*欲求不満の流れギター師、ジェフ・ベック兄貴。祝紙ジャケ一挙発売。はいいけれど何故かこの初リーダー・アルバム「トゥルース」が漏れてます。なぜだ。うーん。考えてもわからんので買い直すべとお考えの方は輸入盤を。安いし。ヤードバーズ在籍中に既に豪腕ロック商売人ミッキー・モスト氏とソロ契約をしてしもうてたベックさん、66年12月にハリウッドで恋をしちゃって帰りたくないつう理由でバンドを脱退です。目指すはポップ・スター。まずはシングルを一発「ハイホー・シルバー・ラニング」。後にバリー・マニロウ氏が「マンデイ」でヒットさせた元曲の「ブランデイ」を作ったスコット・イングリッシュ氏の曲。びっくりのグラム・ポップでこれは6年早かった。実際ハローがカバーしてぴったしだったもんね。それでも67年5月に14位まで上がるヒットに。引き換えの代償は「何じゃこの男は?」つう正体不明のレッテルっす。この曲、ベックさんの歌が聴けます。うまいぞー。な訳ゃありません。わたしゃけっこう好き。ギターはすごい。正体は隠せん。そしてバンド結成。さすがにヴォーカルに本気だった訳では無くてロッド・スチュワート、そして2ndギターにロン・ウッド、ベースにキム・ガードナー、ドラムは転々としてエインズレイ・ダンバー氏。そのままやってれば良かったのにと思うも旧友レイ・クックに交代。&その後ベーシストも転々として結局はロンさんがやることに。それで67年の3月にスモール・フェイゼズの前座として初ライブ敢行です。さあこれで準備は整った。レッツ・ゴー。と思いきやシングル第2弾はまたもやベック氏ボーカルの「タリーマン」。作は後の10ccのグレアム・グールドマン。これまた良い曲なんです。ギターのリフもかっこいい。この路線で行っても良かったぞなんて言ったら関係各所から怒られそう。B面はロッド・フューチャーの「ロック・マイ・プリムソウル」。最高位30位。この2枚は「ベッコロジー」とかで聴けます。シングル第3弾は何とポール・モーリアの「恋は水色」だ。物凄いバックに乗せてはみ出しまくるギターが最高。最高位23位。この行き当たりばったりの売れりゃいいつうシングル・リリースについてモスト氏はバンドの給料を払うためと弁明しております。実はベックさんもスターになりたかったらしい。しかしまあ恥ずかしい思いをして小ヒットの男ではしょうがないといよいよ本腰を上げてロックな「トゥルース」製作にかかります。ドラムはミック・ウォーラー氏に。モスト氏がプロデュースもドノヴァンとの掛け持ち中、実際の取り仕切りはエンジニアのケン・スコット氏が。良かったねえ(^0^)。後にデビッド・ボウイ、スーパー・トランプで手腕を発揮したこの御仁の働きが無かったらどうなっていたことか。完成するも最初は発売を嫌がっていた米エピックさん、ライブの圧倒的評判を聞いて重い腰を上げて出すことに。そしたらまー大ヒット。全米15位まで上がるヒットになりました。とまあ経緯はこんな感じだと思いますけど、私自身が聴いたのは「ワイアード」にはまってから。こりゃ凄い人だと一挙にはまってさかのぼってLP買いまくった次第。初印象は、うーん正直に申そう。古いなあ。わ、すまぬ。あと曲がパッとせんなあ。わ、すまぬ。実はこの印象は今もさほど変わってません。しかし聴きまくった。何よりロッドのヴォーカルが半端でなく素晴らしい。ケツから声が出とるぞ。そしてゼップのコンセプトの元になったつうそのヴォーカルに挑みかかるベック氏のギター。いくらなりたいと思ってもメロディ部分以外はどうやって弾いてるのかわからん。いきなりグリーン・スリーブスやハマースタインが出てくる選曲の分裂ぶりも魅力。もろブルースはメンバー全員どれくらい好きだったかは不明だけどその時の旬のサウンドに挑戦する姿勢はこの頃から変わらず、それをリングにして戦っております。ぼこぼこです。問題はリズム・セクション。手数の多いロン兄貴のベースはいかにもギタリストが弾いたもので適所に音を絞ることが洗練エバーグリーンだとするとこれはちと辛い。ドラムスもそう。だけど今はけっこうそれ楽しんでます。そんな訳でいささか非洗練モードの二人はコンビンーションばっちり。逆に言えばこの時期にしか聴けない音をやってくれてる訳ですから。そりゃゼップみたいな掴みバッチリのシングルがあったらとかここでダンバー氏、ベックス・ボレロで出会ってるジョン・ポール・ジョーンズ氏がベースだったらとか(いいじゃんすぐバンドはやめちゃうから(^0^))夢想したりしちゃうけどそこは欲求不満のギタリスト、ベックさん。このややこしさがあってこその魅力だぜ。 (マスター)2005.1.9 |
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