万葉集 日本書紀、万葉集のころにはクジラをいさな=i鯨魚、伊佐奈、異舎○)と言っていました。

天智天皇

鯨魚取、淡海乃海乎、奥放而榜来船・・・・
イサナトリ、アフミノウミヲ、オキサケテ、コギクルフネ・・・・

柿本人麻呂

鯨魚取、海辺乎指而、和多豆乃、荒磯乃上爾、香青生、玉藻息津藻・・・・・
イサナトリ、ウミベヲサシテ、ニギタヅノ、アリソノウエニ、カアヲナル、タマモオキツモ、・・・・

大伴大納言

昨日許曽、敷奈底波之可、伊佐魚取、比治奇乃奈太乎、今日見都流香母、
キノフコソ、フナデハセシカ、イサナトリ、ヒヂキノナダヲ、ケフミツルカモ、

古歌

詠み人知らず

うしほ吹鯨の息と見ゆる哉沖に一村夕立の雲

詠み人知らず

わきてこむこの浦の名にたつ鯨波曇るうしほを風も吹なり


月人   暮れんとす 沖に鯨を 見つけたり

紅緑   鯨売る 市井の匹夫 身に文す

極堂   鯨突の よろひ立つたる 浜辺かな

稲青   船日記 鯨を見ると 記しけり

谷牙   沈む日に 汐吹きかくる 鯨かな

鏡花   京に入りて 市の鯨を 見たりけり

紫英   鯨吊りて 油の落つる 日数かな

彩雲   海の幸 南の国の 鯨猟

楽南   鯨売 みるめの衣 着たりけり

霧堂   松原の 建物捕鯨 会社かな

寒骨   藩船も 遠巻きに鯨 囲みけり

寒骨   鯨着いて 浦人銭に 泳ぐかな

蕗山   瀬戸を入りて まこと袋の 鯨かな

帰去来  島土産 鯨の髭を 二本かな

氷箏   五尺に足らぬ 人もあり 鯨突

堂月   花も浮きし 浦に汐吹く 鯨哉

堂月   濱にこの人の ありけり 寄鯨

竹朗   浮きしとは 誠しからぬ 鯨哉

順升   浮きあかる 鯨取り巻く 小舟哉

紫之助  法螺の音に 寄来海人や 沖鯨

厄介坊  鯨から 人気つきたる 濱邊哉

皇風    ふと浮きし 島とあやしむ 鯨哉

指月    曳舟の 仰山出たり 浮鯨

沸々   屈強な 乗人はかりや 鯨船

梅志   汐噴きて ゆっとり浮かぶ 鯨かな

松丸   所作もなく 浮き上がりたる 鯨哉

可月   人波や 鯨のとれし 漁師町

文家   人波を 濱へ寄せたる 鯨かな

加藤暁台   暁や 鯨の吼()ゆる 霜の海

金子兜太   れんぎょうに 巨鯨の影の 月日かな

巴人        夕日さす 波の鯨や 片しぐれ

与謝蕪村   菜の花や 鯨もよらず 海くれぬ

与謝蕪村   十六夜()や くぢら来そめし 熊野浦

与謝蕪村   鯨売り 市に刀を 鼓しけり

水龍   引き揚げる 鯨に濱の 人出かな

初夜軒  里人の はなし大きな 鯨かな

竹馬   浮み出て 海を動かす 鯨かな

九十九  濱遠き 里も賑ふ くぢらかな

       浮く鯨 尾鰭のつきし はなしかな

梅丸    鯨見に 山へのぼるや 濱の人

可月    年越しの 用意して出ぬ 鯨突

玉英    山越して 来ても鯨の はなしかな

可粛    浮き島と 見擬ふ濱の 鯨かな

桃軒    寄る鯨 呉越の中も 忘れけり

蝶花女  五里六里 鯨の噂 ばかりなり

ふし女   浮いたとて 山へ見に行く 鯨哉

花鴎    萬人の 懐肥やす 鯨かな

仲本鋭子  曳かれゆく 鯨の上の 男かな

西武比古 珍しき 高知の雪や 鯨鍋

津江碧雨  鯨裂く 血の波返す 渚かな

米倉明司  身を逆れをりて 鯨の目の 優し

召波     鯨舟 新島守を 慰めつ

山本京童  剥げている 沖の汽船は 捕鯨船

山口青邨  捕鯨船 竝び花輪を 砲に懸け

西畑常山  飾り砲 向けて繋がりぬ 捕鯨船

南出何溟  大灘に 暮れのこりたる 捕鯨船

永倉しな  烏賊などを 干し碇泊の 捕鯨船

田仲化生  黒潮の 騒ぐ匂ひや 鯨追う

たぬき   屈強の 人ばかりなり 鯨突

あやめ   大海に 寝ている様な 浮鯨

晴蛾    突きて居る 人の小さき 鯨かな

蝶花女   七里は 祭りのやうを よる鯨

柴舟    見に寄った 人の小さし 揚鯨

五島奎一    黄昏の ひろがる低唱 鯨沈む

久米三汀    白浜や 紀の国人と みる鯨
          この浦の 鯨の墓に 舸子案内

今井千鶴子   鯨来る 土佐の海なり 凪わたり

川田十雨     子鯨の 迷ひ入りたる 港かな



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