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THE MASTERS OF STRATOCASTER
〜50th Anniversary 1954-2004

2004/8/7 ワーナーミュージック・ジャパンWPCR-11885


"ストラト万歳"

 

 ロックの華と申しましたらそりゃもうエレキギター。そして2大エレキギターとして燦然と輝いているのがギブソン・レスポールとこのフェンダー・ストラトキャスターでございます。1954年に生誕したこの稀代の名機の50周年を祝い日本のワーナーから記念CDが出ました。実はまだ買っておりませぬが収録各曲は所持しておりますのでその栄誉を讃えて私ごときが僭越ですがご紹介させていただければこれ幸い。お買いになったあかつきにライナーノーツと比べていただき笑ってやっておくんなまし。ちなみにこの盤の企画は雑誌ギターマガジンが選曲・監修・ライナーを担当だそうです。アマゾンさんの曲目表示が違っております。リットーミュージックのHPで確認した曲順で書きますので間違い無いとは思いますが。
 ストラトキャスターと言ったらそのシングルコイルピックアップから生み出されるシャキシャキサウンド。先輩エレキ、テレキャスターの少々エキセントリックな音質とはちと趣きが違い上品、なもんでそのままでも良し歪ましても良しでオールジャンルで大活躍のギターなのだ。私の愛器もこれです。ブラックでローズウッドネック。はいエリック・クラプトンモデルだ。フェンダージャパンなんすけどやっぱ音は良いです。最近かわいがってあげなくてごめんね。
それではそれぞれの曲を拝見。

01 リッチー・ブラックモア(ディープ・パープル)「ハイウェイ・スター」
『マシン・ヘッド』より

・・・へへえ。リッチーさま。ろっくすの「ベスト・ギタリストを探せ」コーナーでも大人気、ミスター・ストラトつうたらリッチーさまに他ならぬわ。控えおろう。その華麗なる早ビキニ、速弾きにぴったしな訳です。鷲づかみするような奏法でわてらのロック心も鷲づかみだわい。

02 スティーヴィー・レイ・ヴォーン「スカットル・バッティン」
『テキサス・ハリケーン』より

・・・鷲づかみ奏法と言えばこのお方も忘れてはいけません。レーイヴォーンさん。80’sを代表するストラト使いだぜ。速いわ切れがいいわたまりません。スカトロばってん、もといこのスカットル・バッティンでスカっとしておくんなまし。レッツゴー。朝から晩までギター抱えて弾いてますですきっと。

03 ローウェル・ジョージ(リトル・フィート)「ディキシー・チキン」
『ディキシー・チキン』より

・・・泣いてもええですか?よくぞ選んでくれましたギターマガジンさん。ストラトでスライドつうたらローウェルさんでございます。変則のオープンAチューニングでブルースの枠から飛び出した極上プレイを聴かせてくれます。この曲が入ってるアルバム、73年のディキシー・チキンからMXRのダイナコンプを使い始めて永遠なるサスティーンを獲得、どこまでもどこまでも上昇していくわギターの音が。あ、もう宇宙が見える。来日時、弾きだすと会場の全員がふーっとため息を漏らしました。これほんとの話。

04 ボニー・レイット「シュガー・ママ」
『ホーム・プレート』より

・・・ストラト使いの姉御つうたらこのボニー・レイット嬢。75年の「ホームプレート」アルバムからですね。ローウェル・ジョージさんに紹介して貰ったMXRダイナコンプを使っております。ローウェルさんと同じにしてもしょうがないのでサスティンは控え目、ストラト生の音色を大事にしております。生を見たのだ。しかも小さな会場で目の前で。大迫力、上手かったなあ。個性もバッチリだし。

05 エリック・ジョンソン「トレードマーク」
『未来への扉』より

・・・く、詳しく知りません。調べたら何とクリストファー・クロスのバッキングで有名だそうで。メタルな人だと思っておりましたが。どうりでこの曲での含蓄ある演奏。歌心に支えられたテクニック。私なんぞ瞳孔開いて夢ごこちするだけっす。

