きょうく

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読み方
梟・・・・・・・・・・ふくろう
青葉木菟・・・・あおばずく
小葉木菟・・・・このはずく
木兎・・・・・・・・みみずく
木菟・・・・・・・・ずく
仏法僧・・・・・・ぶっぽうそう

季語
夏・・・青葉木菟、仏法僧
冬・・・・・・梟、木兎   
夫木和歌抄 二十七 梟
山ふかみけぢかき鳥の音はせで 
     物おそろしきふくろふのこゑ
西行上人
足引きの 山深くすむみヽづくは 
      世のうき事を きかじやと思ふ
土御門院御集
ふくろうは ふくろうで わたしは 
          わたしで ねむれない
種田山頭火
梟も 面癖直せ 春の雨 小林一茶
梟の むくむく氷る 支度かな 小林一茶
みみづくの 眼る梢に 粉雪舞ふ   飯田龍太
青葉木菟  青葉の冷えに 鳴き止みぬ   渡辺佳子
青葉木菟  玉樟の月 ゐながらに   木津柳芽
青葉木菟  月ありといへる 声の後   水原秋桜子
青葉木菟か 海辺の喞筒 汲む音か   山口誓子
青葉木菟 夜もポンプを こき使う   鷹羽狩行
青葉木菟  呼ばれて応ふ 恋もなし   石塚友二
青葉木菟  死者へ反目 ながかりし   溝口青男
青葉木菟  こころに釘を 打つときぞ   山田みづえ
青葉木菟 明日刈る畑を 寝つつ言ふ   中山秋岳
青葉木菟  喀くもの尽きし 平らぎに   小川一灯
青葉木菟 よべ鳴いてゐし 栃仰ぐ   阿波野青畝
青葉木菟の 樟ゆ堕せし 穢なるかや   軽部鳥頭子
青葉木菟 夜勤看護婦の 声も絶えぬ   石田波郷
青葉木菟 夕餉を終へし手を 拭けば   水原秋桜子
青葉木菟 鳴ける梢は 月を負ふ   水原秋桜子
青葉木菟 玉樟の月 ゐながらに   柳芽
青葉木菟 舟の灯瀞を おちゆけり    芳雨
青葉木菟 夜の雲うごく しづけさに   黄枝
青葉木菟  遠鳴き旅の 灯を細む   福島ゆき
青葉木菟 夜空に杉の 鉾ならぶ   春潮
青葉木菟 星のおぼろの 一つ見ゆ   春潮
青葉木菟 遅き月の出 東天に   春潮
青葉木菟 幹のまはりが 消え失せぬ   斉藤美規
青葉木菟 碇泊燈は 壱岐通ひ   木村蕪城
青葉木菟 村に夜遊び 廃れずに   大野林火
青葉木菟 霧ふらぬ木は なかりけり   加藤條蠏
青葉木菟 峰の朝月 まだ消えぬ   大櫛静波
月さして 火口湖くらし 青葉木菟    宮下翠舟
夫恋へば 吾に死ねよと 青葉木菟    橋本多佳子
こくげんを たがへず夜々の 青葉木菟    飯田寺熹
ねそびれて よき月夜なり 青葉木菟  
森かへてまた 声をほそめぬ 
穂積忠
温泉に ひそむ女のけはひ 青葉木菟    鷺谷七菜子
眼鏡の 少女に飼われて雛の 青葉木菟   きくちつねこ
ベッド蚊帳 身を反らし出て 青葉木菟   石田波郷
眠れじの 一念放下 青葉木菟   石田波郷
陶窯が噴く 火の暮れゆけば 青葉木菟   水原秋桜子
看護婦の 巡視の灯の輪 青葉木菟   石田波郷
照る月と なり青葉木菟 声ちかき   黄枝
夫恋へば 吾に死ねよと 青葉木菟   橋本多佳子
人の世の 海山澄めと 青葉木菟   多田裕計
灯を洩らし 居りて本坊 青葉木菟   森田峠
廃坊に 住む灯まばらに 青葉木菟   岡部六弥太
大木葉木菟 月のあまねき 薮木立   岩間喜久枝
大木葉木菟 卆寿の母ときく 夜かな   金子八重
大木葉木菟 真夜かけてきく 冬の坊   松永マサ
月光の 大木葉木菟 父と遇ふ   中井愛
木葉木菟 悟堂先生 眠りけり   石田波郷
木葉木菟 月かげ山を ふかくせる   山谷春潮
木葉木菟 酔ふて寐て子に いたはられ   林一九楼
木菟鳴くや 薄月いよいよ 薄ければ   中川宋淵
木魚止み 木葉木菟聞き つづけをり 岡村浩村
猟夫等の 出立つ闇の 木菟のこゑ   山口草堂
木菟や 上手に眠る 竿の先   小林一茶
祖師堂の 燭つぐ僧や 木葉木菟   井上やすゑ
木菟の 独わらひや 秋の昏   榎本其角
みみづくの眠る梢に粉雪舞ふ 飯田龍太
霧にぬれ もどる夜詣で 木葉木菟   中村将晴
仏法僧 ひとつ鳴くらし 声つづけ   水原秋桜子
仏法僧 仏法僧と なく鳥の 声をまねつつ 
          飲める酒かも 
若山牧水
仏法僧 八日の月の 山に入る   箕山
仏法僧 鳴くべき月の 明るさよ   中川宋淵
