ご意見はこちらへどうぞ  
ここへのご意見のみは、このページへの掲載を条件とさせてください。
捕鯨を推進しようとしている団体は、広告代理店を利用するなど
膨大な予算でナショナリズムを煽るプロパガンダをしてきたため、
哀しいことにこの問題は、ヒートしやすくなっています。
そのため、ご意見は本名で。もちもろん、ご迷惑がかからないように
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もうとっくに決着が付いている話だと思っていたのですが、
hpを見ていると、まだまだプロパガンダの後遺症というべき残滓が根強く残存している
ようで、このコーナーでは、もともと捕鯨論争はどのようにして起きたのかを少しずつ紹介して
行きたいと思います。

クジラを食べてはいけません  2001.07.10
 クジラの体内汚染が進んでいます。
 それも年々とてつもなく危険な高濃度の値が出ています。
 ことに、ハクジラの仲間に高濃度な蓄積がみられます。
 つまり、日本近海で水揚げしたゴンドウクジラの仲間とか、イルカの仲間の濃度が高いのです。
 クジラに限らず海生哺乳類は、海での食物連鎖の最上位に位置していて、おまけにその餌になる魚などよりずっと長生きです。
 魚は一年とか5年とかで更新されるので高濃度に蓄積される前に死んでしまうのですが、クジラはその魚を食べても毎年汚染物質が蓄えられてしまうからです。
 スーパーや専門店の店頭で見る、クジラ肉は、我々では見分けが付きにくく、表示もインチキがあります。
 一般的に言って、肉の黒いものはハクジラで赤いものはヒゲクジラといいますが、これとて絶対的なものではありません。
 食すると臭いや食感その他で判ることもありますが、その時は手遅れです。

 さて、1999年ハーバード大学(米国)、グリニッジ大学(英国)、第一薬科大学の研究者が協力して日本で市販されているクジラ類(クジラ、イルカ類)食品についての研究調査を行ないました。
  今回の調査は、クジライルカを生体標本としてでなく、食品という視点から汚染度を測定したという点で高く評価されるものです。
 調査の目的は、
1.市販クジラ類食品の表示と実際の種の相違を調査。
2.市販クジラ類食品の汚染度の調査のふたつです。

調査の方法 
国内6県 東京、大阪、和歌山、宮城、広島、長崎で市販されているクジラ類食品130点無作為に購入。
 DNA鑑定を行ない116点について種別を判明。
 61点について有機塩素系化合物(PCB DDT ディルドリンなど)および重金属(水銀、カドニュウムなど)の汚染量を分析。
 臓器や静岡県の富戸で捕獲されたイルカの赤身などの追加サンプルを分析。

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1.分析された商品の4分の1は不正確な商品表示や宣伝広告で販売されていた。
2.半数以上の商品が国内外の安全基準値を超える濃度の汚染物質を含み、食品としては適さない。
 調査した商品の内から環境ホルモンの原因物質でもあるPCBやDDT、水銀などが次々と検出されました。 水銀に関しては、魚介類に関する厚生省の暫定基準値は0.4ppmですが、今回の調査ではサンプルの3分の1以上(61点中21点)からこの規定限度を上回るレベルの水銀が検出されました。
 特に、和歌山県那智勝浦で購入されたイルカの肝臓の加工品に含まれていた総水銀量は203.75ppmにのぼり、専門家によると仮に体重50sの人間がこのサンプルを食べたとすると、致死量の10%に当たる水銀を摂取したことになり、重度の下痢や消化障害に苦しむことになりうると言うことです。
 されに追加分析されたクジラやイルカの臓器の茹でものから総水銀量が最高のもので645ppmという高濃度の水銀が出ており、臓器はほぼ総て食用には適さないと言えます。

3.クジラやイルカの種類や棲息海域によって汚染の度合いと汚染物質が著しく違う。


この調査を受けての関係者の反応と対応

厚生省乳肉衛生課
 今年1月、水揚げしている都道府県の担当者を集めて水揚げ量や消費量がどれくらいかという聞き取りをした。現在は基礎的な調査段階で、今後どのようにするかはその結果次第。基礎的な調査がいつまでかという期限はきまっていない。

