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ろっくす特選盤



試聴はここで


日本盤




*ザ・バンド、75年の7作目です。スタジオ盤としてはカフーツ以来の4年ぶり。その間は遊んでいた訳では有りませぬで数々のライブ、ボブ・ディラン親分との共闘とか頑張っておりました。もちろん仏様ライブ盤とムーンドッグ・マチネーつう極上エンタメ盤も出しての。環境の変化と言えばリヴォン・ヘルム以外のメンバーがカリフォルニアのマリブにお引越し、そのせいもあってか録音はズマ海岸にあるシャングリ・ラ・スタジオ。プロデュサーは自身でエンジニアはロブ・フラボニさんておっしゃる良い臭いがしそうな名前のお方です。実を申すと私のリアルタイム・ザ・バンド遭遇はこの盤から。洋楽聴き始めてから2年目だから遅いかな。存在はもちろん知ってましたがやっぱ何となく怖かったす。何で買ったのかなあ。ミュージックライフで5つ星とか付いていたからかな。買った日の事はよく覚えてます。近所のダイエーの新星堂さんで親父と買い物に行った時に買って帰ったら自分の部屋のステレオじゃなく下の居間つうか飯部屋にあるステレオでかけた。曲はまずオフェリア。あ、オフェリアをラジオで聴いてやられたから買ったのかもしれません。とにかくかけて親父にも聴かせちゃった。親父曰く「自分が聴いてたスイング・ジャズと同じじゃん。」。同じです。聴かせたのはロックにもこんなんあるんだぜえっへんっとしたかったのかも。そんな親父も今じゃ大病アンド生き残り口もきけぬで覚えてるかなあの時のこと。聴かせたのはそれだけで後は自分の部屋でじっくりと。最初からやられただ。数々の名曲の数々。こんな音楽が有ったのかってウブな高校生はドッキドキしながら。オフェリアの華麗さにはもちろん、ホーボー・ジャングルの声、歌声っす。こんな深い味わいのある声っていったい。それを支えるバックの素晴らしさ。眼前に早朝の湖のほとりを走る貨物列車に乗ってるホーボーの姿がどわーっと。こんなんほうぼうには無いぞ。そしてアーケイディアン・ドリフトウッドです。豪華三人衆リレー歌唱。カナダからアメリカへ時空を超えて流れるカナダ人流浪の民、そしてザ・バンド。歌詞なんかわかんなくてもびんびん伝わって来た。あの独特のポーズでがっしがしドラム叩くリボン氏の絵も。ってこれはお姿知ってからだけど。ここでのアレンジはもう素敵なんて物じゃ無し。ビートルズとは文脈が異なる巨大な何かに触れたような気がして鳥肌がぞわーっと立ちました。それに「同じことさ」だなあ。あのくおくおくおくおくおってゆうロビーさんのイントロ。泣き歌いのダンコ氏。微妙に外れてるとこが世界を広げて。清水のような白玉シンセに乗せて決然と前に歌う。ギターソロです。ぐきゃくけこけくこぷろぷろぷろーって。掻き毟られるよこっちまで。絡むはガースおでこハドソンさんのサックス。すげーやこりゃ。とまあ若き日はメロディのはっきりした曲にまずやられましたが今になっては他の曲にももちろん。1曲目の禁断の木の実。好みです。スワンプ・グルーブつうかザ・バンド流ファンキイ炸裂。終わり際になって出てくるメロディがまた良くて。リング・ユア・ベルになるともっとファンキイに。これはカフーツの遺産かな。音数少ないけどどしんどしんと効果抜群のダンコさんのベース。独特のタイム感のドラムも腰を溜めて。ラグズ・アンド・ボーンズはメロディが切なくてもうたまりません。歌詞でクルーゾーもヒットラーも登場。歌うはリチャード氏。切ない名人だからもう思う壺です。ここでもロビーさんのソロ大活躍。きろきろきろきろーって。そして最後のジュピター・ホロウ。呑気でたおやか。何か中華風なのが不思議。サビが童謡みたいにかわゆいです。全編を通じて大活躍はやっぱガースさんでしょうか。どうしたらこんな人間味のあるしかも温度まで表現しちゃってる音色出せるのかってゆうシンセの音。せせりあがるアコーディオン、うねるサックス。フレーズは浮き草、世界中を駆け巡ってる。全曲作曲のロビー氏の凄さはもちろんです。漏れ聞こえる性格のアクの強さとは正反対の素直&真正面&純朴な曲ばっかしで。さらにかつてソロを弾かないギタリストとして有名になっちまった彼が今回は弾いてます。いつもより余計に弾いておりまーす。数学的ギタリストって異名も妙に納得してしまいますのでどうかまだの方は是非ご覧あれ。とにかくもうスーパーな盤なんではいもう。初期の頃の正直言って突入しずらいかもしれなかった重さも何かこう風呂上りみたいにすっきりと突破して聴きやすさと奥深さが奇跡のように同居しております。行ったことも無いのにああ貴方達カナダ人そして一人アメリカ人なんですねってはっきりとわかって。だから何なんだ(^0^)って言われりゃそうなんすが。そうなんです。

(マスター)2004.11.10

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