仏法僧 聞え月より 巒気降る   西村公鳳
仏法僧 月は臥床の 下に照る   加藤かけい
仏法僧 星の中より 雨こぼれ  白川友幸
仏法僧 鳴くと相寄る 煙草の火 滝春一
仏法僧 樹の根が作る 坂光る   加藤知世子
仏法僧 闇の唇 微光して   井口砥子
仏法僧 鳴きぬ密林の 蛾うごめき   加藤かけい
仏法僧 山の夜霧に 誰か咳き   福田紀伊
仏法僧 啼くと案内僧 耳に手を   森白象
仏法僧 聞かまく今宵 坊泊まり   楠部南崖
仏法僧 たなぐもに日の 落ちしより   木津柳芽
仏法僧 ちかき潤声 道に絶え   木津柳芽
仏法僧 近きたぎちを 夜目に越ゆ   加藤かけい
仏法僧 鳴きやまざるに 露むすぶ   加藤かけい
仏法僧 谷うつりして 今遠し   浅井意外
杉の月 仏法僧と 三声づつ   杉田久女
木霊して 仏法僧の 戻りゐる   五所平之助
夜気募り 疳つのり仏法僧を聴く   長谷川かな女
子らいねぬ 仏法僧の 鳴くといふに   水原秋桜子
ラジオ鳴り まこと鳴きいでぬ 仏法僧  水原秋桜子
杉の月 仏法僧と 三つづつ   杉田久女
まれに聞く 仏法僧の 僧がきこゆ       水原秋桜子
杉を攀づる 三日月赤し 仏法僧   下田閑声子
光芒を 断つ霧間月 仏法僧   柿原堰芒
鳴き止みし 仏法僧や 子規()   嶋田青峰
声近き 仏法僧に 坊舎あり   木津柳芽
みみづくに なれぬ芒(すすき)の 吹かれをり   片山由美子
木菟の ほうと追われて にげにけり  村上鬼城
木菟が呼ぶ 城の鬼門に 旧火山   福田鬻汀
木菟鳴くや 薄月いよいよ 薄ければ   中川宋淵
仏法僧 青雲杉に 湧き湧ける   水原秋桜子
仏法僧 巴s眛ける 杉の鉾   水原秋桜子
仏法僧 梅雨雲の上に いま鳴ける  水原秋桜子
仏法僧 青杉雲に こぞりたり  水原秋桜子
仏法僧 翼の紋の 翔けて見ゆ 水原秋桜子
仏法僧の 群青杉に まぎれなし   水原秋桜子
梟の啼き啼くきけば雨過ぎし
 こよひの月夜さやけかるらし
若山牧水
ふくろうに 真紅の手鞠 つかれをり    加藤條蠏
鉄皿に 葉巻きのけむり 梟の夜   飯田寺熹
梟や 机の下も 風棲める   木下夕爾
梟の ねむたき貌の 吹かれける   軽部烏頭子
梟淋し 人の如くに 瞑る時   原石鼎
梟の 啼くとき病む扉 叩かれぬ   飯野計夫
梟をなぶるや寺の昼狐 正岡子規
梟や 聞耳立つる 三千騎   正岡子規
梟は 山の深息 子をあやす   矢島渚夫
梟の はなしして母 子の夕餉   中山純子
梟は 子供らが寝て しまつて啼く 加倉井秋
梟の 目玉みにゆく 星の中   矢島渚男
ふくろうや 親バカ子バカ 恙なく   鈴木小六
梟の 憤りし貌の 観られたる   加藤條蠏
梟や 肩さむしとて 寝がえるに  吉沢太穂
梟の 森やピノキオ 歩き出す   浜明史
梟の つくづく昼を 飼はれけり   龍岡晋
梟の ふわりと来たり 樅の月   鬼子坊
梟の 顔あげてゐる 夕べかな    三橋敏雄
梟の 啼きゐし月の 曇りけり   梗草子
だしぬけの 梟にはや 急ぎ足   西本多景王
山の宿 梟啼いて めし遅し   高浜虚子
風呂の火が 裏山にさし 梟かな   岩燕藏躅
遠く梟 恋牛は夜も 頸上げて   古内一吐
選り抜きの 月の梟 なきにけり   高橋伸張子
夕飯の 熱きを欲りす 梟に   栗生純夫
梟の子 鞠の如くに 置かれけり   上隅まさを
遠く梟 残業の火は 窓に充ち  田川飛旅子
飼はれゐる 梟昼の 眼の青き   佐々木弘志
梟を みにゆき一人 帰り来ず   宇多喜代子
樅の月 木菟婆娑と来て かくれけり   蚋魚
禅林や 闇の深きに 木梟の声   犀水
籠の木菟 虚を見る貌を 廻すなり   天神居
ふくろ啼き 斑雪をあをく 家寝たり   かけい
ふくろうや 並みてかがやく 洋酒壜  
黒部の 夜を鳴き交わす 梟かな   五十嵐播水
顔剃らせ ゐて梟の ことやもふ   橋聞石
地の音を 聴くふくろふに 遠き雷   久保田月鈴子
一つ火を 待つ梟と 息合はせ  北村仁子
出羽三山 闇に溶けゆく 木菟鳴いて   秋山花笠
木菟鳴くや 臥床つめたき 奥出雲   中村苑子
木菟の夜は 雪嶺簷(のき)に 来て立てる   堀口星眠
木菟鳴くや 首里のはずれの 亀甲墓  
屋嘉部奈江

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