06 ライ・クーダー「流れ者の物語」
『流れ者の物語』より

・・・はい、ライさんもストラト使い大王です。ちょっとばかしフェイザー使ってるかな。ほぼそのまんまの音色でのスライドでむせび泣くのだ。くいーんじゃなくてキュウィンって感じで。フィンガー奏法ですから例えエレキギターだって一人で弾き語り全然OK。

07 ロビー・ロバートソン(ザ・バンド) 「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」
『ラスト・ワルツ』より

・・・そうだよロビー氏だってストラト帝王じゃ。最初はテレキャスだったけど。シングルコイルの特徴を絞りつくしたカキコキサウンド。さらに輪をかけるようにチッキン・ピッキング、これは指先の微妙な按配でハーモニクスを出しながらコケコッコーと鳴かせる奏法です、を駆使するもんだからピコクケクッキーン。歌のバッキングはもう惚れ惚れするくらいのフレーズ連発。ずっとほぼノー・エフェクトだったんで生々しく、下手糞ーと誤解されたこともあったけどあーた最高に上手いでっせ。誰が出せますかいこんな音。このラウトワルツでのエリック・クラプトン氏との対決は流麗テク・ギタリストとの対戦ちゅう因縁のもので、クラプトンはんはロビーさんに憧れているとゆう複雑な関係。エリックさんすらすらっとソロを弾き始めるも突然ストラップが外れて攻撃不可能に。すわ神は味方したかとロビーさんの猛攻撃が始まります。それがまた凄い力技フレーズ。300kgのストンピングかましてさぞかし気持ち良かったでありましょう。日比谷スカラ座で私も大拍手いたしました。ほぼ劇団ひとりだったけど。

08 イングヴェイ・マルムスティーン「ファー・ビヨンド・ザ・サン」
『ライジング・フォース』より

・・・世界最高速のストラト野郎と言ったらこの丸虫ティーン(失礼!)さんなのですね。この曲思わずビッグ・ヴァン・ベイダーが入場して来てしまうかと思いました。ロック・ギターの魅力の一つとして超絶な早弾きは欠かせませぬ。まあ速いだけだったらサーカス&上海雑技団化でございますが。音楽と別な次元での楽しみとなってしまう。だけどなあナンバー1となればただただひれ伏すのみだわ。あ、スティーブのヴァイさんが何か言いたそうだ。駄目ですあなたストラトつうか変なギター使ってるでしょ。

09 ジョン・ホール(オーリアンズ)「スティル・ザ・ワン」
『夢のさまよい』より

・・・泣いてもええですか。よくぞ選んでくれましたギターマガジン編集部さん。当ろっくすから表彰状を進呈いたします。ジミヘン直系にしてクラプトンもかくやの流麗泣きギタリスト、ジョン・ホールさん。リズム・ギター&歌ものバッキング・オブリガードの素晴らしさではもう世界一だとわたしゃ確信しております。ハンマリングオン、オフを駆使した流れるようなフレーズはもう絶品。ソロだって決まるところでピシっと決めてメリハリだよギターソロは。友達の先のローウェルさんボニー嬢と絡むことも多し。そんな時は最強のストラト共演となるのだ。バンドの僚友のラリー・ホッペン氏も実はホール氏と並ぶくらいの名手。この二人がトゥイン・リードでやってたオーリアンズってバンドはもうギタリストに取ってはあちこちで悶え鳥肌ってばっかしの凄いバンドなのだよ。ほんとだよ。

10 バディ・ガイ(&ジュニア・ウェルズ)「T・ボーン・シャッフル」
『プレイ・ザ・ブルース』より

・・・ブルース界からのストラトの星としてガイさんが登場。草の香りがするフレーズ連発で、つい「おうイエー」とか掛け声をかけてしまいまっす。ストラトだと泣きちゅうよりも唐草空気になりますね。ってもっと気の効いたこと書けないかねまったく。

