昨日のWANTED rocks   top   back

ろっくす特選盤

ボートラ付



*77年のイヤー・オブ・ザ・キャットの大ヒット、これは鮮烈でした。誰だこの人のムードの中、少しづつ聴いてる人の中でブレーク、全米でベスト10に入る頃には全員同時に
「On a morning from a Bogart movie」
の歌詞で始まる世界にどっぷりって感じを味わうことができた。マジックだらけの大名曲です。舌足らずの爺さんになってもこれだと気持ち悪いかも(^0^)の歌声とアラン・パーソンズの次々と楽器が現れては風景を描写するほんと映画みたいなサウンド。ちょっと聴き地味なんで最初食い付きは口当たり良く通り過ぎちゃうけどおろと思って何回も聴くともう駄目、虜、奴隷状態であるのだ。
 そしてこの猫男爵有吉の部屋みたいなジャケのアルバム、そのキラー・シングルが最後トリに入っております。これがいささか困っちゃうリンダ。大抵の人間が猫病にかかってからこれ買っちゃうので待てないんです。早く早く猫うおーって聴いてるうちに気もそぞろとなってしまう。こないなことならベスト買っておけば良かったってそれじゃシングル買うのと変わらないじゃん。ぐご。50回ほどそんな感じで聴き倒し猫病ウイルスの活動鈍化せずともいささか余裕が出来た頃、他の曲もいや良いじゃないですかとなってきます。実際いいんですわこれが。そりゃキラーな感じは味わえませぬがアルバムの中の曲ならではの落ち着いたグッド・メロディの曲ばかり。とゆう訳でここまで来てああ買ってほんとに良かったとことん満足するだよきっと。
 アルさん、アランさんと組んでの2回目のアルバムがこれです。それまでの盤はと言えばいかにもシンガーソングライター、名盤の誉れ高き「オレンジ」を筆頭に良家の男子が舌ったらずの声で赤裸々に自らの恋愛経験を語り歌うもの。わたしゃこれはあかんかった。この軟弱野郎贅沢野郎って。じめじめしやがってしばいたろかって気分になっちゃったすみまそん。それがアラン氏の説教が効いたのか一歩引いた視点で作風ガラっと一変、たんたんモードで逆に効果百倍です。アラン・パーソンズの仕事の中でもピカイチの作品となりました。メロウ・サイドでは第一位だな。マックやスティーブ・ミラーなんかと並んで70’sのアナログ音楽の最高到達点でもあるかと。そしてボブ・クリアマウンテンが80’sにやっちゃうめくるめくサウンドの原点でも。不思議なことにアラン・パーソンズ氏自身のアルバムでは聴けない音なんでここで存分味わってしまいましょう。もっと聴きたい、次のアルバムも見事に2番煎じで安心安心。自分の音楽を掴んで金太郎飴で徹底的に出来る時、それが最高の時です。

(山)2004.9.3

アル・スチュワートの英国チャート・ヒット
31 Year Of The Cat Jan 1977

アル・スチュワートの米国チャート・ヒット(この盤のみのデータ)
<アルバム>
1977 Year Of The Cat Pop Albums 5
<シングル>
1977 On The Border Pop Singles 42
1977 Year Of The Cat Pop Singles 8


0-0-0-aaa0asy-4riot.jpg

Year of the Cat
Al Stewart
1977/1/22


*本日の「完璧なシングル」は
イヤー・オブ・ザ・キャット
アル・スチュワートです。

1977年1月22日に米TOP40に7週目にして36位で初登場、さらに6週かけて最高位8位に到達したつう。わたしゃ1位になったとばっか思ってたよ。記憶と思いでは完全1位、77年どころか70’sを代表する「完全完璧シングル」だと確信します。こんな曲に何が書けるってんだ。無謀だ。
アルさんは1945年9月5日乙女座だな、スコットランドはグラスゴウ生まれ。貴族のお坊ちゃまさんだと聞いております。顔も声もそんな感じや。
0-0-0-aaa0asy-1ba.jpg
まー当世英国の貴族さんと申してもお金持ちであるとは限らず。育ちはいいけどけっこう貧乏なんてこともあるかもしれん。デビューは1967年。シンガーソングライターそのものさんなり。初期の名作に72年の「オレンジ」がアル。がしかし私はちいともこれには没入出来ず。理由は考えれば色々アルだろうけんども何はともあれいかんでした。これがわからぬではバカだアホだスントコだ言われてもこればっかはしゃあない。来なかったんだから。
私にとってアルさんは、とことんイヤー・オブ・ザ・キャットの方です。とタイム・パセージス(^0^)。
伏線は前作75年の「
モダーン・タイムス」に有り。
0-0-0-aaa0asy-1pro.jpg
→試聴出来るかな

