戯言を言う者が居ない。「カニ?いいねえ、旨いだろ?」とくるのがすこぶるいいのである。 もっとも、若い頃は、この戯言を上手いこと言うもんだなぁと、関心などしていたもんだけど、歳とって擦れ枯らしちゃっちゃあ、ちゃんちゃらおかしいや、てなもんである。 「獲って殺して食う」、この基本的で単純な行動が、ストレス無くていいのだよ、おたちあい。ときたもんだ。 さらに蟹捕りを後押しさせた理由が、蟹捕りなんてことをやっている人があまりいないことでもあった。 釣りは、多くの先人、上手がいるから入る隙間がない。それに釣り文学というべきものまであるので、もう食い尽くされ、シャブリ尽くされた感があって、どうもいただけない。それに比べて蟹捕りは、単純で食ったら大概旨い。筈である。そう思ったのが蟹捕りの動機かも知れない。 実際の蟹捕りは、どのようにするかというと、網の中に魚のアラなどを仕掛けておき、それを食おうと網に入ったら最後もう出られなくなるという、トラップである。 網の種類は、沢山あって、地方によっても形が異なり、メーカーによっても異なる。 まず最初にしたのが、これら手に入るカニ獲り道具を、すべて取り寄せた。どれが一番いいのかテストしてみようというわけである。 罠とか、トラップなんていう欺瞞に充ちた「引っかけ」は、漫画と共通点があって私は好きなのだ。 つまり、私は、人をだますのが好きな質なんだと思う。引っかけるのが好きなのである。出来れば詐欺師になりたいほどである。詐欺師になりたいけれど、なっちゃうと手が後ろに回るから、回らないカニを対象に引っかけることにしちゃったというわけである。 蟹がカゴに仕掛けた餌に釣られて網に入ってくれるには少々時間がかかる、早くて10分、時には一晩なんてこともある。だからその間はやることが無くて暇だから近くで釣りをしている人を見ていたけれど、どうせなら自分もやっちゃえ、と見よう見まねで始めてみた。 元々釣りは好きではなかったけれど、やってみれば、これもまた面白い。 そして釣った獲物は、これも食っちゃうのだ。 いいねぇこの食い気。 冷蔵庫に魚が無くなったら、魚屋に行くつもりでちょいと足を伸ばして海まで、これがコンセプトなのだから獲れたものは何でもいい、何でも食っちゃうのである。 |
さて、というわけで、去年(2005)のお盆の夜、止しゃーよかったのに城ケ島に蟹カゴを浸けに行った。 深夜二時頃、一つのカゴを上げると、蟹では出ることのないバシャバシャという大きな水音。な、な、なんだこれは!と躍る胸を抑えながらなおも綱をたぐっていくと、黒い網の隙間から巨大で黒くて長い魚が見えた。 「クロアナゴ」 他にゴンズイが五、六匹。 一握りに余るほどの太さのクロアナゴをバケツに入れ、カゴから岸壁にぶちまけてあるゴンズイを「今日はお盆の入りだから殺生することも・・」と、手でパッと岸壁から払い落とした。 とたん! 親指の第一関節に激痛。 噛まれたと思った。 それでも初獲物のクロアナゴに興奮していたので、ゴンズイが毒を持っていることは知っていたが、それほど気にはしない。 再びカゴを同じ場所に入れて、次の獲物を待つため、今まで通り釣り糸をたれていたが、「噛まれた」指(後で調べたら、噛むんでなくて鰭(ひれ)に毒があって刺すらしい)がだんだん痛くなってくる。ついに我慢できなくなり、どこかコンビニに行けばバファリンでもあるだろうと車に乗った。 もうその頃には、「痛えなあー、あのゴンズイ奴」と大声で毒づかなくては我慢できないほどの痛さになっていた。 痛いよ。ほんと。あれは。 ところがコンピに二は、痛み止めがないときたもんだ。 厚労省のバカ。 ドンキホーテ万歳、慎太郎万歳! ゴンズイ まてよ今確か、コンビニまでの途中に消防署があった、と引き返す。 「ご免くださーい」 誰も出てこない。 ややあって怪しい男(僕のこと)が防犯カメラに写ったのか、男が一人現われた。 「ゴンズイに噛まれたのですが・・・・」 「斜め向かいに城ケ島市民病院があるので、電話しておくから行ってください」 と、丸投げしてくれた。 仮眠していた看護婦さんが「摂氏50度のお湯です」と洗面器にお湯を入れて持ってきてくれた。 手を浸けたとたん、あーら不思議、刺された指の痛みは、嘘のように消えたのだった。 蛋白毒は熱で消えるのだそうで、翌日城ケ島の釣具屋さんのご主人に聞いたところ、そう言うときは、タバコの火を刺されたところにしばらく押しつけておくといいそうな。 しかし、熱湯のおかげで刺された痛さは消えたものの、今度は湯が熱すぎてゴンズイより痛い。 