水産庁遠洋漁業課
 年間の一人平均消費量は30グラムに過ぎないので、ただちに影響があるとは考えない。報道はセンセーショナルなものと考えている。
 
 kyusoku注※ ねっ驚くでしょう! この水産庁の言い分には。
クジラなんてものは消費する地域は非常に偏ってているし、東京だってクジラ店は限られていて食う人はある程度限られてますよね。それを全国民で「平均」して「ダイジョブ」ってんだから

 これを読むと、こんな役所を持っている国だから水俣病やイタイイタイ病は避けられなかったことを実感しますね。



この調査で判った問題点

1.汚染濃度の桁違いの高さと情報の欠如

2.クジラ肉表示の曖昧さと不正確さ

3.多食者の健康被害の心配

4.政府の反応の鈍さ

なお、注部分以外は、「食品汚染を考える市民の会」の文献によります。
詳しくお知りになりたい方は、以下に連絡すると入手可能だと思います。


2000年3月1日 食品汚染を考える市民の会発行
 300円

食品汚染を考える市民の会
電話 3364-2931
Email sjapan777@aol.com



まずは、1987年、「DIME」に掲載したものから紹介します。
これを調べていて、僕は生きてるクジラや、その「クジラ」の文化的背景に
関心を持つようになったものです。

 私は鯨が好きであります。はい。肉も姿も大好きなのであります。
 そもそも「潮吹く魚が泳ぎよる」よさこい節は土佐生まれ。戦後ずっと鯨のお世話になったのでありますから、鯨肉世代の鯨っ子であります。

 でありますから、肉体の隅々、細胞の端々まで鯨蛋白は行き渡り、今尚鯨のイデオロギーは私の体内で息づいているのであります。

 にも拘わらず、ここ数年、巷で我が鯨についてアーでもない、コーでもないと口角泡を飛ばして論争ちゃってることに参加するでもなく、ひたすら鯨飲馬食、惰眠を貪っていたのでありますから、我が細胞、我がイデオロギーに申し訳が立たないのであります。

 そこで遅ればせながら、その論争に参加することによって、我が細胞に謝罪するとともに、改めて我が内なる鯨を考えてみることにしたのであります。
 さて、耳傍立ててみれば、どうやら鯨を「獲り続ける」意見と「獲るな」という意見とで争っているのでなく、「獲るな」いう意見と「獲ってなぜ悪い」という意見で争われているようであります。つまり、反捕鯨と、反反捕鯨とであります。

 ということは、もう鯨は獲らないと決まっているらしいのでありまして、その決まっていること、済んでしまったことに、その決め方が悪い、済ませ方が悪いとイチャモンつけているようであります。
そのイチャモンの主なものは。

 ミンク鯨はいっぱい(44万頭)いて、IWC(国際捕鯨委員会)の科学委員会は捕鯨禁止にしろと言ってないのに、禁止にしたのは科学的でない。
 アラスカの原住民には禁止せず、日本は止めろというのは、人種差別だ。
 鯨を食べる食文化に、自分たちが食べないからといって、干渉するな。
 鯨は知能が高く可哀想などは感情論だ。

 とまぁそんなものでありまして、この決め方には西洋先進諸国の「陰謀」が潜んでいるというものであります。
この「陰謀」によって決まった捕鯨禁止に、水産庁やIWCの日本委員は懸命に食い下がっているのであります。

 なぜ食い下がるのかというと、調査捕鯨をやり、それを捕鯨再開に結び付ける。という計画で、これこそ希望の星と信じているからであります。
かくして、水産庁や日本委員は、捕鯨従事者の為に膨大な税金と懸命な努力を払ったのでありました。その甲斐あって、日本中の人々はIWCは理不尽である。日本こそ正しき鯨道を歩む大道鯨人であると信じるに至ったのであります。

 目出度し目出度しであります。
 とまぁいかないのが鯨の問題でありまして、なにせ鯨は地球の財産、全人類の資源であります。したがって地球に住むミナサンのご意見を伺わなくてはなりません。鯨術の道、遠く厳しきであります。

 そこでミナサンのご意見を伺ってみると、先程の日本の言い分は、いささか危なくなってきます。
例えば、ミンク鯨が44万頭いるのに云々の件については、その数字に問題ありとしています。この44万頭は、広い南氷洋を6つに分けて、それを9年掛かりで目で数えた数字であります。