そこで出会ったプロデューサーが、かのアラン・パーソンズ氏。
0-0-0-aaa0asy-3wine1.jpg
そこでの最初の邂逅は手探りのものだったと思い。もう少しで何かとてつもないものが生まれそうな・・・予感アルバムでした。
そしてそれがついにいきなし完璧に完成したのがこの
イヤー・オブ・ザ・キャット
アラン氏が目論んだのは音楽で映画をやること。先にそれが有ったのか、それとも先にスチュワート氏の曲があったのか。アルさんの曲が先に出来て歌詞からの所産かもしれぬ。同時だったらなお凄いよ。

イントロはクラシカルなピアノで。しかし時はモダン・タイムス。うらぶれたホテルで一人弾いてるがごとく鳴る。
突如リズム・セクション現る。16ビートを咥えた8ビート。スティーリー・ダンのディーコン・ブルースと奇しくも共鳴してる。
クラシカルなピアノとも。
イギリス水森亜土嬢0-0-0-aaa0asy-1le.jpgみたいな歌声がそこから

ハンフリー・ボガード映画からの朝に
0-0-0-aaa0asy-2sco2.jpg
彼らが時を逆行させる国で
君は犯罪をたくらむピーター・ローレのように群集をかきわけてぶらつきに行く
0-0-0-aaa0asy-1rain4.jpg
彼女は日の光を浴びて現れ 絹のドレスを着て小走りに まるで雨粒の雫の色のように
そんなこと説明させないでくれ
彼女は来たんだと言うしかないよ
その猫の年に

彼女は何か訊く時間を君に与えません
君の腕をがっちり抱えてしまっている
どこへ行くんだろうかと君がその感触を追っても たちどころに消えてしまう
市場の露店の近くの青いタイル張りの壁には
彼女が君を導いてくれる秘密の出入口があります
三日間、彼女は言った、「私は自分の時を感じてるわ。そう正に川の流れるように。」
その猫の年

彼女はとってもクールに君を見つめる
そして彼女の瞳は海に写る月の光のように輝く
彼女はパッチョリの香りの中に包まれる
そして君は彼女を連れて行く 何か何か待ち受ける何かを探しに
その猫の年

0-0-0-aaa0asy-6touch4.jpg
ストリングスの時間/スパニッシュ・ギターの場所/エレクトリック・ギターの会話
サックスで答える/

そう朝が来て 君はまだ彼女と共にいる
婆っさまのバスと旅行者達は行ってしまった
そして君は自分の選んだことをほおり投げて チケットを失くした
そう君は残らねばならない
でも夜の名残の中で ドラムビートの響きがかすかに鳴り
それは新しい一日のリズムだ
君は、自分でいつの日か彼女を置き去りにしてしまうことをわかっている
しかし当分の間、君はそこにいるでしょう
その猫の年

その猫の年

猫鳴く鍵盤/サックスだってすすり泣く/猫鳴く鍵盤
消える

もうベッタベタ(^0^)。ロマンチックだべさの世界です。このあっさりした舌足らずな声とバックが無ければどうなっていたことか。
有るからもう喜んで術中にはまることが出来る。POP聴く時間の最良の時だ。
音を重ねることなく、次々と現れる様々な楽器。演る人々。それと共に皆さんそれぞれが自分の風景を見るでしょう。
映画のカット・イン、フラッシュ・バックのように。
例えパーソンズ氏でも、アルさんでも、この手法はそう何回も使えるものじゃありませぬ。
それほど強烈なヤツだと。
出来たとしてもあと一回。
人類の歴史の中でたった2回の音楽。大げさに言いたくなっちゃった。
その2回の中の1回を聴いて下さい。

(山)2006.5.21


0-0-0-aaa0asy-15touch4.jpg
入手先参考(UK盤、試聴可能です、アマゾン)