*私見*1
1976年11月26日サンフランシスコ、ウインターランドで行われたザ・バンドのラスト・コンサートのライブ盤が完全盤として登場しました。私にとってかけがえの無い盤だけに嬉しいのなんのって。思い切って日本盤を手に入れてしまいました。ライナーノートが素晴らしいこと。読んでてなるほどーと初めて知るようなことが一杯。ロビーさんの言葉は、そうなんだよなあって思わず納得してしまいましたぞ。
さて内容と言えば悪い訳はございません。詳細に追って行くともの凄いことになってしまうのでざっと感想を。
DISC 1
ムーンドッグマチネーでやってた「第三の男」を彷彿とさせるテーマではじまります。なんとも美しい曲。ロビーが弾いてた不思議な楽器欲しいなあ。ザ・バンドの曲が3曲続きます。「同じことさ」でのリック・ダンコの歌。この人の歌の持つ切迫感がたまらん。名唱です。「フー・ドゥー・ユー・ラブ」。ロニーお師匠さんの元でのツアーの話は凄いものあったなあ。週に6日ライブしたそうです。ロビーさんはトイレにまでギター持ち込んで練習してたそう。やはりそこまでやってこそなんだなあ。わしは駄目じゃ、とてもでけん。「カーニバル」とジョン先生の「サじゃない」と出発点ニューオリンズから。ニュオリンズとカナダはフランスつながり。よってザ・バンドの音楽はニュオリンズとカナダをつなぐラインの音楽を全て内包なのだあ。乱暴かあ。今回初めて登場の「ザ・ウエイト」。元祖パンク・シンガー、リックさん期待通りやっちゃってくれてます。「火の車」「ステージフライト」共々本当に若若しくて。得意のメロディ崩しも名人芸。この人にしかでけんなあ。「ミステリー・トレイン」は何回聴いてもバターフィードさんのハープの音素敵です。正に機関車爆走。リボンさんが一番楽しみにしてたとゆうマディ・ウォーターズとの共演。初出の「カレドニア」がまた良いんです。バック・バンドとしてもザ・バンドってほんと見事な連中だなあ。おっきな包み込む感じ。バタフィールドさんのハープも最高。”カナダ地帯突入。”
DISC 2
未発表「ラグ・ママ・ラグ」で始まります。ラストワルツでのザ・バンドの演奏は「ロック・オブ・エイジス」の時に比べてより重心が低くなって、粘りがぎゅるると、そしてより攻撃的に若若しくなっている感が。そしてエリック・クラプトンの登場。未発表「ノー・リーズン・トゥ・クライ」の「オール・アワ・パスト・タイムズ」を。良い曲なんですよねー。嬉しくて。「ファザー・オン・アップ・ザ・ロード」ではストラップが外れてよれよれになるエリックさんのソロからタッチしたロビーさんの壮絶ソロに注目。さらにエリックさんの巻き返しもあります。「オフェリア」。もう何も言えないす。このアルバム中でも白眉の演奏。デューク・エリントンからスイングジャズを見事にロック化です。で、カナダ地帯へ突入。にーる君は究極3コードソング「ヘルプレス」でかましてくれます。これ3コードでっせ。ややこしくすれば良いもんでないのー。そしてジョニ・ミッチェルさん、ヘルプレスでも強烈に目立っておりました。恐るべきノンコードの世界。バックの演奏付けるのに苦労したそうな(笑)。空気を一瞬にして変える所はさすがじゃ。「アルカディアの流木」。「南十字星」に入っていたこの曲を聴くためにこれを買ったと言っても過言ではありません。聴けたことだけでもう大満足です。良い曲なんだよねー。もう一人のニール君は貫禄がすげー。そして「WSウォルコット・メディシン・ショー」なんですが、これがまた素晴らしくて、これをアナログの時カットしたのはさぞかし悔しかっただろうと。リフがいかしたイメージがパアっと広がる曲なんですよ。
このコンサートのハイライト、男ヴァン・モリソンの登場です。ぱちぱちぱち。何回聴いてもチキンスキン。あの飛行機嫌いのヴァンさんが駆け付けたこの気合を聴いとくれ。この時点で間違いなく世界最強になりました。この歌唱に触れなければ一生の不覚じゃぞ。
つづく。絶賛コメントのネタが尽きても絶賛(爆)。
”再びロッキー越えて。”
DISC 3