 生きものがどれぐらいいるのかを数える方法は、その生きものによって異なりますが、日本野鳥の会では、全国一斉カウントというやり方で、決まった日の決まった時間に「鳥の姿を見ながら」日本中セーノーで数えます。

 このデンでいうと鯨の場合は9年ものズレで、今年は北海道、来年は東北てな別々の場所を、それも水中にいて見えない鯨を予測で数えるのですから、今年北海道にいた鯨が、翌年東北に行っていないとは限らないのであります。むろんその逆もあります。

 それでも44万頭が1万頭しかいないという誤差はないでしょうな。皆がほぼ40万頭に近い数値だろうとは思っているでしょう。ではいいじゃねぇかとなりますが、でもイクないのであります。
 鯨の妊娠期間は長く、ミンク鯨で一年であります。妊娠初齢は7歳。不純異性交遊ではありません、早熟なのであります。妊娠率、平均寿命、行動パターン、自然死の関係、集団自殺や伝染病、PCBや核廃棄物など海洋汚染との関係、気候の変化との関係など水産庁にお聞きしても全て判らないのだそうであります。

 つまり判らないことだらけですから、何万何千と産卵する魚類と同じように捉えてはならないのではないだろうかと素朴な疑問が生じるのであります。
 そんな限られた条件をインプットしてはじき出された数値で、捕獲数が決まっていたのでありまして、日本はその数なら獲ってもいいと思ってますが、日本以外の各国はそうは思っていないのであります。で、私はその数なら獲ることが可能だろうなァ。と思いますが獲っていいとは思えないフシがあるのであります。

次に、世間で一番憤っているのが、古来から鯨を食うという食文化に対して干渉するな。というものであります。

 「鯨を食って何が悪い」であります。実は諸外国は、鯨を食って悪いとは言っていないのであります。すくなくとも私は一度も聞いたことも読んだこともありません。もしそう書いたものを見たら、それは誤認か、ためにする目的があるからであります。日本人が鯨を食うことと捕鯨禁止はなんの関係もありません。ま、複合的な影響は無いと断言するつもりはありませんが・・・。

納豆、ホヤ、犬、猫、蛇、猿、人、豚のキンタマ。
以上何れも人間の食文化に乗っているものであります。如何ですか、夫れ夫れ何でもないもの、イヤだと思うもの、他人が食うのを見るのもイヤだ。想像するのもイヤだというものがあるはずであります。

 外国人は、他人が鯨を食うのがイヤなのであります。気持ち悪ゥとストレスっちゃうのであります。これに対してクジラを食って何が悪い、干渉するな。と云うのは「ストレス起こすなっ」と人間の生理に干渉しているようなものですから、いうならばアイコなのであります。
 次に、原住民の捕鯨は彼等が食べる為のもので、換金の為、企業利益追求のための商業捕鯨と根本的に違います。しかも米国はこれさえ禁じました。
人種偏見論にすり替えるのは論外でしょうな。

 ところで、IWCは鯨を捕る委員会であります。なのにどうして諸外国は捕鯨を禁止にしたのでありましょうか。世論の流れに気がついて、十数年前から、鯨保護に変わったのであります。
 その流れとは野生生物の価値の多様性というものであります。野生生物には沢山の価値があります。意味と言い替えてもいいでしょう。捕鯨や、ベッコウ細工の亀のように商業的な意味、ゲームハンチングの意味、美しさを愛でる意味としてホエールウォッチングなどがあります。鯨を可愛い、殺すのは可哀想と言ってるのは、この意味を大切にしている人達であります。野生生物を殺す権利があるのかという倫理的な意味、医学利用とか人の起源を知るなど遺伝子科学などの意味、生態的な意味。etcであります。

 ざっと見てもこれだけ世界の人々が大事にしている価値があり、これを尊重する大きな流れがあるのであります。世界人口上の僅かな日本人、その中の一企業が、殆ど食べなくなった鯨を、「商業的な換金という価値」だけで、全世界、全人類の財産である野生生物を獲る権利はないと考えるのが自然ではないないでしょうか。
 グリーンピースさんが怒って当然であります。

