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ろっくす特選盤

輸入盤


試聴はここで


グッヅ


*70’s前半のヒット・チャートを嵐のように駆け抜けて来たエルトン・ジョン。創作意欲とその結果も前々作「黄昏のレンガ路」でピークに達しこのアルバム「キャプテン・ファンタスティック」で一旦自分の半生、相棒のバーニー・トーピンとの物語を総決算いたしました。メンバーはゲストを加えずすっかり息の合ったエルトン・ジョン・バンドとプロデュースのガス・ダッジョン氏。超高速でアルバム製作することが多かったこの時期に1ヶ月以上時間をかけてじっくりと、前作カリブは軽快なイメージが有ったのに対して待ち受けるこちらも今度のは何かが違うとどきどきして待っておったのです。そしたらやってくれました。全米アルバムチャート史上初、初登場で1位。向こうの人もめっちゃ期待したのね。発売と同時にたーっと店に行って購入、まずびっくりしたのはジャケ。何じゃこりゃあ(^0^)。センス的にはてと思うものが今まで無かったとは言えないけど今回のはえらいこっちゃ。ダリみたいだわ。Wジャケの中身を見るとジャケのでかポスターに歌詞小冊子パンフレットと超豪華。そこにはエルトンとバーニーの物語、古ぼけたレジナルド・ドゥワイトの写真。マジで何か総決算してる雰囲気が濃厚です。才人がその気で気合入れて作ったのならこちらもその気で聴かなければ。1曲目表題曲は文字通り序章二人の歌。英国そのものの生ギターの音色。レイ・クーパーのパタコン・コンガ、普通の8ビートでも一聴してわかるナイジェル・オルソンのドラム。今のロックじゃ絶対聴けないタイミングで入るディー・マレイのベース。これまた自分解釈でとてつもなくオリジナルになってしまったデイビイ・ジョンストンのディストーション・ギター。これが織物のように重なってその上にたんたんとしたしたエルトンのヴォーカルがのる。もうやばいです。この手練手管の押し付けがましくないドラマティックさ。この時点でこれはえらいことになってるぞと確信して。2.バベルの塔。ここでエルトンのピアノ登場。沈うつなしかし軽快、どこでも聴いたことの無いメロディ。上にぶっとんで下に下がる。重過ぎない荘厳さ。欧州なんだけどタメに溜めたグルーヴィ・リズムで走ります。3.ビター・フィンガーズ。うーん、説明でけん。この絶妙なアレンジを。演奏を。とにかく見事です。ここまで来ましてどうもいつもと違う気が。もしやヒット曲を今回は出す気が無いんじゃ無いかと。もともとリフレイン連呼で掴んでのヒット曲をあまり作る人では無いけれど今回は特に一筆書き風の曲調。作詞のバーニーさんはほんとに物語を書いてエルトンはそれをそのまま歌にしました。4.汽笛が鳴ったら教えて。これまた説明不能。何風だろう。ちょっとハードボイルドな雰囲気で。絡むストリングスは名匠ジーン・ペイジ氏。軽快でバランス崩さず、ギターのオブリガードに絡む。5.僕を救ったプリマドンナ。本作唯一のシングル。えらい地味。でかつ超ドラマティック。プリマドンナが男か女かは別にして(^0^)、力入ってます。歌詞など英語でわからなくても心情はずきずき伝わって来る。ぎりぎりの臨界点まで達したエルトン世界だなこれは。これ以上やるとこのセンチメンタルはやばい。でも来るなあ嫌ちゅうほど。ここでレコードひっくり返してB面。CDでは6.ミール・チケット。エルトン流のあのファンキイ・ロックンロール。全く直輸入じゃないねじれた有り様はこれぞイギリス産です。ピアノにしてもバックの演奏にしても全部そうなのがこの人の音楽の大特徴だと思う。サビの興奮って言ったらありゃしない。ゴムみたいなデイヴィさんのギターソロに大騒ぎ。7.ベター・オフ・デッド。邦題では「僕に迫る自殺の誘惑」なんてぶっそうなものが。相当苦しんでた時期があったのかな。あれで。あれでなんて言ったら悪いです(^_^;)。寸詰まりのドラムの音色が印象的。8.ライティング。打って変わって軽快な歌を書く喜びが伝わって来る曲。デイヴィさん大活躍。歌を支える名人ギターだな。9.はバラード。ビリー・ジョエルを思わず思い浮かべる人がおるやもしれませぬがこちらがオリジナルです。歌詞をいぢらずにそのまま曲にしてこう出来るのかと毎度毎度の事ながら感嘆の一語。すげえなあ。10.カーテンズ。そのまま続くラストは毎回恒例の大団円。大団円曲はちょっと外すことが多かったりして。とまあ曲ごとに何か書くとしたらこんな感じなんですがなんつってもこのアルバム、全体のトーンが最大の魅力です。一枚一枚空気が全く違うアルバムを作るエルトンさん。今回もそう。これだけは聴いてもらわねば。到底言葉じゃ書き足りない。今度のは特に説明不能のもの多し。でもアレンジ、曲、演奏は音楽の頂点に立つものだとは、これだけは確信いたします。そりゃ多少贔屓目が入ってるけど。はは。それにしても。歌が発音はっきりし過ぎとかドラムが大味とか人に言われてびっくりしたことあり。そういやそうだ。でも欠点は長所ですから。それはそれぞれの人がどう聴くかによるなあきっと。さてCDではここからボートラに突入。言わばトータルアルバムですからここからは完全に別口で聴いていただくこと希望。11.ルーシー。お馴染みビートルズ、サージェントの曲。うーんこれだけは大味説に賛成するしかないかな。わたしゃ嫌いです。根っからのファンだから言わせていだくの勘弁していただければ。やればやるほどドツボにはまってしまったような。12.ワン・デイ・アット・ア・タイム。ジョン・レノンさんの曲だ。これはぴったり。自作かと思ってしまうほどです。13.フィラデルフィア・フリーダム。ご存知フィリー・ソウルに挑戦した大ヒット曲。バンドのメンバーが自己主張してエルトン・ジョン・バンド名義になった。微妙にバンド・バランスが崩れて解散に至ってしまった曰くつきの曲でござる。フィリー・ソウルって言ってもいつものようにまともに研究しないエルトンさん。必死にストリングスでそれっぽくしようとしても完全オリジナルです。それがそうです最大の魅力。しかしこの妙ちくりんな曲がよくヒットしたもんだ。って大好きなんだけど私も。&この盤に入ってるのがまったく似合いません。ところでブックレットにのってたドッグス・イン・ザ・キッチンって曲は存在するのだろうか。30年来気になってねえ。

(マスター)2004.11.15







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