リボンの渾身のボーカル、「オールド・ディキシー・ダウン」で始まります。ホーン・アレンジはアラン・トゥーサン、イントロのフォスター調のフレーズから想像力ばんばん膨らんでずっぽりとザ・バンド世界に。続いてザ・バンドのイーノことガース先生のインストへ。この人のプログレシブ・ケイジャンは他に類を見ません。この人のワサビが効いたフレーズがバンドミュージックにどれほど魅力を付加しているか、はかりしれないもの有り。シンセを生楽器同様生かす技術たるやもう。お次はいよいよボブ御大なんですが、色々ごねた割には、はりきってること。リハほとんど無しでバッチリ合わせるザ・バンドもさすが。歌い方笑っても良いですよ(スト」。リチャードの声が凄い。どかーん笑)。じっくり聴くとこの人改めて良い曲書くなあって思います。トリは全員参加の「アイ・シャール・ビー・リリーと響きます。ディラン先生の炸裂ぶりにも注目ちょっとやっちゃったかなってとこかな。(爆)。9、10は初出のセッション音源なんですが、9はさすがにザ・バンドはセッション向きだとはおもえんもんな。次のガース先生から始まるのは面白いです。やってるうちにどんどんニューオリンズ・ファンク・ブルースになって行く。なんとリトルフィートっぽくなって行くんです。ギターソロ誰が弾いてるか当てたらあなたは凄い。
大トリはやはり「ドント・ドゥー・イット」。これだけやった後でも体に染み付いたパワーで炸裂します。最後になぜこの曲をやるのか。それは「ロック・オブ・エイジス」を聴いてもらえば、納得していただけるかと。
「グリーンスリーブス」でジェフ・ベック版を聴きたくなる人はいましたか(笑)。
”なぜ終わったのか。”
DISC 4
ロビーさんが今回の為に作った新曲とコンサートで共演出来なかった人のための、スタジオ・パートです。問題はそのサウンド。よく言えば憑き物がとれたよう、とにかくあっさりした作りです。1.ウエルはジャズ・ワルツなのかな。本来ならレコーディング・グループとしてこんな展開にしたかったのでは。これが展開してたら面白かったろうに。2.イバンジェリンはアケイディアの流木と並んでアメリカ南部に追放されたカナダ・フランス語圏の人々を歌ったものだそうです。ちなみにアケイディアがなまってケイジャンになったそう。なるほどー、それでケイジャンは...。エミルー・ハリスが爽やかに歌います。このあっさり感で何が狙いたかったのか、ちょっと未だによくわからない。3.ブルースから離れて。珍しくロビーさんが歌いますが、これがなかなかいけてます。ちょっと自信なさげなのがまた良い。ソロ・アルバムでふてぶてしくなっちゃうのが嘘のよう[(^o^)]。これで自信持ったのかな。4.ザ・ウエイト。ステープル・シンガース登場。ツアーでコンサートには参加できなかったそうで、ザ・バンドの曲をいち早くカバーした恩義あるブループとしてどうしても共演したかったそうです。元々ゴスペルのウエイトがもう見事に。歌いたいパートを取合ったそうで、さすが限界超えた感情吐露。もの凄い歌だなあ。バックの演奏がオリジナルみたいだったらと思うのはわしだけかなあ。5.ラスト・ワルツを再び。リチャードさんの歌はやっぱり天下一品。彼でやっぱり締めなきゃね。続いてコンサート・リハーサルの音源。7.キング・ハーベスト。今一うまいこと噛合ってなかったみたいですね。8.9.はヴァン・モリソンさん。楽にやっつけようと始めたは良いけど思わず熱くなっちゃうとこがこの人らしい。手が抜けないんだねえ。不器用で頑固なところが最高です。10.のジョン先生は逆にリラックスしまくり。リラックスが持ち味だから、これも良いのです。12からは新曲完成前の音源。手さぐりなんですがこれも魅力的なのがバンドの地力とゆうものでしょうか。
可能性と終末感が漂うスタジオ・パートは、やっぱりこれで終わりなのかなあって感じさせてくれるもの。コンサートの熱い演奏とわざと対称的にしたかったのか。謎です。どのインタビュー読んでもこの辺に触れて無いし。感覚的には納得できるものがあるのですが。
ザ・バンドは、ビートルズの影響を直接受けて無い生粋のアメリカ大陸バンドとして、文字通り偉大な存在だったと確信しております。この人たちの存在がどれほどロックの厚みを増していることか。もっともっと評価されるべきだと思うのです。もっとも評価されなくてもわしはどこか心の根っことして一生聴き続けますけど。存在に感謝。
(マスター)
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