 他にもワシントン条約や、日本の野生生物への対応の仕方に業を煮やしているのですから、これが微妙に影響していることも考えられるのであります。

 戦後日本の国民は、鯨によって飢餓から救われました。鯨は一民族を救えるだけの資源であります、いつまたどの民族がその資源に頼ることがあるかもしれないではありませんか。

 グルメ飽食時代の日本であります。世界の人が鯨の価値を享受するため、保護し、次世代に継承していく義務があるのではないか、鯨っ子の私はそう思うのであります。日本だけが享受する番はもう終わりであります

 しかし鯨が獲れなくなると、捕鯨従事者は気の毒であります。行政指導型の構図で成り立っている業界は、良くなるも悪くなるも指導者の責任は大きく、水産庁やIWC日本代表の責任は重いのであります。彼等が今少し前に、世界の流れに気がついていれば、もっと有利な展望が開けたはずであります。

 いつも行政の犠牲になるのは末端なのですから、捕鯨再開より捕鯨従事者の身の振り方に尽力すべきであります。

 林野庁は昨年木材としての利用だけでなく、森そのものを楽しむ構想を発表しました。気がついたのであります。
 これを鯨に当てはめると、捕鯨関係者は鯨の専門家でありますから、日本近海や南氷洋にホエールウォッチング船を出し、鯨の素晴しさを教えてくれるとか、捕鯨基地に等身大の鯨を作り、古式の捕鯨シミュレーションをやったり、捕鯨砲の標的射撃をして観光資源にするとか、これで反反捕鯨の言う、捕鯨文化は残るではありませんか。

 ここに一通の「捕鯨問題に関する国内世論の喚起」と題する文書があります。実施企業は日本捕鯨協会、担当PR会社の名前もあります。

 内容は如何にして捕鯨支持のキャンペーンをやったか、新聞の投書欄に投書したり、論説委員に働きかけたり、オピニオンリーダーとして、シンパを養成したりと、詳しく書かれています。
これによると水産関係の論説委員は捕鯨問題に詳しいから、食べなくなった鯨に税金を使ってまで守る必要はない。と言っていました。そこで、IWCに陰謀があったとか、人種差別があるとかと、ナショナリズムに訴える方法を採ったことで新聞の論調が変わり、成功した、と、新聞記事入りで紹介されています。

 また、育成したオピニオンリーダーとして、よく新聞テレビで捕鯨支持の発言をするアノ人達の名前がズラッと列記されているのであります。
 ま、こうして優秀なPR会社が日本捕鯨協会の金で、世論作りをしたわけですが、私はこのプロパガンダの成功を見て、つくづくこの世論操作が「鯨ごとき些細なこと」で良かったと思ったのでありました。

 水産庁の進めている、国庫の補助をもらって、獲った鯨を換金する調査捕鯨に、IWC科学委員会は、捕鯨による死体での調査はもう充分やったので必要無いと申しております。
 世界の流れに逆った、生態も判っていない捕鯨は言わばギャンブルのようなものでありまして、ルーレットの1/36一点張りをしようとしているようなものであります。
 賭けているものは、信用、他産業の利益、イメージ、民度 etc、つまり「日本」を賭けちゃってるのであります。
 もし外れたら?。

 肩をそびやかせて捕鯨大国だ、捕鯨オリンピック優勝だと言ってきた結果が、鯨を絶滅寸前に追い込んだのは厳然たる事実であります。その上残る数少ない種類まで賭けに負けたら、はっきりと、世界中の鯨を日本が食った。という未来永劫消え去らない烙印を押されることは間違いないのであります。

 こんなヤバいギャンブルに日本国と我々が「張られて”いるのであります。
捕獲数が少なくなれば鯨肉価格は上がり、ますます一部好事家しか愉しめなくなるわけで、どうして水産庁は、こうまでして捕鯨に執着するのでありましょうか。
謎であります。

 調査捕鯨は限り無いデメリットを含んでいます。通商、外交、漁業と凡ゆる報復を覚悟しなくてはなりません。

 なぜ日本中がそんな水産庁の一セクションのミスった埃りを被らなくてはならないのでありましようか。今こそ他業種、他業界こぞって調査捕鯨は止めて頂戴っと口を揃えてホエール時なのであります。
はい。

                                     初出 DIME 

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