11 ディック・デイル「ミザルー」
『ベスト・オブ・ディック・デイル』より

・・・見ざる言わざる着飾るってんでサーフィン界からデイル”豪腕”ディックさん入場です。映画パルプフィクション挿入曲としてCMでもばんばん流れたぜよ。トルコのウードつう楽器の奏法を参考に編み出したこの連続トレモロ攻撃。音がもうぶっといです。実際とてつもなく太い弦を使用してるらしい。ギタリストには筋トレも欠かせないトレーニングであります。って最近のやつらは0.08が一弦などとゆう軟弱なもん使いおってからに。デジタルエフェクターで歪ましてそっと触るように弾きやがる。そんなんギタア弾いてるって言えるかってんだ。このおじさん左利きで通常の右利きギターをひっくり返してそのまま弾いております。はいなジミヘンさんと一緒。彼はデイル氏がやってるのを見てそうしたと聞いたことがありますが。かのリッチー”ピカチュウ疑惑恋人にメロメロ”氏も彼の大ファンだそう。しかり。この豪腕鷲づかみ奏法は彼に元祖を見たりであるのだ。あ、そう言えばこの盤にジミ・ヘンドリックスさんが入っておらんではないか。これはもう片手どころか両手両足落ちだわな。ライセンスの問題で無理だったのかもしれんが。解決して欲しかったなあ。あ、ジミさんといえばロビン・トロワー氏も入ってない。ストラト連動ワウワウ口の名手なのにー。

12 トミー・ボーリン(ビリー・コブハム)「トーリアン・マタドール」
『スペクトラム』より

・・・昆布ハムさんとゆうアメリカのつのだひろ☆さんのリーダー・アルバムで弾いておりました富ボリン氏。この後出てくるベックさんのワイアー

ドは絶対この盤をモデルにしたんやろなつう物凄いプレーを繰り広げます。これ聴いちまったらリッチー”ピカチュウ以下省略”さん無き後バンドに入れたいと思った紫衆の気持ちが痛いほどわかります。飛行機で手を下にして爆睡眠さえしなかったら日本の聴衆にもわかったろうに。とにかく凄いプレー。単独で買う勇気が無い若い諸君。まずこれで聴き給へ。そして買いに行くのだスペクトラムを。間違えて羊肉とか、日本のバンドを買わないように。

13 ジェフ・ベック「蒼き風」
『ワイアード』より

・・・ベックさんはストラト一筋ってわけではありませんがこのブルー・ウインドではストラト化したベック人間の音が生き生きと。ぷきぴーんつうこの音は唯一無比、数フレーズだけ聴いてもわかっちゃいます。とにかくかっこいいと言えばベック・ギターの代名詞だと思います。

14 ロリー・ギャラガー「シャドウ・プレイ」
『ステージ・ストラック』より

・・・焦げたストラトはロリーさん。ひたむきな音といえばロリーさん。熱血といえばロリーさん。ブルースとかロックとか超えて声とストラトで人間が迫って来ます。こっちも熱血で聴くのが礼儀ってもんだ。

15 エリック・クラプトン「いとしのレイラ」
『ワン・モア・カー,ワン・モア・ライダー〜ベスト・ライヴ』より

・・・レスポール使いのエリックさんがストラトに転向したのは音楽の大きな変化と連動してのもの。名手は道具を選ばず。良い道具なら生かしきっての必殺リフです。おまけにハーフトーンなる望んだ音を作る方法まで編み出してしまいおった。楽器自体のあり方まで変えてしまった稀才です。

16 デュアン・オールマン(ウィルソン・ピケット)「ヘイ・ジュード」
『ヘイ・ジュード』より

・・・マッスルショールズ時代、スタジオミュージシャンとして大活躍してたころの曲です。ピケット氏の常人にあらずのボーカルもものすげえだけどそれに呼応するギターフレーズも熱くて熱くてインドより暑いトキオのようだ。これ聴いたらディアン・オールマン・アンソロジーをやっぱ欲しくなっちゃいますよきっと。

とゆうわけで16傑のストラト使い達の名演、これだけまとめて色んな人の同機種のギターの音を聴くのも考えて見れば稀なことで。面白くて楽しい。これは是非他のギターでもやってくれたらなんてことも思ったりして。ついでにベースでもやってみたら凄いかも。ジャズベばっかしとか。わはは。

試聴はここで。ワイアードのベックさんをどうぞ。


 
 
  


  
 
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