で、手を抜くとまたゴンズイが痛い。入れると火傷しそう・・・・どちらにしても痛いのだから、どちらかを選択しなくてはならない。 そうこうしているうちに、「こんな時に起こしやがって」と言う風に、やや不機嫌な宿直の若い医師が現われて、噛まれた所に絆創膏を貼ってくれて「強い痛み止めだから、一錠以上は飲まないように」と薬を二錠くれた。 勿論私は、即座に二錠飲んだ。 やがて30分ほどしたら痛さが薄らいできた。 話は、まだ続く。 そうこうしているうちに夜が白みかかってきたので、カニカゴを仕舞い、場所を変え、違う岸壁から残りのイソメで投げ釣りをすることにした。 すると釣れる魚はハオコゼばかり。この魚も名うての毒魚だから、決して魚体を持ってはならない。糸の上を持って鉤はずしでこちょこちょ鉤を外さなくてはならないのである。 ハオコゼ とはいうものの、何せなれない初心者マークの釣り人だから、なかなか上手くいかない。そのうち嫌がって跳ねていたハオコゼの背びれが瞬間、中指を刺した。 再び激痛。 と、思って指を引いたが、なにせ先ほど「強い痛み止め」を二錠も飲んでいるのだから、流石のハオコゼの毒も、コーヒーの香り程度のものになっていたのだった。 こういう時って、なぜか、ハオコゼに「勝った」ような気分になるのだから、変なものである。「ざまぁみやがれ」てなもんである。 ま、たしかに刺した方のハオコゼは、相手が痛がらないのだからつまらないに違いない。 描いた漫画で読者が笑わないときの哀しさに似ているかも知れないし、似ていないかも知れないが、まあいっか。 |
2006.11.21 この頃のメバルは、卵を持っています。 聞くところによると、メバルやカサゴは、 卵胎生だそうです。しかし、稚魚になっ ているのは見たことないですね。 もっとも小さすぎて見えないのかな? |
060914 メバルの外道で釣れた47センチのクロダイ メバル釣りのルアーでクロダイが釣れるときがあるとは 聞いていたけど、初体験。ウッシッシ |
イシガニの♂(上)と♀(下) 2005 このカニが関東近辺でカニアミを入れて獲れる最もポピュラーなカニで、どこにでもいる。 秋から冬のこのカニは美味いよー! 色彩の個体差は、相当大きく、甲に毛の生えているものといないものなど様々。 性格は、大変攻撃的で、はさみ脚を持ち上げて、威嚇してくるし、へたしたら挟まれてしまう。 写真の♀も♂の足を挟んで離さない。 |
ショウジンガニ 2005 このカニには、遊泳脚がなく礒の岩場に しがみついて生活している。 伊豆半島では、このカニは、伊勢エビより美味であると言う人が多く、そのため、特別な仕掛けを作って獲っている。 もーちろん、僕もその「伊豆式」を作ったですね。 まだ試運転はしていないので、楽しみ、たのしみ。 みそ汁にすると確かに美味ではありますね。 爪(はさみ足)の形が他のカニの形と違っていて大変個性的。 |
ベニツケガニ 2005 |
タイワンガザミ 200506 魚屋や、レストランで最もよく使われているカニ。実はこれ釣ったんだなぁ! まだこのカニがカニカゴに入ったことはないのです。それほど美味くはない。 |
イッカクガニ? 200512 一番小さい |
イソガニ 200512 小さくて食べられない |
ヒズメガニ 200601 これも小さい |
クロアナゴ いたるところで |
ゴンズイ いたるところで |
イイダコ 千葉県舘山で |
ドチザメ 千葉県金谷の河口で |
ウツボ 最もポピュラーな客で、これが入り始めたら場所を移動するしかないね。 冬場はウツボやゴンズイが入らなくなるので嬉しいけれど、カニも極端に少なくなる。 ウツボを食べる地方もあるけれど、一寸手が出ないなあ、やっぱ。 |
イシガニ |
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クロアナゴの蒲焼き |
クロアナゴの串焼き |
ショウジンガニのみそ汁 蒸したショウジンガニ |
手製のアナゴ籠「ウツボ不入(はいらず)」 カニアミを入れるとアナゴが捕れるのはいいが、ウツボが入るので難儀する。そこで、アナゴは入っていいけど、ウツボは駄目よっ、と言う籠、「ウツボ不入(はいらず)」 |
カニアミの暇に・・・
イシガニとメバル |
クロアナゴとショウジンガニ クロアナゴをさばくための長いまな板も作った。そのおかげでキレイに開けるようになった。 |
ウミタナゴとイシガニ |
ボラとショウジンガニ |